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議論好きのギリシア人は、昔から食事の時にもこんな面白い話をする。プルタルコス『食卓歓談集』
半年に一度歯のチェックをしに来なさいと歯医者に言われていたので行ってみました。被せてる金属が古くなってますから取り替えましょうと言われ、外してみると、下に虫歯があって治療するハメに。神経ギリギリまで来てたらしく、無茶苦茶痛かった。自分は歯を削るのには耐性がある、などと自分を過大評価していたことを反省します。なぜ、そんな思い違いを? 私はなにを思い上がっていたのでしょう。麻酔無しで歯を削られて、呻いてから後悔しても何もかもが遅かったのです。マジ泣き半歩前の段階で次回に持ち越し。久々に歯医者が怖いです。

それはともかく。
最近は岩波文庫が楽しくて仕様がない。

食卓歓談集_プルタルコス


『食卓歓談集』

(プルタルコス。編訳/柳沼重剛。岩波書店。岩波文庫。青664-3。1987年。660円)
1.酒席で哲学論議をしてもよいか
2.宴会の幹事はどういう人間であるべきか
3.「恋は人を詩人にする」とはどいうことか
4.アレクサンドロス大王の飲酒について
5.なぜ老人は水で割らない酒を好むか
6.宴会で人からそのことを聞かれたりひやかされたりするとうれしくなるとクセノポンが言っているのはどういうことか
7.なぜ秋には空腹を感じやすいか
8.鶏と卵ではどちらが先か
9.宴会の料理はめいめいに盛り分けるのと大皿からめいめいが取り分けるのとどちらがよいか
10.なぜ女は酒に酔いにくく老人は酔いやすいか
11.女の体質は男より冷たいか熱いか
12.性交に適した時
13.なぜ新酒は酔いにくいか
14.なぜほろ酔いの人の方が酩酊している人よりいっそう狂おしいか
15.酒の割り方
16.なぜ肉は日の光よりは月の光にあてると腐りやすいか
など、33タイトル。


紀元1世紀から2世紀にかけてのギリシアの哲学者プルタルコスが記した著作の中の『倫理論集(モラリア)』という随想集の中の一部に入るのがこの『食卓歓談集』、原題『Symposiaka(Problemata)』です。全九巻のものだそうですが、散逸して一部が失われていて、その残ってる83問の中の33問を訳したのがこの本になります。
内容は宴会の席で、ある事柄について、それはどういうことか、ということを話あった時のことを後から記したもののようなもの(もしくはその形式をとった説話集)。それぞれのテーマは、日常の生活で疑問に思ったことだったり、不思議な出来事についてだったり、ある意見についてだったり、よくいわれる慣習や風習についてだったりします。古代のギリシア人はこんなことを酒の席で話したりしてたものか、というのがなんとなく伝わってきます。まあ、小難しい話とかもあるので、食事の席でこんなこと話さねーよ、と思われ、この『食卓歓談集』がプルタルコスの創作という説も昔から言われていたようです。

私がこれを読んだのは、「4.アレクサンドロス大王の飲酒について」とか他にもアレクサンドロス関連の情報がいくつか入ってたからで、ちょっと気になって手に取ったのですが、ネタの面白さ以外に、当時の人々の知識がどういったものか、どう理解していたのか、などが感じられてなかなか楽しく読めました。それほど分量があるものでもないので、気軽に読むこともできます。


>プルタルコス
46年?〜120年?生没。ギリシアの哲学者、著述家。ボイオティアのカイロネイア出身。アテネに学び、主としてプラトン学派の影響を受ける。エジプト、ローマに旅し、ローマでは多くの上流人に知己を得た。故郷の政治にもかかわったほか、晩年はデルフォイの最高神官を長く務めた。著作は多方面にわたるが、伝記と倫理論集とに大別される『英雄伝(対比列伝)』ともよばれる伝記は、ギリシアとローマの有力者の生涯を組み合わせて対比したもので、50人の伝記が現存する。
(『角川世界史辞典』P826より抜粋。)

しかし、やはりギリシア人たちはお酒好きだったみたいですね。この『食卓歓談集』でもお酒の話題が多い。33タイトル中、8つもあります。まあ、酒宴での話題だから当然といえばそうですが。古代ギリシアやローマなどで宴会の時に寝ながら食べるのは、酩酊してもそのまま寝れるから、という説もありますね。どんだけ飲むんだ。私など一杯二杯飲むとすぐフラフラになるというのに。この前の飲み会の時でも行動おかしかったし、すぐ眠くなったり。
そういえば飲み会で思い出しましたが、前に奥野さんが帰国したすぐ後くらいに、大鴉さんと私を含め三人で食べた時、なぜか大鴉さんが主賓の奥野さんじゃなく私の方ばっか見て話すんで、どうにか奥野さんの方を向かせたいな〜、などと思ったのですが、もう早くも酔っぱらってる私は、何を思ったのか誰もいない方向を向いて会話をしはじめやがりました。いや、あんたがどこ向いても関係ないから、とか後になって思いましたが。酔うと挙動が怪しくなっていけませんね。

この『食卓歓談集』の中で感心したのが、当時の科学的知識がそれなりに理にかなってたりすることです。まあ、理論的ではあるけど、たぶん間違ってるのも多いのでしょうが。
「17.松露というきのこは雷が鳴ると生える、また、眠っている人には雷は落ちない、と言われるのはなぜか」というタイトルの中で、雷ときのこの生長の関連性について言及しているのがあったのには驚きました。実際に、雷が落ちるときのこの生長が促進されるというのは、科学的に立証されているようですが、そのことを2000年前の人が知ってたというのも凄いですね。


そうだ。岩波文庫の『プルターク英雄伝』って重版だか改訂版だかが出てたような気がしたけど、どうだったっけ。


ちなみに今日はドミトリー・ドンスコイの誕生日です。

参照サイト
岩波文庫(岩波書店)
http://www.iwanami.co.jp/hensyu/bun/
ギリシャ政府観光局
http://www.visitgreece.jp/
プルタルコス(wiki)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%97%E3%83%AB%E3%82%BF%E3%83%AB%E3
%82%B3%E3%82%B9

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by xwablog | 2007-10-12 01:13 | 書庫
古代から広く読まれた超有名な寓話たち。アイソポス『イソップ寓話集』
この前気付いたのですが、どうも、ウチにある冷蔵庫の冷凍室は壊れ気味なようです。ある時は普通に冷凍してくれるのですが、何らかの理由で止まってしまうことが度々あるようなのです。そのため、中に入っているものは、凍ったり解けたりを繰り返して、フリーズドライ的な状態になってしまっていることがあります。アイスなんかよく変な感じになってたのも、これのせいみたい。もうちょっと早く気付けば、タダで修理できたのに・・・・

それはともかく。
今読んでる本はこれです。たまに、ああ、これ知ってる話だ、というのが入ってて懐かしんだり。

イソップ寓話集


『イソップ寓話集』

(アイソポス。訳/山本光雄。岩波書店。岩波文庫、赤103-1。1942年1刷、1993年64刷。520円)


古代ギリシア世界の人で、寓話作家として知られるアイソポス(イソップ)の寓話集。ウサギとカメ、アリとキリギリス、北風と太陽、金の斧銀の斧、狼少年、といったイソップ童話は子供のころに聞いたり読んだりした覚えがあるかと思いますが、それがギリシア世界の寓話がもとであったと認識している人は少ないのでは。
この本は、1927年にパリで出版された本のギリシア語原文を翻訳したもので、1942年に出されてから、93年までに64刷というから、よく読まれているみたいです。(訳者のこの内容に対する態度は微妙に批判的なのでどうかと思いますが)


亀と兎
亀と兎が速さのことで争いました。そこで彼らは日時と場所とを定めて別れました。ところが兎はもって生まれた速さを恃(たの)んで駆けることを怱(おろそ)かにし、道をそれて眠っていまいsた。亀の方は自分の遅いのをよく知っていましたから、休まず走りつづけました。こうして亀は眠っている兎の側を走り過ぎて目的に達し、勝利の褒美を獲ました。この話の明らかにするところは、鵜生まれつきがゆるがせにされると、それはしばしば努力に打ち負かされるものだ、ということなのです。
(P263より抜粋。)

この寓話は、アイソポスが全部創作したというわけではなく、いろいろな寓話を集めてもいたことでしょう。中には小アジアの寓話も含まれているとか。
アイソポスという人は、いろいろ不明な点が多い人で、だいたい前6世紀の人であり、サモスでイアドモンという人物の奴隷であったことがあり(その時、有名なロドピスと同僚だった)、その後リュディア王クロイソスに助言者として仕えたという大体のことしか分かりません。そして、最後はデルポイ人を侮辱したことで怒りを買い、デルポイで殺されます。
彼のことはヘロドトスの『歴史』の中にもロドピスのことが書いてある2巻に登場します。

(家の上に立っている)仔山羊と狼
或る家の上に立っている仔山羊が、その傍を狼が通るのを見た時に、彼の悪口を言って嘲り始めました。と、狼は「こ奴め、俺の悪口を言うのは貴様でなくて、その場所だ。」と言いました。この物語は、しばしば場所や時機も優れた人々に対して挑戦する勇気を与える、ということを明らかにしています。
(P93より抜粋。)

どの寓話も教訓を含むようなものになっていますが、寓話なだけあって、動物や自然のあれこれを擬人化した話が多く、あと神様が出る場合も多いです。
「北風と太陽」はそのまんまでしたが、実はこの寓話集の中に「アリとキリギリス」はありません。原型となった「蝉と蟻」というのがあって、蝉があまり馴染みないアルプス以北のヨーロッパにおいて、蝉をキリギリスに置き換えてあの形になったようです。日本へは英語版で入ってきたので、「アリとキリギリス」が知られているのです。あと、意外だったのは金の斧と銀の斧の話で、木こりが斧を落とすのは、泉じゃなく川だったり、タイトルが「木こりとヘルメス」ということから分かる通り、金の斧を出すのは女神ではなくヘルメスだったのだとはじめてしりました。ずっと女神と泉の組み合わせだと思ってました。

敵同士
或る二人の敵同士が同じ一つの船に乗って航海をしていましたが、その一人は艫(とも)に、他の一人は舳(へさき)に坐っていました。嵐が起こって、船はやがて沈みそうになりましたので、艫にいた方の男が舵取りに船のどちらの部分が先に水につくことになっているかと尋ねました。舵取りが舳の方だと言いましたので、彼は「それじゃ、死も私にゃ悲しくはない、敵が私の前で死んでいくのが見られようというものだ。」と言いました。この物語は、多くの人々は敵が自分の前で悪い目に遭うのを見さえすれば、自分の損害なんかちっとも気にしない、ということを明らかにしています。
(P99より抜粋。)

>アイソポス
生没年不詳。イソップの名で知られ、ギリシアの寓話集の作者とされる。伝承は、前6世紀にサモスで奴隷であったこと、リュディア王クロイソスの助言者であったこと、最後はデルフォイで殺されたことなどを伝える。
(『角川世界史辞典』P10より抜粋。)


参照サイト
アイソーポス(wiki)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A2%E3%82%A4%E3%82%BD%E3%83%BC%E3%
83%9D%E3%82%B9
アリとキリギリス(wiki)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A2%E3%83%AA%E3%81%A8%E3%
82%AD%E3%83%AA%E3%82%AE%E3%83%AA%E3%82%B9

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by xwablog | 2007-08-29 23:55 | 書庫