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ヴラド串刺し公の伝記。ストイチェスク『ドラキュラ伯爵 ルーマニアにおける正しい史伝』
今日は暑かったですね〜。蒸し暑い。「まるで夏みたいな天気だな」とか一瞬思ったけど、よくよく考えればもう7月ですよ! 最近は時間が経つのが速いなぁ。

『ドラキュラ伯爵 ルーマニアにおける正しい史伝

『ドラキュラ伯爵 ルーマニアにおける正しい史伝』

(ニコラエ・ストイチェスク。訳/鈴木四郎&鈴木学。中央公論社。中公文庫。1988年。323ページ。560円)
訳者まえがき
第一章 ツェペシュ公の家族、青年時代と最初の治政(1444年)
第二章 ヴラディスラヴ2世の治政(1447〜1456年)、ヴラッド・ツェペシュの追放と復位(1456年)
第三章 ヴラッド・ツェペシュの国内政策
第四章 ヴラッド・ツェペシュとシュテファン大公
第五章 ワラキアとトランシルヴァニア、ハンガリーとの関係
第六章 ヴラッド・ツェペシュの1462年、対モハメッド2世戦の勝利
第七章 ヴラッドの失墜と逮捕
第八章 1462〜1476年間のワラキア。ヴラッド・ツェペシュの最後の治政。公の死(1476年)
第九章 ルーマニア人のみたヴラッド・ツェペシュ
第十章 ドラキュラという異名の登場
ヴラッド・ツェペシュ年表
参考文献
地図(ヴラッド・ツェペシュ時代のルーマニア公国)
訳者あとがき

『吸血鬼ドラキュラ』(ブラム・ストーカー著)のドラキュラのイメージの元となった実在の人物ワラキア大公ヴラド・ツェペシュを、ルーマニア人の歴史家が調べて本にしたものの翻訳。原著は1976年にヴラド公没後500年を期して出されました。この翻訳は日本でヴラド公をまともに扱ったはじめての本だと思われます。翻訳者の鈴木両氏は恒文社の『ルーマニア史』を翻訳した人たち。
実は同人誌の方が、まったくといっていいほどなんもしてなくて、どう考えてもオフセは無理だし、簡単なものにしないといけないということで、ネタを探すためになんか久々に引っ張り出してパラ見してみました。これ、前に読んだの10年以上前だと思い出し、東欧ものから遠ざかってたことに改めて気づきました。マズいな・・・
なんか中見てみると、思ってたより文字の級数が大きい。そういや中公文庫だったっけか・・・。岩波文庫並みかと思ってたので、読み直すならそれほど苦労はなさそうです。
これを同人誌にするとなると、やはり詳細年表か登場人物一覧とかになるかな? ちょっと厳しいかもしれない。というか、やるならもっと気合い入れてやりたい気もします。

これ、文庫のやつは2002年に改訂版が出ています。読み直す時に買い直してみるかな。

著者の「ストイチェスク」のこと、ずっと「ストイチェク」だと思ってた。よく見たら違ってて吃驚した。

中央公論社のサイト見てて気づきましたが、ゲバラの本が出てますね。『ゲバラ 世界を語る』(訳/甲斐美都里)。
あと、『世界の歴史』のシリーズも「成熟のイスラーム社会」が出てるし。


参照サイト
中央公論社
http://www.chuko.co.jp/bunko/
ヴラド・ツェペシュ(wikipedia)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%B4%E3%83%A9%E3%83%89%E3%83%
BB%E3%83%84%E3%82%A7%E3%83%9A%E3%82%B7%E3%83%A5

関連記事
チャーンゴー人が載ってる『ナショナルジオグラフィック』を発見。2005年6月号
http://xwablog.exblog.jp/7751492
失踪した恋人を捜しにトランシルヴァニアへ。トニー・ガトリフ監督『トランシルヴァニア(TranSylvania)』
http://xwablog.exblog.jp/8026738
ブラン城の返還。ワラキアの歴史ある城がアメリカ在住のハプスブルク一門のものに
http://xwablog.exblog.jp/7696157
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by xwablog | 2008-07-06 02:54 | 書庫
トルフィンとトルケルの決闘の結末とクヌートの覚醒。幸村誠『VINLAND SAGA(ヴィンランドサガ)』第6巻
web拍手レス
>アフタヌーン読みました。アシェラッドの怒りにこっちまでビクビク。トルフィンは知らないんですよね・・・・
ただのヴァイキングの頭目程度じゃなかったアシェラッドですが、このネタがどう絡んでくるかが楽しみですね。

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『VINLAND SAGA(ヴィンランドサガ)』第6巻

(幸村誠。講談社。アフタヌーンKC。2008年。562円)
「追いつかれたアシェラッドたちは、もはや壊滅寸前まで追いつめられた。そんな中、トルフィンはトルケルとの決闘において善戦する。しかし、最高の戦士たるトルケルにまさに一蹴されてしまう。絶対絶命のピンチの中、トルケルはトルフィンに父トールズのことを語りはじめるのだった。その頃、別途逃げていたクヌート王子は自らの意志でトルケルたちの所へと戻りはじめ・・・」

『アフタヌーン』で連載中の中世ヨーロッパを舞台にした歴史漫画の最新刊が出ました。
トルフィンとトルケルの決闘は、トルフィンの善戦で長引きますが、ついに一撃を食らってしまって負傷してしまいます。しかし、決闘の再開のために治療している時、トルケルはトルフィンにトールズのことを喋りはじめます。こうしてヨーム戦士団の中で「戦鬼(トロル)」とまで呼ばれたトールズが、アイスランドで隠遁生活を送りはじめるまでのことが分かることになります。
ちなみに「ヨーム戦士団(ヨーム戦士国)」ってのはバルト海を拠点にしたノルマン人たちのこととしてあり、豪族シグヴァルディが率いています。トルケルはそのシグヴァルディの弟。トルフィンの母ヘルガはシグヴァルディの娘。実際にヨームヴァイキングについての話が有名な「ヘイムスクリングラ」などに載っていて、ヴェンドランド(北ポーランド)に、ヨームスボルグという拠点を置いた無敵のデンマーク系ヴァイキングたちの活躍について語られています。「背の高いトルケル」もこの話の中の登場人物。ただ、ヨームヴァイキングたちも、トルケルも実在は極めて怪しいらしいです。
彼がトルフィンに語る、父トールズが死んだと思われた戦い「ヒョルンガバーグの戦い(ヒョルンガヴァーグの戦い)」がこのヨームヴァイキングのサガの一番盛り上がる場面になってるようです。

さて、この巻では、トルフィンVSトルケルの決闘の他に、クヌート王子がなにかを悟り、決意する場面が含まれています。いままでのボンクラ振りから一転、父王スヴェン双叉髭王と戦おうと、王としての器量の一端を見せてくれます。
これでまた一段落ついたわけで、これからの展開が大きな話になってきそうですね。


『月刊アフタヌーン』2008年8月号

『月刊アフタヌーン』2008年8月号
(講談社。2008年。680円)
表紙・幸村誠「ヴィンランド・サガ」

最新号の『アフタヌーン』は『ヴィンランドサガ』が表紙。連載の方は、ゲインズバラのスヴェン王の本営で親子が対面するところ。

ちなみに我らがエウメネスの『ヒストリエ』は、エウメネスの今後の身の振り方をどうするか、という話。アレクサンドロスの側近となるためアリストテレスの学校に行くか、書記官となるか、という選択。
あと、この号の「百舌谷さん逆上する」は、笑い死にそうになりました。


参照サイト
e-1day アフタヌーン
http://www.e-1day.jp/afternoon/news/
2002年9月号/幸村誠 先生(日本漫画学院webのインタヴュー)
http://www.manga-g.co.jp/interview/int02-09.htm
ヴィンランド・サガ 6(むとうすブログ)
http://samayoi-bito.cocolog-nifty.com/mutous/2008/06/6_3d3b.html

関連記事
イギリス史ものを特集。『COMICS DRAWINGコミックス・ドロウイング』2008年No.02
http://xwablog.exblog.jp/8533256
トルケルの追撃によって追いつめられ・・・。幸村誠『VINLAND SAGA(ヴィンランド・サガ)』第5巻
http://xwablog.exblog.jp/7621046
ヴァイキングたちの取引についての考え。熊野聰『ヴァイキングの経済学 略奪・贈与・交易』
http://xwablog.exblog.jp/7560019
実在のバルトの海賊王シュテルテベイカーの生涯を描く『パイレーツ・オブ・バルト』
http://xwablog.exblog.jp/7457302
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by xwablog | 2008-06-25 23:25 | 史劇
ラテン帝国建国の経緯を当事者が描く。ヴァルアルドゥワン『コンスタンチノープル征服記 第四回十字軍』
コンスタンチノープル征服記 第四回十字軍

『コンスタンチノープル征服記 第四回十字軍』

(ジョフロワ・ド・ヴァルアルドゥワン。訳・註/伊藤敏樹。筑摩書房。1988年。2987円。259ページ)
序文(ジャン・デュフゥルネ)
地図
コンスタンチノープル征服記

解題
詳細目次
関係年表
文献案内
地名索引
人名索引


13世紀初頭、第四次十字軍に参加したシャンパーニュ伯の家臣の中でも上位の家老(マルシャル)だったヴァルアルドゥワン(ヴィルアルドゥアン)が書いた「公式記録(報告書)」的な読み物。彼はモンフェラート家のボニファッチョの顧問として活躍しました。
1198年にヌイイのフゥルクが十字軍を呼びかけるところから、1205年にラテン帝国の皇帝となったボードワン1世(元フランドル伯)がブルガリア軍との戦いで死亡するまで116章に分けて、13世紀初頭の第四回十字軍を企画者・参加者の側から描いています。第四次十字軍についてはロベール・ド・クラリの著作もありますが、こちらのヴァルアルドゥワンのものは、極めて指導的立場に近い位置にいた人物の書いたものとして興味深いものがあります。

私的に面白かったのは38章のイサキオス2世とフランク側の会見の様子。
「こうして使者らは城門まで案内され、開門されると馬を降りた。ギリシア方は城門よりブラケルナイの本殿にかけて、斧を手にしたイングランド人、デンマーク人を配していた。こんな具合で本殿まで導かれ、そこでイサキオス皇帝-----御衣の豪華なこと、これにすぐるものはまずなかろう----と、傍らにおわす皇妃に拝謁した。この方はそれは美しく、ハンガリア王の妹君であった。」(P71より抜粋。)
ノルマン人の近衛兵(ヴァリャーギ)がまだいるのですよ。メンアットアームズの『ビザンティン帝国の軍隊』によると、彼らが莫大な金を見返りに皇帝アレクシオス3世を裏切り、フランク側・新皇帝アレクシオス4世側にについたとのこと。このことはこの『コンスタンチノープル征服記』には書いてないですね。城壁にたくさんのイングランド&デンマーク人がいて、果敢に守ったことが書かれてます(35章)。彼らの給料は一月に10〜15ノミマスだそうです。
だいたいが本当にイングランド・デンマークの人だと思うけど、中にはルーシ系の人もいたろうな。当時のキエフ・ルーシとビザンツ帝国のつながりってのはどの程度だったんでしょうね〜。すでにドニエプル経由の交易が下火になってた時代とも言われてますが、まったく無くなったなんてこともないでしょうし。1218年にはルーシはキエフに亡命していたイヴァン・アセン2世を支援してブルガリアに軍隊送ってますし、それくらいの繋がりはこっちの方ともあったはず。当時のキエフ大公はスモレンスク系のムスチスラフ剛胆公。つまり1223年にカルカ河畔の戦いでルーシ諸侯軍を率いて死んじゃう人ですね。なんか、援軍とか出すくらいだから、ブルガリアの隣国といってもいいくらいのガーリチ系かと思ったのに(ちょうど混乱してたからそんなことできなかった?)。
ここらへん、日本語資料がなんもなくて困ります。

この『コンスタンチノープル征服記』は、現在、講談社学術文庫から新装版が出てますね。

ちょっと前に『第四の十字軍 コンスタンティノポリス略奪の真実 』という緑色の表紙の本が出ましたが、まだまったく読んでません。いつか東欧・バルカンものの同人誌を作るときには絶対必要になるだろうけど、買ってもない。

参照サイト
筑摩書房
http://www.chikumashobo.co.jp/
講談社
http://www.kodansha.co.jp/
ビザンティン帝国同好会
http://www.geocities.co.jp/CollegeLife-Labo/9837/

関連記事
バルカン半島の略史を写真などをたくさんつけて解説。柴宜弘『図説 バルカンの歴史』
http://xwablog.exblog.jp/7900953
長い間、中世ブルガリア史における最大の情報源でした。恒文社『ブルガリア 風土と歴史』
http://xwablog.exblog.jp/8006536
オスプレイのCampaign Series『カルカ河畔の戦い 1223年』他、カルカ河畔の戦い関連
http://xwablog.exblog.jp/8694245/
奥野さんの記事「バトゥのロシア遠征」も載ってる。『コマンドマガジン』vol.79 チンギスハン特集
http://xwablog.exblog.jp/8099527/
映像が50分も追加されてます。blu-ray『KINGDOM OF HEAVEN(キングダム・オブ・ヘブン) ディレクターズ・カット版』
http://xwablog.blog20.fc2.com/blog-entry-283.html
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by xwablog | 2008-06-21 05:31 | 書庫
コミックマーケット74に当選いたしました。あとドバイでコミケとか。
コミックマーケット74に当選いたしました。
参加は三日目。日曜日 東地区 "ホ" ブロック 12b、となります。

無事当選したのはいいのですが、同人誌の方が全然できてません。
えーと、今週からきっちりやるとしても、実質3週間しか無い・・・
また、いつものパターンか.......orz
予定としては『キエフ公国史』の3を出したいと思ってます。だ、大丈夫かな〜

ところで、サークル情報の登録と検索ができるサークル・ドット・エムエスですが、なんか、携帯メールアドレスがないとサークルの登録が出来ないんですが(笑
まあ、会員登録はできるので、当落は確認できましたが。


今日は、奥野さんちで速水さんの単行本発売記念で食事会がありました。
その時の話の中で、この前NHKでやったアラブ首長国連邦の首都ドバイを扱ったドキュメンタリー番組『沸騰都市ドバイ・砂漠に出現した黄金の街』のことが出ました。で、そこに異様に巨大な施設が次々と建設中とのこと。この番組見たかったな〜。ウチはテレビ無いからDVDでも出ないとどうしようもない。
で、これだけの施設ならコミケできるだろうとも言っていたのですが、何か問題あってコミケがビッグサイトで開催できなくなったら、ドバイで開くというのはどうでしょう。

例えば、コミケが無くなったら。(rough note)
http://www.sonokawa28.net/adiary/index.cgi/021

まあ、実際、絶対ビッグサイトで開催し続けることができるかというと、意外と簡単に駄目になりそうな感じですし、予防的に別の開催予定地くらいは決めとくのもいいんじゃないかと。ドバイとか。ほら、アラブ社会じゃ日本のアニメが結構放映されてるとも言うし。で、開催して、皆して宗教的倫理逸脱とかで全員有罪に。あ、ドバイは宗教的制約が緩い街らしいから大丈夫かな。

関連サイト
コミックマーケット
http://www.comiket.co.jp/
同人誌のページ(デジタル・クワルナフ)
http://www.toride.com/~digxwa/digxwaFiles/magf/mag_f.htm
Circle.ms(サークル・ドット・エムエス)
http://circle.ms/Top.aspx
rough note.
http://www.sonokawa28.net/adiary/index.cgi/
ブルジュ・ドバイ(wiki)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%96%E3%83%AB%E3%82%B8%E3%83%A5%E3%83%BB%E3%83%89%E3%83%90%E3%82%A4
ブルジュ・ドバイ公式サイト
http://www.burjdubai.com/
東京国際展示場
http://www.bigsight.jp/

この記事もどうぞ。
君は速水螺旋人を読んだ事があるか!?『速水螺旋人の馬車馬大作戦』という名を持つ本の形の果てしない世界
http://xwablog.exblog.jp/8611488/
東京富士美術館で『国立ロシア美術館展 ロシア絵画の黄金時代』を見てきました。
http://xwablog.exblog.jp/8066438/
2008年あけおめ。あと、コミケ、サークル参加の報告とか。
http://xwablog.exblog.jp/7891650/
コミックマーケット73。明日は間に合わないかも。セルビア歴代王一覧本。
http://xwablog.exblog.jp/7878313/
クワルナフは、コミックマーケット72に参加しました。三日目日曜日。
http://xwablog.exblog.jp/7319314/
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by xwablog | 2008-06-09 03:20 | 日記
中世ロシアの沈黙のイデオロギーによる知的体系の抵抗を読み解く。C・J・ハルパリン『ロシアとモンゴル』
web拍手レス
>元史の「嘘は書かないけど都合の悪いことは書かない」っぷりをあげつらおうと思ってたとこ。
>結局、役人(的な立場の人)のやる事なんて、いつでもどこでも今の日本そんなもんじゃないの?(雪豹だよ)
『元史』もそうですか〜。どの国でも同じようにしちゃうのが面白いですね。
ロシアの場合は、宗教的理由があったにせよ、そうあるべしと取り決めがあったわけでしょうになぜか徹底してるのが凄いです。

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まわりだと武藤さんがすでに読んでますが、私もやっと読み終わりました。中世ロシア史の本です。



『ロシアとモンゴル 中世ロシアへのモンゴルの衝撃』

(チャールズ・J・ハルパリン。訳/中村正己。図書新聞。2008年。2800円。273ページ)
序文
謝辞
第一章 中世の民族・宗教的境界地帯
第二章 キーエフ・ルーシと大草原
第三章 モンゴル帝国とゾロターヤ・オルダー
第四章 モンゴル人のルーシ統治
第五章 ルーシの政治におけるモンゴル人の役割
第六章 モンゴル人支配についてのルーシ人の「理論」
第七章 経済的ならびに人口誌敵諸結果
第八章 モンゴル人とモスクワ大公国の専制政治
第九章 モンゴル人とルーシ社会
第十章 文化的活動
第十一章 結論

文献一覧
訳者あとがき
索引


中世ロシアとモンゴルとの関係を中心に、その影響を考察する一冊。ハルパリンはアメリカのロシア史研究家で、今はインディアナ大学ロシア東欧研究所客員研究員だそうです。この本そのものは、20年前の1985年に書かれたもので、原題は「RUSSIA AND THE GOLDEN HORDE(ロシアと黄金の幕営)」。
キエフ・ルーシ(キエフ公国)とモンゴル帝国との関係は、「タタールのくびき」という言葉によって表されてきましたが、長くその負の影響ばかり強調されてきました。しかし実際には、良い悪いを問わずその影響は多大であり、誤った認識もたくさんあるということを、いろいろな面から解明していきます。
モンゴル側については、モンゴル帝国そのものよりも、原題にあるように「黄金の幕営(黄金のオルド)」、つまり普通はキプチャク汗国(金帳汗国)もしくはジョチ・ウルスと呼ばれているヴォルガ川下流を中心とした南の平原地帯に拠点を持つ国家が取り上げられています。ハルパリンは「キプチャク汗国」という名称そのものが元来の意味とかけ離れているということで、これを使わず、ロシア語の「ゾロターヤ・オルダー(黄金の幕営)」を使っています。
読み始めた時、ロシア・モンゴルの話から飛んでスペイン史とかの話にまで及んでったので何かと思いましたが、それは説明のためだし、はじめだけ。ルーシとモンゴル人たちとのいろいろな関係を説明していきますが、その中で、ルーシ側の書いた史料から直接的ではなく、行間を読むことによって、その中世ロシア世界の知的世界の意図を読み解こうとしています。
ハルパリンによれば、中世ロシアの知的な上層階層は、戦いに敗れ、その支配下に組み入れられ、否が応でもモンゴルと付き合わなければならないとなった時、たくみに態度を使い分け、国内的にはモンゴルの支配そのものをまるで無いものかのように扱っていたそうです。実際には親しく付き合い、利益を得ていたのにも関わらず、それがロシア正教の宗教イデオロギーと対立し問題となるため、モンゴルのことについてはあえて記録に残したりすることわざと避けてきたわけです。このロシア知的階層の行った消極的な抵抗をハルパリンは「沈黙のイデオロギー」と読んでいます。

「モンゴル人支配に対する同時代の書き物に反映されたルーシの知的反応は入り組んでおり、かつ不明確だった。書き手は通常タタール人を論じることを厭うことはなかったが、しかし自らを律して、継続的宗教戦争におけるできごととしてモンゴル人の残虐性を写実的に描写するにとどめる傾向があった。ルーシの知識人がモンゴル人の存在を政治的用語で表現する場合は、書き手たちはキーエフ時代の語彙に頼って、そういう昔の考え方の枠組みをそれがもはや当てはまらない世界において無理やりに機能させた。よく知られた正確な単語よりも両様の意味にとれる単語を好んで使うことによって、原因となる前後関係を描かないことによって、またモンゴル人支配を証明するものは説明を加えずに示すことによって、中世ロシアの文筆家たちはモンゴル人の征服に含まれている知的な意味に触れることを避けた。」(P128より抜粋。)

これはなかなか面白い話で、年代記や伝記などの文学作品において、その作者がそのまんま信じて欲しいと意図して書いたことは、実は書く事をあえて避けられ事実が抜け落ちているので注意が必要なようです。「嘘を書く」というよりも、「事実を書かない」という、なんかソ連の統計局みたいな情報の操作が、ロシア知的世界に暗黙の了解として広がっていたことは、非常に興味深いですね。


いろいろな説明の中で、他にも興味深かったのは、ゾロターヤ・オルダーとの密接な関わりによって、ルーシ、中でもより近くにいたルーシ諸国が、経済的な面を含め多いに発展したという話。中世後期の北東ルーシ諸国の繁栄は、オルダーとのヴォルガ川の交易が容易であったためもたらされたというようなことが書いてありました。
あと、技術や知識・制度において、「ロシア(ヨーロッパ世界)>モンゴル」というイメージはまったく間違っていて、むしろモンゴルの方が進んでいた面もあるという話の中で、ルーシはキリスト教社会としてか、イスラム側からの文化的流入を拒んだ/受け入れる切り口がなかった、という話も面白かったです。

ロシア語がわかる人が読むことを前提にしてる、みたいなことが書いてあり、ちょっと、名称・用語の使い方が分かりにくく、慣れないと文章が読みづらいです。

奥野さんが指摘してましたが、巻末の訳者中村正己氏の紹介のところで、生年が間違ってるみたいです。1937年生まれってことはないから、1973年生まれじゃないかと。中村氏の名前は聞いたことないのですが、一橋大学の人で土肥恒之教授に学んだようです。これからもロシア関連の本出してくれるといいですね〜。

参照サイト
株式会社図書新聞
http://www.toshoshimbun.com/
(書評)ロシアとモンゴル(むとうすブログ)
http://samayoi-bito.cocolog-nifty.com/mutous/2008/05/post_a9c4.html
一橋大学
http://www.hit-u.ac.jp/

関連記事
初期のタタール政策とアレクサンドル・ネフスキー研究が中心です。栗生沢猛夫『タタールのくびき』読了
http://xwablog.exblog.jp/8694238
奥野さんの記事「バトゥのロシア遠征」も載ってる。『コマンドマガジン』vol.79 チンギスハン特集
http://xwablog.exblog.jp/8099527
ヴォルガ・ブルガール史で見えてくる周辺地域との繋がり。梅田良忠氏『ヴォルガ・ブルガール史の研究』
http://xwablog.exblog.jp/7387555
オスプレイのCampaign Series『カルカ河畔の戦い 1223年』他、カルカ河畔の戦い関連
http://xwablog.exblog.jp/8694245
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by xwablog | 2008-06-08 11:48 | 書庫
オスプレイのCampaign Series『カルカ河畔の戦い 1223年』他、カルカ河畔の戦い関連
どうも。職場の嫌われ者の馬頭でございます。
今日で今の部署を追われてしまいましたが、今後は新しい場所でがんb

それはともかく。
皆さんご存知の通り、5月31日は1223年にカルカ河畔の戦いがあった日ですね。

Kalka River 1223 -----Genghiz Khan's Mongols invade Russia

『Kalka River 1223 -----Genghiz Khan's Mongols invade Russia』

(Osprey Publishing。Campaign Series 98。David Nicolle & Viacheslav Shpakovsky & イラスト/Victor Korolkov。2002年?。18.95ドル。1860円。96ページ)

世界史辞典とかにひとつの項目になって載ってないレベルの戦いとされてますが、我々には重要じゃないかと。
カルカ河畔を扱った本といえば、オスプレイ社のキャンペーンシリーズの『カルカ河畔の戦い 1223年』ですが、これは英語の本だけど図版が多くていい本ですよ。久々に見たけど、写真とか結構面白いの載せてます。作者はデヴィッド・ニコル氏&ヴャチェスラフ・スパコフスキー?。作画はヴィクトル・コロルコフ?(読みがあってるのやら)
しかし、ルーシ諸侯連合軍って、よくあんな南(アゾフ海北岸地域)まで遠出して戦ったなー、とか思ってたけど、地図見たら結構近いなぁ。キエフからモスクワまで行くよりか近い。

ところで、この本、2005年に出たハードカバーのバージョンがあるんですが、内容ってどう違うんでしょうね? 同じ96ページ分みたいだし。

オスプレイ社のといえば、メンアットアームズシリーズに中世ルーシものがありました。


ARMIES OF MEDIEVAL RUSSIA 750-1250

『ARMIES OF MEDIEVAL RUSSIA 750-1250』

(OSPREY Pub Co。OSPREY MILITARY。MEN-AT-ARMS SERIES 333。David Nicolle & イラスト/Angus McBride。1999年。15.95ドル。1571円。48ページ)

『中世ロシアの軍隊 750〜1250年』。作者は同じくデヴィッド・ニコル。作画は今は亡きアンガス・マックブライド氏。
これ、日本語版出ないかな〜。あと、同様に中世ロシアものの『Medieval Russian Armies 1250 - 1450 』『Armies of Ivan the Terrible 1505-1700 』も日本語版出して欲しい・・・

一応、メンアットアームズシリーズで新紀元社から出てるルーシ関連というと・・・


MAA モンゴル軍

『モンゴル軍 THE MONGOLS』

(新紀元社。オスプレイ・メンアットアームズ・シリーズ。S.R.ターンブル&アンガス・マックブライド。訳/稲葉義明。2000年。1000円。48ページ)
モンゴルの勃興、モンゴルの戦士、モンゴルの軍団、モンゴルの戦争、モンゴルの攻城戦、ロシアとヨーロッパにおけるモンゴル軍、カラーイラスト解説

まあ、これはロシア遠征については1235年のクリルタイから説明してるので、カルカの方は全力でスルーですが。

あとこれもモンゴル軍関連で。


歴史群像シリーズ26 チンギス・ハーン 下巻

『歴史群像シリーズ26 チンギス・ハーン 下巻 狼たちの戦いと元朝の成立』

(学習研究社。1991年。1165円。197ページ)

学研の歴史群像シリーズのムック本。よく見たら値段が凄い安いな。
こっちならちょっとは載ってるかと思ってみてみたけど、地図に地名が載ってただけだった。


世界歴史大系 ロシア史1

『世界歴史大系 ロシア史1 9〜17世紀』

(山川出版社。1995年。5610円。509ページ。)

これには131ページに1ページ分くらいの簡単な説明で紹介されています。
「ムスチスラフ公の呼びかけで結成された南ロシア諸公軍はポロヴェツ軍とともに、1223年5月31日カルカ川付近でモンゴル軍をむかえ撃った。戦闘はロシア側が諸公国軍の寄せ集めで、統制がとれていなかったこともあって大敗を喫した。」(131ページより抜粋。)

実はモンゴル史関連の本はほとんど持ってないので、カルカ河畔の戦いの前段階のモンゴル軍の動きとか全然知らない。

ちょっと前に出た『興亡の世界史』シリーズのひとつで、『モンゴル帝国と長いその後』っていうのがありますが、あれまだ読んでないですが、現在『モンゴルとロシア』って本の方は読んでます。これはモンゴルの支配下に入ったロシアについて書かれた本。なかなか楽しい。けど、読む暇がなかなかとれない・・・

メンアットアームズの英語版ではこの前『Medieval Polish Armies 966–1500(Men-at-Arms 445)』というのが出たみたいですね。これは欲しい!
http://www.ospreypublishing.com/title_detail.php/title=T0145


その他、ニュースなど。

セレブ御用達の高層マンションから見下ろした絶景写真(GIGAZINE)
http://gigazine.net/index.php?/news/comments/20080531_moscow_house/
「現在ロシアの富裕層の間で最近流行となっているのが、高層マンションに住むことだそうです。」
モスクワの高級マンションみたいですが、スターリン様式を少し引き継いでる感じがしてイイかもしれん。

旧ソ連のスーパーヒロインの衝撃的な姿の写真(GIGAZINE)
http://gigazine.net/index.php?/news/comments/20080531_soviet_superhero/
こっちはネタっぽいけど、微妙感満点。

チェ・ゲバラ、生誕地アルゼンチンに「帰国」(CNN)
http://www.cnn.co.jp/showbiz/CNN200805280032.html

外部接触のない部族の集落、アマゾンで撮影に成功 ブラジル(CNN)
http://www.cnn.co.jp/science/CNN200805300041.html
ふた昔前のバラエティ番組のネタみたいな話ですね。

参照サイト
オスプレイ・パブリッシング(公式サイト 英語)
http://www.ospreypublishing.com/
新紀元社
http://www.shinkigensha.co.jp/
学習研究社
http://www.gakken.co.jp/
あー、最新号の『大人の科学マガジン』のvol.17はテルミンだ!

関連記事
初期のタタール政策とアレクサンドル・ネフスキー研究が中心です。栗生沢猛夫『タタールのくびき』読了
http://xwablog.exblog.jp/8694238
奥野さんの記事「バトゥのロシア遠征」も載ってる。『コマンドマガジン』vol.79 チンギスハン特集
http://xwablog.exblog.jp/8099527
ヴォルガ・ブルガール史で見えてくる周辺地域との繋がり。梅田良忠氏『ヴォルガ・ブルガール史の研究』
http://xwablog.exblog.jp/7387555
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by xwablog | 2008-05-31 05:04 | 書庫
狼の骨を探すためやってきた町は利権まみれで対立し・・・。支倉凍砂『狼と香辛料VIII』対立の町〈上〉
狼と香辛料VIII支倉凍砂

『狼と香辛料』第8巻 対立の町〈上〉

(支倉凍砂。アスキー・メディアワークス。2008年。510円。259ページ。イラスト/文倉十)
「ローム川を下る中で聞いたホロと同様の狼のその足の骨の話。ロレンス、ホロ、そして少年コルの三人は、その話の真偽を確かめに女商人エーブ・ボランを追い、港町ケルーベへとやって来た。北と南に別れ中間の三角州に市場を持つこの街は、南北の商人たちの仲が悪く、何やら問題を抱えているようだった。エーブから骨の話を聞く相手を紹介してもらったロレンスたちだが、この話は別のやっかい事を彼らに巻き込んでいくのだった・・・」

四月からアスキーとメディアワークスが合併してアスキー・メディアワークスになったわけですが、スクウェア・エニックスといい、バンダイナムコといい、どうしてこう、旧社名をまんま繋げただけの新社名にするんでしょうね
それはともかく。『狼と香辛料』の最新刊。今回は上下巻の上巻です。
もう北の方まで来て、あとちょっとでニョッヒラやらヨイツやらに到着できるというところまで行っておいて、延長戦に入ってしまったわけですが、今回の話はなかなか面白いです。ロエフという地方の村で奉られていたホロのような神様クラスの狼の足の骨を教会が探しているという話を聞いて、これを確かめるため港町ケルーベまでやってきたわけですが、この町での貧しい北の町と豊かな南の町の権力闘争に巻き込まれてしまいます。レノスの町で出し抜かれた相手の没落貴族の女商人エーブ・ボランと再び交渉し、その情報を手に入れるための相手・ジーン商会に紹介してもらうわけですが、これすらすでにエーブの思惑にひっかかったものだったのですが、話はさらに大変なことになっていってしまいます。
自分が吹けば消し飛ぶような行商人だということを思い知らされるロレンス。でも、今回はいつもよりちょっとホロが甘々な感じがしますし、ローム川を下る途中で仲間になった法学生の少年・コルもいい感じで手伝ってくれます。
もっとも、仲間かと思われたローエン商業組合の商館のキーマンやらジーン商会のレイノルズやらがなかなかくせ者らしく、なんかかなりヤバ目かもしれません。
話は下巻に続くわけですが、下巻の発売日は少し先になるとか。楽しみに待つ事にしましょう。

その他、ニュースなど。

<ミャンマー>サイクロン犠牲者「10万人超も」…国連 (エキサイトニュース)
http://www.excite.co.jp/News/world/20080510115800/20080510E30.035.html
インドネシアの地震の時もこういうのありましたね。

高校で生徒「600人」が乱闘し閉鎖、ギャング団抗争と(CNN)
http://www.cnn.co.jp/fringe/CNN200805100015.html
そして『火山高』みたいな超展開に!

映画字幕で業界が四苦八苦 若者の知的レベル低下が背景か?(産経ニュース)
http://sankei.jp.msn.com/entertainments/entertainers/080510/tnr0805101825007-n1.htm
最近の映画って字幕より吹き替えの方がいいです。字幕だといろいろハショリ過ぎ。ちなみに「ソ連ってまだあるんですか?」って今年になって会社の新人から聞いた台詞です。目眩がしました。

参照サイト
電撃文庫&hp
http://www.mediaworks.co.jp/users_s/d_hp/index.php
狼と香辛料アニメ公式サイト
http://www.spicy-wolf.com/
支倉凍砂 すぱイしー ているず
http://ameblo.jp/hasekura2/
ハイノハナ(文倉十)
http://haino.mods.jp/
小梅けいとの原典皆既
http://www7.plala.or.jp/koumekeito/


関連記事
かわいい狼神ホロと若い行商人ロレンスの二人旅。支倉凍砂『狼と香辛料』第1巻のその1
http://xwablog.exblog.jp/7265975
かわいい狼神ホロと若い行商人ロレンスの二人旅。支倉凍砂『狼と香辛料』第1巻のその2
http://xwablog.exblog.jp/7265985
商人としての命運をかけ、危険な密輸に手を出すが・・。支倉凍砂『狼と香辛料』第2巻の記事
http://xwablog.exblog.jp/7266023
他の商人から一目惚れされるホロ。ロレンスとの勝負は取り引きで。支倉凍砂『狼と香辛料』第3巻の記事
http://xwablog.exblog.jp/7266037
ホロの故郷ヨイツの情報を求め修道院を探すのだが。支倉凍砂『狼と香辛料』第4巻の記事
http://xwablog.exblog.jp/7266069
毛皮の街でのチャンスと危機。確かめ合う2人の関係は? 支倉凍砂『狼と香辛料』V(第5巻)感想
http://xwablog.exblog.jp/7266156
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by xwablog | 2008-05-10 23:58 | 日記
ヨーロッパ最高皇帝即位式典が開かれる。ナイツ・オブ・オナーでやっと平和的エンディングを見た。
最近では、『コサックス』ではなく『ナイツ・オブ・オナー』を延々とやってますが、ずーっとしようとして果たせなかった「ヨーロッパ最高皇帝」の地位に即くことができました。

ナイツオブオナー皇帝選挙01


そもそも、「ヨーロッパ最高皇帝」とかいう名称からして突っ込みドコロではあるのですが、そこはあえて無視しておきます。
このヨーロッパ最高皇帝になるには、皇帝選挙において上位六か国の君主たちに賛成してもらわないといけません。他の国の君主が成ろうとする時もあるのですが、コンピューターがやってる国がやる時は上位二人の君主で対決し、より味方をつけた方が勝つ仕組み。まあ、だいたいの場合拒否権を使われて、過半数とかに達しないので成れません。しかも、圧倒的な強国になってしまった一位の国の場合は、こうやって単独で賛否を問われ、どうやら全ての国の賛成が必要になるようです。
そういうわけで、なかなか成れないのですが、なんとかして最高皇帝になったエンディングがみたいというわけで、色々やってみました。
国は神聖ローマ帝国を選んでカトリック勢力とか敵に回さないよう気をつけつつ、周辺国には手を出さず、いきなりアフリカ遠征ぶちかまして領土を拡大して国力を蓄え(イスラム国は全部滅ぼした)、同盟国を支援して上位六つの国を味方だけにしてしまいました。
そうして、この画像のように全員から皇帝選挙で賛成を貰うことができたのです。



ナイツオブオナー皇帝選挙02


すると、
「貴殿、神聖ローマの皇帝ヴォルクマールは、満場一致の投票でヨーロッパ皇帝に選ばれました。ヨーロッパ全域に対する支配権を引き受けますか?」
と聞いてくる。当然引き受けると最高皇帝になれるわけですが、ここで拒否してゲームを続けることもできます。この選択は意味わかんないです。そもそも最高皇帝になりたい時は自分から言い出さないといけないので、拒否することは無いんじゃないのか?



ナイツオブオナー皇帝選挙03


そうしてエンディング画面です。
「世界の列強の皇帝達が選挙を開きました。彼らは最高の君主はあなたであると宣言しました。旧世界がひれ伏したのです。あなたの勝利です!」

微妙に文面がおかしいような気もしますが、とにかくめでたしめでたし。ああ、買ってからここまでが長かったなぁ・・・・。
しかし、このゲームはこの画面であっさり終わってしまうのです。何かエンディングロールとか、ムービーとかランキングとかパラメーターとかあってもよさそうなんですが。

ちなみに、このヨーロッパ最高皇帝になるには上位の国々と最も親密な関係がないといけないものの、それほど難度が高いことじゃないのはやってみればわかります。汚い手に気づいてしまえば、意外と楽に成れてしまうことがわかったので、私としてはこの終わり方はもうやんないです。


ついでに。
この『ナイツオブオナー』って、「大聖堂」が建設できる場所が、中部フランスとかバルカン半島とかボヘミアとか、限られた場所しかないのですが、まったく同じモノである「大モスク」も建設条件は同じなので、どいういうわけかイスラム圏では建設できないのですよね。エルサレムでも作れないとか問題じゃないのか? 修正バッチで直るかと思ったら、直んないし。この微妙なバランス感覚がよくわかんないゲームでもありました。続編作ってくれないかなぁ〜

その他のニュースなど。

忍者の里が卓球対戦 甲賀、伊賀の協会 交流深める(京都新聞)
http://www.kyoto-np.co.jp/article.php?mid=P2008041300054&genre=K1&area=S10
ニンニン。てか、忍者ハットリくんの語尾(?)はニンニンだけど、そのライバル忍者のケムマキ・ケムゾウの語尾ってなんだったけ?

「戊辰対決」会津が雪辱 焼き鳥の長さ、世界一に(京都新聞)
http://www.kyoto-np.co.jp/article.php?mid=P2008041300082&genre=K1&area=Z10
20.85メートル達成。しかし、「朝敵として、明治期に冷遇された先人らの敵を討った」ってなんだ。郷土愛とか愛国心とかがやっかいなのはこういう部分か。

Kenya unveils coalition cabinet(BBC)
http://news.bbc.co.uk/2/hi/africa/7345318.stm
ケニアほんとに大丈夫か? 思ったより知った気になってた国だけど、こんなになる要素があったとは。悪い方には転んで欲しくないですね。

大麻の種:ネット売買が横行 「所持」は禁止できず(毎日jp)
http://mainichi.jp/life/electronics/news/20080412dde041040058000c.html
たしか、北海道だと自生してるから、それを狙って大麻狩りに行く人もいるとか。

二週間記事を更新しなかった時に、カウンタの回転がガクンと減ったのですが、それがなかなか戻らないです。やはりblogは連続更新が重要みたいですね。


参照サイト
ナイツオブオナー公式
http://koh.zoo.co.jp/news.php
ナイツオブオナー記事(4Gamer.net)
http://www.4gamer.net/patch/demo/knightsofhonor/knightsofhonor.shtml
ナイツオブオナー紹介(4Gamer.net)
http://www.4gamer.net/DataContents/game/1199.html

関連記事
『ナイツ・オブ・オナー』で今、セルビアやってます。いまや大セルビア帝国といってもいいくらい。
http://xwablog.exblog.jp/7947660
中世を舞台に諸国が覇権を争う!ヨーロッパ最高皇帝を目指せ!『Knights of Honor(ナイツオブオナー』
http://xwablog.exblog.jp/7516575
ナポレオン戦争を再現する。RTSの傑作『Cossacks II(コサックス2)』。仏軍敗ってクトゥーゾフ気取りさ。
http://xwablog.exblog.jp/7494868
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by xwablog | 2008-04-14 01:27 | 日記
奥野さんの記事「バトゥのロシア遠征」も載ってる。『コマンドマガジン』vol.79 チンギスハン特集
どうも。部屋を少し片付けようとして、盛大に散らかした馬頭です。

ロシアとセルビアがパイプライン建設契約、関係強化(CNN)
http://www.cnn.co.jp/world/CNN200802260015.html

夫連れ再婚を決意する遊牧民妻――温暖化の影響を描いた映画「トゥヤーの結婚」(Nikkei.net)
http://eco.nikkei.co.jp/news/article.aspx?id=20080226n2001n2

米軍摘発、海兵隊75% 住居侵入米兵は釈放(琉球新報)
http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-31710-storytopic-1.html

それはともかく。

コマンドマガジン79


『コマンドマガジン』vol.79

(国際通信社/星雲社。2008年。3780円。74ページ)
草原の英雄から「世界帝国」の覇者へ チンギス・カン
特集 草原の英雄 チンギス・カン
歴史記事 テムジンの戦い チンギス・カンの戦い
ゲームリプレイ ホラズム 熱砂の戦い
歴史記事 拡大を続けるモンゴル帝国 イスラム圏への展開(桂令夫) モンゴル帝国と元朝(中嶋真) バトゥのロシア遠征(奥野新)
ゲームで語るモンゴル軍団 Mongol in Games!
アジアン・フリート 新シナリオ&艦船紹介
ゲーマーいちねんせい放浪記 ロンメルアフリカ軍団
歴史特集 チンギス・カンの戦い 征服戦争の開始 モンゴル帝国の発展
鏡の国は燃えているか 最終回 御題『レッドサンブラッククロス』(内田弘樹)
ユニットよもやま物語 大元突破アルグンガザン(生駒直人&速水螺旋人

コマンドマガジンといえばアナログゲームのウォーゲームを扱った日本唯一の雑誌ですが、書籍としては特殊なものなせいか、普通の本屋とかだとなかなか手に入らないです。池袋のイエローサブマリンとか行ってみましたが、売ってなかったです。そういうわけで、これを買うため神保町の書泉ブックマートの二階にあるウォーゲームコーナーへと行ってきました。
この号はチンギスハン特集なんですが、モンゴル軍によるロシア遠征について洞窟修道院の奥野さんが記事を寄稿してるということで、それ目当てに買ってみたのです。
内容はバトゥのロシア遠征についての無理解を指摘したもので、いろいろ目から鱗の話がいっぱいです。私は事前にいろいろ聞いていたのですが記事を読んでみても楽しめました。

ところで、『コマンドマガジン』で紹介されるウォーゲームといえば、ほとんどが第二次世界大戦関連なんですが、こういったそれ以前のものもちょっとは紹介されます。メインは二次戦だけどサブで中世史というパターンもあって、私は両方のグルンヴァルトの戦いを紹介した号(34号)なら持ってます。
(持ってたはずですが、四時間部屋の中を探したのに見つかりませんでした。この汚部屋どうにかしないと・・・)

『戦国史』というゲームがあるんですが、それの『蒼き狼』のシナリオを作ってる(シナリオが作れる機能がある)のを紹介している「777のユーラシア戦国史日記」というブログがあります。ここで作られている全世界網羅な感じの凄いシナリオがたまりません。歴史好きの人なら一度は、自作の歴史ゲームを夢みたことがあるかと思いますが、実現させちゃってる人がいるというのは衝撃です。いつかこんなの作ってみたいですね。


参照サイト
Command Magazine コマンドマガジン
http://www.kokusaig.co.jp/CMJ/index.html
書泉
http://www.shosen.co.jp/
ようこそ洞窟修道院へ!
http://www.geocities.co.jp/SilkRoad/6218/
戦国史
http://www.max.hi-ho.ne.jp/asaka/

関連記事
非常に豊かな民話世界の一端を見ることができる。『世界の民話 37 シベリア東部』
http://xwablog.exblog.jp/7972259
ヴォルガ・ブルガール史で見えてくる周辺地域との繋がり。梅田良忠氏『ヴォルガ・ブルガール史の研究』
http://xwablog.exblog.jp/7387555
ウランバートルに銅像が立つ。チンギスハン、即位800年記念
http://xwablog.exblog.jp/7280708
中世を舞台に諸国が覇権を争う!ヨーロッパ最高皇帝を目指せ!『Knights of Honor(ナイツオブオナー』
http://xwablog.exblog.jp/7516575
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by xwablog | 2008-02-26 23:59 | 書庫
有名なミンネジンガーの歌と生涯と世界。松村國隆『オーストリア中世歌謡の伝統と革新』
今日もちらちら雪が降りましたね。やっぱり雪が降る寒さは起きてすぐわかります。

45年間も使われていた戦車が海に沈没、兵士6人死亡(livedoorニュース)
http://news.livedoor.com/article/detail/3497414/
水陸両用の戦闘車両が「沈没」、死者多数 インドネシア(CNN)
http://www.cnn.co.jp/world/CNN200802050021.html
ソ連製の水陸両用戦車で、45年も使ってたそうです。何だろう。しかし、軍隊って兵器の物持ちがいいというか、転用したり改造したりで長くつかいますよね〜

4月に発売の『戦場のヴァルキュリア』がPS3のソフトなので、買うとしたらPS3も一緒に買わないと・・・とか思ってたのですが、よく考えたらゲームやるためにはテレビが必要だった。やりたいならテレビまで買わないといけないのか・・・どうしよう。
そんなわけで、すっかりテレビ無い生活に馴染んできたことに気づいたり。

それはともかく。


オーストリア中世歌謡の伝統と革新


『オーストリア中世歌謡の伝統と革新 ヴァルター・フォン・デァ・フォーゲルヴァイデを中心に』

(松村國隆。水声社。1995年。4635円。299ページ。)
序章
第一章 中世オーストリアにおける恋愛歌
1 自然序詞の変遷と変貌(1 初期ドナウ流域恋愛歌人からヴァルターへ 2 オスヴァルト・フォン・ヴォルケンシュタイン)
2 ラインマルとヴァルター(1 ラインマルとヴァルターの対決 2 ヴァルターのラインマル哀悼歌)
第二章 ヴァルターの格言歌
1 格言歌とは何か
2 ヴァルターの生涯
3 『ヴァルトブルクの歌合戦』
4 ヴァルターとウィーン宮廷(1 ウィーン宮廷調 2 レーオポルト調 3 不満調 4 国王フリードリヒ調 5 皇帝フリードリヒ調)
5 ヴァルターのウィーン別離
第三章 ヴァルターの後継者たち
1 ラインマル・フォン・ツヴェーターの格言歌
2 デァ・シュトリッカーの世界
終章

ドイツ文学の第二の黄金時代は12世紀から13世紀にかけてのことですが(これは前に紹介した『十二世紀ルネサンス』でも話に出ましたね)、その時代に活躍したミンネジンガー(恋愛歌人)に有名なヴァルター・フォン・デア・フォーゲルヴァイデという人物がいました。彼は当初オーストリアを支配するバーベンベルク家のウィーンの宮廷で歌人として活躍し、その後遍歴を重ね、最後は皇帝フリードリヒ2世から小さな領地を貰っています。彼自身の歌はレベルが高く、また恋愛歌人の枠に捕われない、この時代に異色を放つほど自由な作品だったようです。彼は彼の死後に作られた『ヴァルトブルクの歌合戦』の主要登場人物のひとりとしても知られています。
この本は、ヴァルターが歌った自然序詞や宮廷の人々を讃える歌や、ライバルのラインマルに対して歌った歌などの内容と生涯、そして当時の状況などを解説しています。

ヴァルターが仕えた当時のオーストリア公はレオポルト5世・有徳公(オーストリア国旗の由来になった人物)とその息子フリードリヒ1世・カトリック公で、フリードリヒ1世のときはよい待遇だったようですが、彼が十字軍に従軍し、1198年4月にアッコンで病死し、弟のレオポルト6世・栄誉公がオーストリア公になるとオーストリア宮廷から追放されてしまいます。
ヴァルターは平民ではなく少しだけ身分の高い出身だったようですが、芸によって身をたてていたので、パトロンを求めて各地を遍歴し、ドイツ王フィリップ・フォン・シュヴァーベンやオットー・フォン・ブラウンシュヴァイク(どちらも神聖ローマ皇帝になった。オットーはブーヴィーヌの戦いのドイツ側の総大将でもありますね)やテューリンゲン方伯ヘルマンやパッサウの司教などに仕えました。最後はあのフリードリヒ2世から土地を貰ったようですが、シチリアの宮廷に行ったとかいうわけではないようです。

12世紀末におけるオーストリア公の宮廷はウィーンにあったのですが、当時の「宮廷」は、なんとわずか数十人という程度だったようです。
「しかしウィーン宮廷と言うとき、われわれは華麗な宮廷生活を思い描いてはならない。ここにいう宮廷は、むしろ館と呼んだほうがより正確であろう。なぜなら、当時ウィーンはヨーロッパでも屈指の都市として発展しつつあり、当然のことながら為政者もこの町に相応しい居城を建設することを心懸けてきたが、それでもその規模となると、すでに言及したように、全体で、臣下の数は20名から30名、多く見積もっても50名に満たなかった。したがって、宮廷歌人もそれほど多くはなかったと考えられる。」(P146より抜粋。)
昔のヨーロッパの「宮廷」と言うと、絶対王政時代のフランスやらハプスブルク家の宮廷とかを思い描いてしまうのが普通かと思われますが、中世盛期の宮廷ってなこんなもんだったわけです。そういえば、ビザンツ帝国も国の大きさのわりには政府の官僚の数がわずか数百人しかいなかったとか。昔の支配者層についてはイメージが結構先行してしまいがちですが、実際にはこんなもんだったと頭にとどめておかないといけませんね。

ちなみにバーベンベルク家の宮廷はレオポルト3世が造営し、一時レーゲンスブルクに移ったあと、ハインリヒ2世・ヤゾミルゴットの時代にウィーンに戻り、さらにレオポルト6世がクロイスターノイブルクへ移しました。

しかし、一介の歌人の生涯が、当時の世界状況に影響を受けていく様が見れるというのはなかなか面白くみさせてもらいました。中世ヨーロッパというとかなり狭い世界のように見えても、かなり国際的で、関連してくる人物もかなりいろいろな国の人がいます。ヴァルターは1203年にレオポルト6世とビザンツ皇女テオドラ(イサキオス・コムネノスの娘。この本だとイザーク・コムネノスになってる)の結婚式にも出席してるかもしれないとか。ここらへんも第4次十字軍直前の状況としても面白い。

あと、バーベンベルク家といえば、ハンガリーと深いつながりがある家でもありますが(たとえばレオポルト5世の妻ヘレーネはハンガリー王ゲーザ2世の娘)、彼の死後に歌われた『ヴァルトブルクの歌合戦』における重要人物のひとり魔法使いクリングゾールがハンガリー人だというのも興味深いですね。当時のドイツ人・西欧人にとってハンガリー人というのはかつての異教時代の印象の名残なのか魔法使いとして扱われることが多いそうです。文化的差異がそうしたイメージを受け取らせたのかもしれませんね。

レオポルト5世の話で面白かったのは、「レーオポルト5世が亡くなったのは1194年12月31日のことで、十字軍遠征の最中であった。破門の身のまま不慮の事故で亡くなったため、当時、彼の死は神の審判として受けとめられていた。」(P52より抜粋。)というところ。中世ヨーロッパにおけるキリスト教の影響力の大きさは死の理由付けにも影響があって、このような「審判」の結果として受け止められたことはままあったようです。レオポルト5世といえばイギリス国王リチャード獅子心王を恨んで捕虜にして破門された人ですが、最後は落馬事故で死去。だけど神さまが罰としてそうしたとなるわけですね。聖職叙任権闘争の時のルドルフ・フォン・ラインフェルデンが宣誓するための右手を失って戦死すると、その死はやはり神の審判だと見なされたといいます。


参照サイト
水声社
http://www.suiseisha.net/main/index.html
ヴァルター・フォン・デア・フォーゲルヴァイデ - Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%B4%E3%82%A1%E3%83%AB%E3%82%BF%E3%83%BC%E3%83%BB%E3%83%95%E3%82%A9%E3%83%B3%E
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『キエフ公国史2』の見本が届きました。クワルナフが参加する日曜は雨の予報ですね。
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by xwablog | 2008-02-07 06:20 | 書庫