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タグ:伝記 ( 8 ) タグの人気記事
スペイン黄金時代の女王の生涯。小西章子『スペイン女王イザベル その栄光と悲劇』
今年の冬は暖かいような気がします。でも、私の部屋は寒い。ツーンとする。
そういや、今日、会社でかかってたラジオで、スウェーデンと日本のハーフの映画評論家・LiLiCo(リリコ)氏が、日本の冬は寒い、部屋が寒いって言ってました。スウェーデンの方が部屋が暖かいって。 昔から日本の家屋は、暑さに対処してるけど、寒さは耐えるのみ、って感じですから(朝鮮は逆)。けど、今の家屋ってそんな違わないような気も。

それはともかく。

スペイン女王イザベル その栄光と悲劇

『スペイン女王イザベル その栄光と悲劇』

(小西章子。朝日新聞社。朝日文庫。1985年。474円。322ページ)
プロローグ
第一部 カスティーリャの春
1 王女時代のイザベル
2 アラゴン王子、フェルナンドとの邂逅
3 カトリック両王の治世
第二部 女王と四人の娘たち
4 長女イザベルと次女フアーナ
5 三女マリーアと四女カタリーナ
6 次女フアーナの悲劇
エピローグ
解説 ホセ・デベーラ
イザベル女王年表

15世紀半ばから16世紀はじめにかけてのレコンキスタ終盤と大航海時代初頭という重要な時期に、イベリア半島最大の国、カスティーリャの女王として活躍した女性の伝記。
夫と会わせて「カトリック両王」と呼ばれ、スペイン黄金時代の初期を代表する人物。夫のフェルナンド2世よりか有名なような。大航海時代の画期的転換点を作るコロンブスに援助したわけですから当然か。敬虔なカトリックとして異教徒には酷い人でもありました。

参照サイト
イサベル1世 (カスティーリャ女王)(wikipedia)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A4%E3%82%B5%E3%83%99%E3%83%AB1%E4%B8%96_(%E3%82%AB%E3%82%B9%E3%83%86%E3%82%A3%E3%83%BC%E3%83%AA%E3%83%A3%E5%A5%B3%E7%8E%8B)

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スペインの剣客の活躍を描く。ヴィゴ・モーテンセン主演の映画『ALATRISTE(アラトリステ)』見てきました
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ドン・ペドロの活躍がまだまだ見れた! 青池保子『アルカサル -王城- 外伝』第1巻
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ついに完結! カスティリア王ドン・ペドロの栄光と結末。青池保子『アルカサル----王城-----』第13巻
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by xwablog | 2009-02-05 02:11 | 書庫
メディチ家出身のフランス王妃の波瀾万丈な人生。桐生操『王妃カトリーヌ・ド・メディチ』
相変わらず画像はUPできません。ソフトのアップデートしたせいか?

それはともかく。

王妃カトリーヌ・ド・メディチ(桐生操

『王妃カトリーヌ・ド・メディチ』

(桐生操。ベネッセコーポレーション。福武文庫。1995年。650円。341ページ)
第一章 フィレンツェの少女
第二章 フランス宮廷生活
第三章 即位
第四章 フランソワ二世の時代
第五章 シャルル九世と宗教戦争
第六章 サン・バルテルミーの大虐殺
第七章 アンリ三世の時代とヴァロア朝の終焉
単行本あとがき
主要参考文献
解説 篠沢秀夫

桐生操氏の本。もとは1982年に出た本で、文庫化されたもの。
イタリアのメディチ家出身で、アンリ2世と結婚してフランス王妃となり、その後の権力闘争・ユグノー戦争に活躍した人。サンバルテルミーの虐殺で有名です。このサンバルテルミで、ナバラ王アンリとカトリーヌの娘マルグリットが結婚しようとした所でおきた事件。でも、よく言われるカトリーヌが虐殺の指示を出したというのは違うようです。

この本、さらにPHP文庫から新装版が出てますね。「王妃カトリーヌ・ド・メディチ―ルネッサンスの悪女」。試し読みもできるみたい。

参照サイト
カトリーヌ・ド・メディシス - Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AB%E3%83%88%E3%83%AA%E3%8
3%BC%E3%83%8C%E3%83%BB%E3%83%89%E3%83%BB%E3%83%A1%E3%83%
87%E3%82%A3%E3%82%B7%E3%82%B9
サン・バルテルミの虐殺(wikipedia)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B5%E3%83%B3%E3%83%BB%E3%83%90%E
3%83%AB%E3%83%86%E3%83%AB%E3%83%9F%E3%81%AE%E8%99%90%E6%AE%BA

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チャランポランの青年錬金術師が囚われの身となり・・・。やまざき貴子『LEGAの13』第1巻と2巻
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by xwablog | 2009-02-04 01:58 | 書庫
25人のポーランド人の文化的業績を紹介する一冊。土谷直人『ポーランド文化史ノート』
うー、寒いですね〜。雪は降らないですんだようですが、ツーンと部屋の中まで寒くなりました。
なんか、鍋食べたいですね。鍋。スキヤキでもいいですが。
昨日は平日なのにたまたまカレー屋行ってカレー食べることに。で、ナンを頼む時に、ちょっと変わったものでも、とか思ってセサミナンってのを頼んでみたんですよ。これはたぶんナンにゴマがすりこんであるんだろうな、とか思ってたら、出て来たのはナンの上にゴマを振りかけたヤツでした。・・・ぉぉーぃ。100円プラスの値段でこれはありなんだ。ナンにゴマをひっつけるためにバター(?)がたくさん塗ってあるんですが、それでもやっぱりポロポロ落ちるゴマは、ベタベタになった手の方にひっつきまくり。これなら皿にゴマ入れて持って来てくれた方がよかったかも。いや、ナンもカレーも美味しかったんですが、そこだけがね。

それはともかく。

ポーランド文化史ノート_土谷直人

『ポーランド文化史ノート』

(土谷直人。新読書社。1985年。1300円。197ページ)
はじめに
建国伝説から十五世紀まで
1.ポーランド・チェコ・ロシア建国伝説
2.ミェシュコ伝説(十世紀)
3.ガル・アノニム(十一・十二世紀) ポーランド年代記
4.カジミェシュ大王(1333〜70) クラクフ大学設立認可状
5.ヤン・ドウゴシュ(1415〜80) ポーランドの諸都市 ポーランド人気質(「栄光あるポーランド王国の年代記」より)
十六・十七・十八世紀
6.ミコワイ・コペルニク(1473〜1543) 天球の回転について
7.ミコワイ・レイ(1505〜69) 冬の素晴らしさ
8.ヤン・コハノフスキ(1530〜84)
9.ヴァツワフ・ポトッツキ(1621〜96)
10.イグナーツィ・クラシッツキ(1735〜1810)
11.フーゴー・コウォンタイ(1750〜1812)
12.ユリアン・ウルスィン・ニェムッェーヴィッチ
13.スタニスワフ・スターシッツ(1755〜1826)
14.ユーゼフ・ヴィビッツキ(1747〜1822) イタリアにおけるポーランド軍団の歌
十九世紀初頭から中葉
15.タデウシュ・コシチューシコ(1746~1817) ポーランド人は独立を達成できるであろうか?
16.アダム・ミツキェーヴィッチ(1798~1855) ロマンチカ スラヴ民族の統合 ポーランドの使者
17.ユリウシュ・スウォヴァツキ(1809~49)
18.ジグムント・クラシンスキ(1812~59)
19.スタニスワフ・プシブィシェフスキ(1866~1917)
20.ヨアヒム・レレーヴェル(1786~1864)
21.ツィプリアン・カミル・ノルヴィッド(1812~83) ポーランド社会論
22.アンジュジェイ・トヴァインスキ(1799~1878)
23.ボレスワフ・プルース(1847~1912) 古代エジプトの伝説より
24.マリア・コノプニッツカ(1842~1910)
25.ヘンルィック・シェンキェーヴィッチ(1846~1916)
ポーランド文化史略年表
出典一覧

ポーランド人の文化的側面に焦点をあてて時代順に25人の業績を紹介する一冊。
それぞれの人が残した本やら文章やらからの抜粋があって嬉しい。特にガル年代記とかクラクフ大学設立認可状とかね。

ギエイシュトルやレシノドルスキーの『ポーランド文化史』(1962年)というのがありますが、それとは関係ないみたい。


参照サイト
カジミェシュ大王(wikipedia)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AB%E3%82%B8%E3%83%9F%E3%82%A7%E3%8
2%B7%E3%83%A53%E4%B8%96_(%E3%83%9D%E3%83%BC%E3%83%A9%E3%83%B3%E3%83%89%E7%8E%8B)

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ポーランド史の本といったらほぼコレ! ステファン・キェニェーヴィチ/編『ポーランド史』第1巻
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コシチューシコがポーランド人に独立の道を示した著作。コシチューシュコ『民族解放と国家再建によせて』
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ポーランド史の本といったらほぼコレ! ステファン・キェニェーヴィチ/編『ポーランド史』第1巻
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日本ポーランドの人物交流史が特集。『ポロニカ(Polonica)ポーランド文化の現在・過去・未来』93年no4
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by xwablog | 2009-01-09 23:26 | 書庫
ヴラド串刺し公の伝記。ストイチェスク『ドラキュラ伯爵 ルーマニアにおける正しい史伝』
今日は暑かったですね〜。蒸し暑い。「まるで夏みたいな天気だな」とか一瞬思ったけど、よくよく考えればもう7月ですよ! 最近は時間が経つのが速いなぁ。

『ドラキュラ伯爵 ルーマニアにおける正しい史伝

『ドラキュラ伯爵 ルーマニアにおける正しい史伝』

(ニコラエ・ストイチェスク。訳/鈴木四郎&鈴木学。中央公論社。中公文庫。1988年。323ページ。560円)
訳者まえがき
第一章 ツェペシュ公の家族、青年時代と最初の治政(1444年)
第二章 ヴラディスラヴ2世の治政(1447〜1456年)、ヴラッド・ツェペシュの追放と復位(1456年)
第三章 ヴラッド・ツェペシュの国内政策
第四章 ヴラッド・ツェペシュとシュテファン大公
第五章 ワラキアとトランシルヴァニア、ハンガリーとの関係
第六章 ヴラッド・ツェペシュの1462年、対モハメッド2世戦の勝利
第七章 ヴラッドの失墜と逮捕
第八章 1462〜1476年間のワラキア。ヴラッド・ツェペシュの最後の治政。公の死(1476年)
第九章 ルーマニア人のみたヴラッド・ツェペシュ
第十章 ドラキュラという異名の登場
ヴラッド・ツェペシュ年表
参考文献
地図(ヴラッド・ツェペシュ時代のルーマニア公国)
訳者あとがき

『吸血鬼ドラキュラ』(ブラム・ストーカー著)のドラキュラのイメージの元となった実在の人物ワラキア大公ヴラド・ツェペシュを、ルーマニア人の歴史家が調べて本にしたものの翻訳。原著は1976年にヴラド公没後500年を期して出されました。この翻訳は日本でヴラド公をまともに扱ったはじめての本だと思われます。翻訳者の鈴木両氏は恒文社の『ルーマニア史』を翻訳した人たち。
実は同人誌の方が、まったくといっていいほどなんもしてなくて、どう考えてもオフセは無理だし、簡単なものにしないといけないということで、ネタを探すためになんか久々に引っ張り出してパラ見してみました。これ、前に読んだの10年以上前だと思い出し、東欧ものから遠ざかってたことに改めて気づきました。マズいな・・・
なんか中見てみると、思ってたより文字の級数が大きい。そういや中公文庫だったっけか・・・。岩波文庫並みかと思ってたので、読み直すならそれほど苦労はなさそうです。
これを同人誌にするとなると、やはり詳細年表か登場人物一覧とかになるかな? ちょっと厳しいかもしれない。というか、やるならもっと気合い入れてやりたい気もします。

これ、文庫のやつは2002年に改訂版が出ています。読み直す時に買い直してみるかな。

著者の「ストイチェスク」のこと、ずっと「ストイチェク」だと思ってた。よく見たら違ってて吃驚した。

中央公論社のサイト見てて気づきましたが、ゲバラの本が出てますね。『ゲバラ 世界を語る』(訳/甲斐美都里)。
あと、『世界の歴史』のシリーズも「成熟のイスラーム社会」が出てるし。


参照サイト
中央公論社
http://www.chuko.co.jp/bunko/
ヴラド・ツェペシュ(wikipedia)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%B4%E3%83%A9%E3%83%89%E3%83%
BB%E3%83%84%E3%82%A7%E3%83%9A%E3%82%B7%E3%83%A5

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チャーンゴー人が載ってる『ナショナルジオグラフィック』を発見。2005年6月号
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失踪した恋人を捜しにトランシルヴァニアへ。トニー・ガトリフ監督『トランシルヴァニア(TranSylvania)』
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ブラン城の返還。ワラキアの歴史ある城がアメリカ在住のハプスブルク一門のものに
http://xwablog.exblog.jp/7696157
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by xwablog | 2008-07-06 02:54 | 書庫
その80年の生涯と語られ続けた思想を紹介する。中野幸次『人と思想 プラトン』
人と思想 プラトン

『人と思想 プラトン』

(中野幸次。清水書院。センチュリーブックス。1967年。400円。194ページ)
目次
プラトンについて
1 プラトンの生涯(ソクラテスとの邂逅、プラトンの生まれた時代--戦争と頽廃、ソクラテスの刑死----プラトンの回心、プラトンの前半生----苦悩と遍歴の時代、プラトンの活動----アカデメイア創立による講義と哲学の深化、晩年のプラトン----理想国への情熱と著述、プラトンの著作----多彩にして巨視的)
2 プラトンの思想(真理の旅人----永遠の発見とそれへの対応、理想国における人間の条件-----愛知への純粋無垢なる参加、学の形成とその方法の成立-----弁証法の世界、純粋存在と現象の世界----善のイデアとそれにあずかるもの)
年譜
参考文献
さくいん


プラトンの生涯と思想を簡単にまとめた新書。かなり古い本ですが、なかなか読めます。
書いたのは昭和女子大学教授・中野幸次氏。この「人と思想」のシリーズは他にも古今東西の思想家・哲学者・宗教家を扱っています。
古代ギリシアに生まれた知の巨人。その影響力ははかりしれません。この本にかぎらず、この人のことについては一度簡単なもので触れておいた方がいいですよ。

参照サイト
清水書院
http://www.shimizushoin.co.jp/
プラトン(wikipedia)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%97%E3%83%A9%E3%83%88%E3%83%B3
松岡正剛の千夜千冊『国家』プラトン
http://www.isis.ne.jp/mnn/senya/senya0799.html

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古代から広く読まれた超有名な寓話たち。アイソポス『イソップ寓話集』
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議論好きのギリシア人は、昔から食事の時にもこんな面白い話をする。プルタルコス『食卓歓談集』
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アトランティスの謎が今解かれる! 魚戸おさむ&東周斎雅楽『イリヤッド 入矢堂見聞録』第15巻(最終巻)
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by xwablog | 2008-07-04 00:28 | 書庫
ゲッツ・フォン・ベルリヒンゲンの自伝『鉄腕ゲッツ行状記 ある盗賊騎士の回想録』。痛快極まる面白さ!
web拍手レス
>鉄腕ゲッツ面白そうですね。「サムライとヤクザ」という本を思い出しました。
基本的にこの人は、自分のために行動したので、任侠とか武士道とかとはちょっと違うかもしれません。他人のフェーデに参加したのだって、人助けとかそういうのじゃないですし。でも、かぶき者とかには通じるところがあるかもしれない?

ーーーーーーーーーーーーーーーー

どうも。馬頭です。今日はカレル大学が創設された日ですね。

ところで、この二週間何をしていたかというと、知り合いの同人誌にボヘミアのヨハン盲目王についての短い記事を書くことになり、それをずっとやってたのでした。最近の集中力低下は酷いもので、ブログの記事と同時にだと進まなそうだったので、ブログはちょっと手を止めて、ヨハン王についてずっとやってました。
ほんの2ページ分でいいというので簡単にできるだろうとか思ってましたが、『王権と貴族』とか『世界歴史大系』とか『オーストリア史』とかいろいろ読み直してたら、思ったよか時間かかりました。昨日完成したので、ブログの方を再開したというわけです。

これやってる間にも他の本とかも読んじゃったりしてたのですが、その中で、これは非常に面白かったです。



『鉄腕ゲッツ行状記 ある盗賊騎士の回想録』

(ゲッツ・フォン・ベルリヒンゲン。訳/藤川芳朗。白水社。2008年。2500円。244ページ)
訳者まえがき
構成
献辞
第一部 フェーデ
その一 生い立ち、ブルグント遠征、辺境伯の小姓としての日々
その二 スイス戦争、マクシミリアン1世から言葉をかけられる
その三 盗賊騎士ゲッツの誕生、ニュルンベルク戦争での大手柄
その四 厚顔無恥な傭兵を相手に、危険な大立ち回りを演じる
その五 追い剝ぎ同然の騎士たちがぶつかり合う、小さな逸話
その六 砲弾で片手を失うが、鉄腕騎士となってますます暴れる
その七 姓名未詳の煽動者を支援した、ゲッツ兄弟の短い逸話
その八 対ケルン市のほか、フェーデがフェーデを呼ぶ日々
その九 対バンベルク・フェーデ、ただし狙いはニュルンベルク
その十 帝国追放刑と破門、さらには戦争で捕虜となる体験
その十一 生涯最高額の身代金を得るフェーデ、他の騎士との確執
第二部 農民戦争
その一 農民軍に無理強いされて、その隊長となったいきさつ
その二 農民戦争の責任を問われ、二年の幽閉生活を送る
その三 釈放に際しての条件、裁判官の横顔とルター派の信仰
その四 シュヴァーベン同盟解散で失われた釈明の機会
第三部 騎士としての武力行動
その一 若いころ、一貴族の争いに加勢し、捕虜となる話
その二 ジッキンゲンを訪れる途中、見知らぬ騎士に襲われる
その三 恩赦で軟禁を解かれ、対トルコ戦争でウィーンにおもむく
その四 すでに高齢ながら、カール5世のフランス遠征に参加する
その五 世のため人のために生きたことを、今一度教訓として語る
その六 神の恩寵を信じつつ、回想に終止符を打つ
訳注
ゲッツ年譜
訳者あとがき

中世末期/近世初期、15世紀と16世紀のドイツに生きたひとりの騎士の回想録の翻訳です。
ゲッツはゴットフリート・フォン・ベルリヒンゲン(ゴットフリートの愛称がゲッツ)という騎士でしたが、生涯にわたってさまざななフェーデ(私闘)を繰り返し、自分のどころか他人のフェーデにまで手を貸して当人よりも大活躍したりする上に、商隊を襲うなど盗賊騎士としても悪名高く、たいそうな暴れん坊でした。彼は1480年頃に生まれ、1562年まで長生きしたのですが、晩年近くなって自分のしてきたことを回想録にまとめました。これはベルリヒンゲン家に代々伝わり、あまりの面白さから、どんどん写本が作られ、さらには出版されていくことになります。19世紀半ばになって子孫のフリードリヒ・ヴォルフガング・ゲッツ・フォン・ベルリヒンゲン=ロサッハ伯爵という人が、『鉄腕騎士ゲッツ・フォン・ベルリヒンゲンとその一族の歴史』という本を書いてたりしますが、その他にも多くの作家が彼をモチーフに作品を描き、中でもゲーテが1773年に『鉄腕ゲッツ・フォン・ベルリヒンゲン』というものを書いていたりもします。
ゲッツが「鉄腕」なるあだ名をちょうだいしているのは、若い頃に参加した戦いで、砲弾があたって重傷を負って右手を失い、それ以後は機械仕掛けの精巧な義手をしていたためです。彼はそんな体になっても以後もフェーデを続け、浮き沈みの激しい生涯を送った人物でした。
そんなゲッツが書き出した彼の人生の物語は、緊迫する戦争のやりとりや、喧々諤々の大騒動、笑ってしまような間抜けなエピソードなど様々な話が盛り込まれ、生き生きと描写されています。大都市を相手に渡り合ったり、著名な人物が登場したりと、思わず「おお〜っ!」と言いたくなるような、痛快で面白い冒険物語となっているのです。
内容は判り易く、文も読み易く、ある意味小説のような感覚で読めるのではないでしょうか? これは中世・近世のヨーロッパ史に興味がある人にはオススメです。特に当時の様子について知りたい人にとっては超オススメの一冊となっています。是非どうでしょう?

○追記
せっかくなので興味深かった部分など抜粋してみます。

「さて、ニュルンベルクの者たちと敵対するつもりであったことを、わしは誰にも隠し立てしようとは思わぬ。すでに準備に取り掛かっていたときに、どう進めるのが一番よいかを、今一度じっくり考えた。そして思いついたのが、まずは例の坊主、つまりバンベルクの司教と談判する、という手であった。そうすればニュルンベルクの者たちも黙ってはおるまい。このような考えから、わしはまず、司教が通行の安全を保証した九十五人の商人たちを襲い、引っ捕えてこっちの言うとおりにさせた。」

ゲッツはこんな感じで人びとを捕えては身代金を取ったりして稼ぎました。基本的には「フェーデ」という形で正統な理由を持って行うのですが、中には理由を後付けして襲う場合もあったようです。
しかし、捕まってしまう人の中には運の悪い人もいるようで、次のようなことがあったようです。

「つまり、前々から知っていたことだが、ニュルンベルクの商人がフランクフルトの見本市に行くときは、ヴュルツブルクに泊まった翌日、徒歩でハビヒツタイルとマイン河畔にあるレングフルトの町を通り抜け、シュペッサルト山地に向かうことになっていた。わしはまず確かな情報を集め、やがて五人か六人の商人を引っ捕えた。そのなかの一人はこのわしにすでに三度、しかもこの半年のあいだに2度とっつかまり、一度は金品を取り上げられていた。ほかの者たちはニュルンベルクのしがない荷造り人たちであった。」

三度も! 捕まり過ぎだ。災難もいいとこです。

他にもいろんな戦いがあるんですが、とある村で因縁のある人物とその主人の騎士を追いかけ回していた時、逆に農民たちに襲われる話なんてのも面白かったです。

「そうやってわしが村のなかでやつを追いかけ回していたとき、一人の農民が石弓に矢をつがえているのが目に入った。そこでわしはそいつに突進し、射るまえに矢を払い落としてくれた。それからすぐに馬を止め、そやつを剣で一突きして、わしがナイトハルト・フォン・テュンゲンの一党であること、したがってフルダの味方だってことを思い知らせてやったよ。ところがその間に農民たちが群をなしてやってきて、手に手に豚小屋用のフォークだの手斧だの、あるいは投げ斧やら薪割り斧やら石やらを持ち、わしを取り囲みおった。俗に言う、『ぶん投げろ、さもなきゃ何も始まらぬ、ぶっ叩け、さもなきゃ何も手に入らぬ』というやつで、手斧やら石やらがわしの頭をかすめてびゅんびゅん飛び交い、こっちのお椀を伏せたような格好の兜を直撃するのではないかとひやひやしたよ。」

なんかその場面が思い浮かべられて笑えます。この本はそういう想像を誘う場面が多いです。

あと、東欧関連の話ではこれが面白い。
1499年、まだゲッツが若い頃、小姓としてホーヘンツォレルン家のアンスバハ辺境伯フリードリヒ5世に仕えていたのですが、その時にポーランド人と諍いを起こしたことがありました。

「ある日、食事のときにたまたまポーランド野郎の隣の席につくことになった。そいつはな、髪の毛の色つやが良くなるからと、溶いた鶏卵を塗っておるようなやつだった。わしがそのとき、わが殿ファイト・フォン・レンタースハイム様がナミュールで作らせてくださった、フランス風の長い上着を着ておったのは、思えば幸いなことであった。というのも、わしが今しがた述べたポーランド野郎の隣で勢いよく立ち上がったとき、知らぬうちにその上着が触れて、やつのきれいに撫でつけた髪を乱してくれたのだ。まだわしが立ち上がっている最中のことであったが、やつがパン切りナイフで突きかかってくるのが目の隅に入った。こっちのからだはかすりもせなんだが、わしがこん畜生と思ったのも道理というものであろう。わしはそのとき長い剣と短い剣を手元に携えておったのだが、とっさに短い方をつかむと、奴の頭をポカリとなぐってやった。それでも小姓のお勤めは決められたとおりにつづけ、その夜は城にとどまっておったよ。」

血気盛んなお年頃ですから、こんなしょーもないことで喧嘩も起きようというもの。しかし、翌日、次席侍従からお前を捕えるとのお達しが。納得できないゲッツは辺境伯フリードリヒの息子たちのところへ行き、匿ってもらう。しかし、王子たちが父や母のところに行ってとりなしたものの、ゲッツが一応罰せられないといけないということになってしまいます。なにせ、ゲッツが問題を起した相手のポーランド人は、辺境伯フリードリヒの妃ソフィア(ゾフィー)の関係者だったのです。なんで、辺境伯の妃とポーランド人に関係が?、と思うかもしれませんが、このソフィアという奥さんは、当時のポーランド王ヤン1世の妹で、前王カジミェシュ4世の娘だったのです。ここでゲッツがちゃんと処分されないと、妃側の面子が立たないというわけで、さすがに王子たちでもどうにもできなかったみたいです。ちなみにこの王子たち三人の中の三男アルブレヒトは、1512年にドイツ騎士団の総長に就任し、さらに1525年にはプロイセン公となるのです。つまりプロイセン公国、ひいてはドイツ帝国はこの人から、という大事な人なわけです。こんなところでもゲッツは著名人と関わっていたりします。この本には他にも神聖ローマ皇帝マクシミリアン1世や、騎士戦争の参加者ジッキンゲンやフッテンなども登場します。
さて、このポーランド人の小姓とのいざこざですが、さらにひとつエピソードが入っています。あの後ゲッツはある場所でポーランド人の小姓とばったり出会うのです。

「と、どうしたことか、不意に当のポーランド野郎が、とはつまりわしが城中で殴りつけてやったやつ、そして今はわしに仕返ししたがっているやつが、思いがけず一人でこっちへやって来るではないか。わしもまた一人であったから、千載一遇の好機が訪れたのであった。そこでわしはすぐさま意を決して、やつに戦いを挑み、攻めに攻めた。やつはたまらず逃げ出して、自分がそのころ仕えていたリトアニア公の宿所に飛び込んだ。さもなければ、かならずや一太刀あるいは幾太刀か食らわせてやったものを。それにしても人だかりがすごかったから、市場や家の窓からわしらを見ていた人間は百人にものぼったであろう。」

当時、アンスバッハにリトアニア公の宿所があったというのも面白いですね。この時のリトアニア公アレクサンデルは、ヤン1世と同様にカジミェシュ4世の息子のひとりで、辺境伯の妃ソフィアの兄弟ということになります。

これの他にも、とあるボヘミア貴族が、その時のボヘミア王ヴワディスワフ2世(ハンガリー王でもあったのでウラースロー2世でもある)に叛旗を翻すため、あることに手を貸そうとするも失敗してしまう、という話が入ってます。これなんかも面白いですよ。だいたいこのヴワディスワフ2世ってのもやはりカジミェシュ4世の息子のひとりで、妃ソフィアの兄弟なんですから。

他にもいろいろ面白い逸話がありますが、それはどうかこれを読んでみてください。

ところで、鉄の義手に「ゲッツ」という名前、というと、漫画の『ベルセルク』を連想してしまいますね。『ベルセルク』の主人公は「ガッツ」で鉄の義手ですし。でも、作者の三浦建太郎氏は、ゲーテの『鉄腕ゲッツ・フォン・ベルリヒンゲン』は知らなかったとか言ってるみたいです。でも、ここまで似てるのは、どこかでこのゲッツについての話を聞いたことがあって、それがモチーフになって作られたんでしょうね。

あと、『銀のうでのオットー』に言及したかったけど、本が見つからないので、それについてはまた今度。

参照サイト
白水社
http://www.hakusuisha.co.jp/
鉄腕ゲッツ行状記
http://www.hakusuisha.co.jp/detail/index.php?pro_id=02629

関連記事
エムスとの戦いの中、雷鎚の魔女であることが危機を招くことに。Cuvie『ドロテア 魔女の鉄鎚』第5巻
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カラー写真満載! ドイツの文化などを紹介する本『Knaurs Kulturfuehrer in Farbe. Deutschland』。
http://xwablog.exblog.jp/7957530/
12年振りの『近世の文化と日常生活』だったという話の記事
http://xwablog.exblog.jp/7239531/
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by xwablog | 2008-04-07 23:58 | 書庫
奥野さんがこんなの書いてくれた。『カザン汗国の落日 最後の妃スュユンビケの伝説』
今日の午前中は台風襲来でした。しかし、台風でも自転車外出するのがマトウ式。
そして、そういう時に限って、乗ってる間だけ雨足が強くなり、目的地に着くと雨が止むのもマトウ式。
そんな管理人・馬頭がお送りするこのクワルナフ・ブログですが、最近はすっかり漫画紹介ブログと化してしましました。でも本当は東欧・ロシア史中心の世界史サイトなのですよ。
で、あと3日でコミケということで。

「クワルナフ」はコミックマーケット70に参加いたします。

2日目・西館・な16b

既刊持ってきます。新刊はロシア仲間の奥野さんが寄稿してくれたやつをコピー本にさせてもらいました。

カザン汗国の落日最後の妃スュユンビケの伝説

『カザン汗国の落日 最後の妃スュユンビケの伝説』

1552年のカザン汗国滅亡の状況と、そこに登場するひとりの女性・スュユンビケについて書かれたものです。

これの他に既刊を持ってきます。
『キエフ公国史 改訂版』
『第1次ブルガリア帝国の興亡』A-B
なんか、いつまでも在庫残っててうんざりです。
あと、時間的余裕があれば、『プシェミスル家君主一覧』も持ってきます。

で、当日の天気ですが、今予報をみると、「晴れ時々雨」のようです。

ヤフー天気
http://weather.yahoo.co.jp/weather/jp/13/4410.html

土曜は降水確率70%。まあ、ほぼ降るみたい。しかし、昔からコミケでは「コミケの日は晴れる」という信仰がありますから、この日もそうなって欲しいものです。
ちなみに日曜日も降水確率60%。晴れ時々雨です。

参照サイト
コミックマーケット準備会
http://www.comiket.co.jp/

関連記事
コミックマーケット75にサークル参加してきました。中世ポーランド本『ピャスト家君主一覧』
http://xwablog.exblog.jp/10116922

コメント

>2日目・西館・な16b

ああ・・・やっぱり行けませんでした。
残念無念。
土曜日が仕事なのがいい日に当たってしまった。

>『カザン汗国の落日 最後の妃スュユンビケの伝説』

これはまだ購入できますでしょうか?
Posted by 大鴉 at 2006年08月13日 21:04

>カザン
どうも。お疲れさまです。
カザンのほうはまだまだ大丈夫ですので、おまかせください。
Posted by 管理人・馬頭 at 2006年08月14日 11:03
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by xwablog | 2006-08-09 03:42 | 日記
あまり報道されないプーチンのダークサイド。江頭寛『プーチンの帝国』の書評
古い記事。

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2006年04月25日
あまり報道されないプーチンのダークサイド。江頭寛『プーチンの帝国』

黒っ! プーチン、やっぱり真っ黒だ!
江頭寛氏の『プーチンの帝国』を読んだ感想はそんな感じです。

プーチンの帝国


『プーチンの帝国 ロシアは何を狙っているのか』

(江頭寛。草思社。2004年。1900円)

プーチンがどのようにしてロシアの最高権力者となったのかが詳しく解説されています。
プーチンが大統領になった時、彼の目つきを見て、殺し屋が間違って大統領になった、とか思った人も多いかと思いますが、これ読むと流しの殺し屋やってた方がよかったんじゃないか、とかちょっと思いました。
スクラートフの「セックスと嘘とビデオテープ事件」とプリマコフ解任からはじまって、ロシアのエネルギー問題を軸に、プーチンの人脈のことや、チェチェンや朝鮮、対米関係といった外交とかも関連させて話題になってます。セミヤーやシロヴィキといったグループのこと、とくにチュバイスとの密接な関係とか、まあ、いままでほとんど分かってませんでしたが、少しはこれで知ることができました。
油田やガスといったエネルギー産業の汚い内幕が凄いです。暗殺しすぎ。
これ読むとますますロシアの未来は暗いように見えます。みんな目先のことしか考えてませんよ。おい。

これにプーチンの次女は日本文学か何かを大学で専攻してるそうですね。実は秋葉いつき氏のように、オタクだったら面白いのに。秘かに訪日して、護衛付きでコミケ行ったりとか。

あと、この本を書いた人の意図なのか、表紙裏に描かれているロシア地図を見ると、南樺太と北方四島が日本領になってます。こんなところでひっそり主張してます。
この地図を見ると南北樺太の中間で国境線を引いた上で、さらに宗谷海峡との間にも国境線が描いてある。だけど、根室海峡との間に線はひかれて無い。ここらへんに微妙な主張があるようで面白いです。

そういえば、この前の竹島・ドクト問題はドキドキしましたね。是非とも調査船が入った時に空対地ミサイルで撃沈するぐらいのことはあるかと思いましたが、そうはならず。
日本政府の中途半端な対応ではどうともならないでしょう。領土が欲しいのに話合いなんかで解決するはずありません。しかも、実効支配をしてないのにどうできるというのか。土地とは血を流して手に入れるもので、沖縄みたいな例はまれでしょう。「歴史的経緯」なんて後からどうとでもなるんだから、必要なのは誰がそこを支配しているか、でしょう。韓国みたいなあからさまで汚い手の方が有効だと気付け。
今、ちょうど見ていた昔の世界地図だと150万分の1サイズの地図だと竹島表記は無し。2100万分の1サイズになってやっと登場です。昔からあまり積極的に主張してこなかったみたいだけど、どうしてだろう? まあ、こういった「領土」問題は、基本的には経済的特典についての問題がベースなんですが、これにかこつけて見たくも無いカッコ悪いナショナリズムが唱えられてウザくてたまらないので、そこらへんはやめて欲しい。
まあどうせ、この問題は極東の情勢が劇的に変化しない限り解決しないでしょう。

撃沈といえば、この前東京湾で沈んだフィリピンの貨物船の沈没映像凄かったですね。
海が深くてもう引き上げられないとかで、また海が汚れます。
GPSとかつけてないのか?

Posted by 管理人・馬頭 at 02:42 |Comments(0) |TrackBack(0) | ロシア・CIS , 本 , 国際情勢

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でも、結局、この本がどれくらいまともな本かはわからず。ロシアとなると無意味に貶める人多いので。

関連記事
ペルシャ特集とか、モスクワの記事とか。『ナショナルジオグラフィック』2008年8月号
http://xwablog.blog20.fc2.com/blog-entry-384.html
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by xwablog | 2006-04-25 03:58 | 書庫