デジタル・クワルナフ
  管理人・馬頭(xwablog)。トップページのアドレスはhttp://www.toride.com/~digxwa/
トップ
タグ:中世史 ( 103 ) タグの人気記事
ドン・ペドロの活躍がまだまだ見れた! 青池保子『アルカサル -王城- 外伝』第1巻
どうやら砦.comが何か問題なようで、画像がUPできません。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

どうもどうも。馬頭です。
小さい頃、頭の悪い子供だった私は、将来自分が何になるかなんて想像もつかないどころかどうしようとも思わなかったのですが、よもや、頭の悪い子供がそのまま頭の悪い大人になるだなんてのは、あまりにもあまりな未来でしたね。このたびは御愁傷様です。

それはともかく。

アルカサル_王城_外伝第1巻_青池保子

『アルカサル -王城- 外伝』第1巻

(青池保子。秋田書店。プリンセスコミックス。2008年。400円。200ページ)
「14世紀の英国。カスティリアの王女コンスタンシアは、エドワード黒太子の弟ランカスター公ジョンの二人目の妻となっていた。父ドン・ペドロは暗殺され、祖国への帰還を夫ジョンのカスティリア王即位に賭け、不遇な境遇にもかかわらず、気丈に生きるのだった。しかし、この時代の英国はワットタイラーの乱など混乱を極めていて・・・」

青池保子氏の描く中世スペイン史漫画『アルカサル 王城』のシリーズの外伝となります。本編は全13巻ということで主人公・ペドロ残酷王の死後まで描ききりましたが、この外伝では、本編で描かれなかった周辺の話などを収録しています。掲載雑誌は『別冊プリンセス』『プリンセスGOLD』。
三本の話が収録されていますが、「公爵夫人の記」は、ドン・ペドロの娘で政略結婚でランカスター公ジョンに嫁いだカスティリア王女コンスタンシアの話。「天使の飛翔」は、ドン・ペドロが狩りの時に雨やどりのために訪ねた地方領主の館で女性と出会う話。「地の果てへの道」は、巡礼地として名高いサンチアゴ・デ・コンポステラへの巡礼の話と絡めて密使を送るナバラとアラゴンの陰謀を描く話。
前に紹介した『リチャード二世』でも、このコンスタンシア(コンスタンス)のことは言及されてますね(登場はしませんが)。彼女と結婚したランカスター公ジョン(ジョン・オブ・ゴーント)がスペインの王位を狙いますが、国内の騒乱や外国との戦争のせいで、15年もかかってやっと遠征することになります。ちなみにこの遠征は失敗し、ジョンもコンスタンシアもイギリスに戻ることになります。『リチャード2世』では描かれなかったワットタイラーの乱の詳しい経緯、カスティーリャ遠征までの紆余曲折なども面白いです。
ちなみに、この「公爵夫人の記」では、語り部役としてジェフリー・チョーサーが登場。『ロックユー』で追いはぎに真っ裸にされたあの人ですよ。ランカスター公ジョンは、チョーサーの保護者だったんです。チョーサーの妻フィリッパはコンスタンシアの侍女になるのですが、そのフィリッパの妹は、ランカスター公ジョンの愛人でのちに三人目の妻となるキャサリンという関係でもあります。ここらへんの関係も物語で描かれます。
「天使(アンヘル)の飛翔」は中世説話を元ネタにした作品。ドン・ペドロと純真な女性の悲恋。
そして「地の果てへの道」は、青池保子氏の別の作品『修道士ファルコ』の主人公ファルコが登場するという美味しい作品です。冒険活劇的内容。

外伝、ということですが、第1巻となっているので、まだもう少し『アルカサル』を見ることができそうですね。


参照サイト
LANDHAUS(青池保子公式)
http://www.aoikeyasuko.com/
秋田書店
http://www.akitashoten.co.jp/index2.html
ペドロ1世(wikipedia)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9A%E3%83%89%E3%83%AD1%E4%B8%96_(%E3%82%AB%E3%82%B9%E3%83%86%E3%82%A3%E3%83%BC%E3%83%AA%E3%83%A3%E7%8E%8B)
ジョン・オブ・ゴーント(wikipedia)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B8%E3%83%A7%E3%83%B3%E3%83%BB%E3%82%AA%E3%83%96%E3%83%BB%E3%82%B4%E3%83%BC%E3%83%B3%E3%83%88

関連記事
混乱する英国で王となった少年王の苦悩。蒲生総『リチャード二世 Splendour of KING』第1巻
http://xwablog.exblog.jp/10045976/
騎士道のかっこよさをエドワード黒太子視点で描く。蒲生総『ガーター騎士団 Splendour of KING』全3巻
http://xwablog.exblog.jp/10041406/
ついに完結! カスティリア王ドン・ペドロの栄光と結末。青池保子『アルカサル----王城-----』第13巻
http://xwablog.exblog.jp/7448608
[PR]
by xwablog | 2008-12-16 02:40 | 史劇
混乱する英国で王となった少年王の苦悩。蒲生総『リチャード二世 Splendour of KING』第1巻
先日、雨の日に古本屋に行ったら傘立てに立てておいた傘をパクられた間抜けとは私のことですよ、皆さん。
店に入るとき、ずっとこっちを見てた薄汚いおっさんがが盗んだんだと思います。くそう。
そういや、昔、神保町のコミック高岡で、傘を盗まれそうになった男が傘持ってった学生を追っかけて怒鳴ってる場面を見たことがあります。その気持ちがよくわかる。

それはともかく。

リチャード二世 Splendour of KING第1巻_蒲生総

『リチャード二世 Splendour of KING』

(蒲生総。角川書店。ASUKAコミックスDX。1998年。520円。174ページ)
「14世紀のイングランド。エドワード黒太子の息子リチャードは、わずか10歳で王位に即く。ランカスター伯ジョンをはじめとした多くの叔父や、大人たちの中で、気弱な彼は戸惑うばかり。偉大な父の影が見え隠れするたびに、強くあるよう望まれることを重荷に感じるのだった・・・」

蒲生総氏の中世英国史漫画。エドワード黒太子の息子で、子供の頃に王位についたリチャード2世が主人公です。前作『ガーター騎士団』が多少笑いありだったのに対して、こちらはずっとシリアス調。
エドワード黒太子の次男として生まれたリチャードは、兄が夭逝したため、祖父で英国国王だったエドワード3世が死亡した時にリチャード2世として即位することになります。父は前年に死亡してしまっていたのです。
一話目「リチャード2世 Reign of Richard II」は即位してからワットタイラーの乱まで、二話目「リチャード2世 Queen Ann」は神聖ローマ帝国のカール4世の娘で、リチャード2世の妃となったアンの視点で、リチャード2世の親政とその失敗までを描きます。
エドワード黒太子というカリスマ的人物と長くつきあってきた叔父たちや家臣たちは、柔弱なリチャードに強くなるように言うのですが、プレッシャーを受けたリチャードは思い悩みます。
従兄弟のヘンリーも彼を支えてはくれるものの、リチャードは親族以外を重用したりといった失政のためいろいろ苦労することに。ちなみにこのヘンリーが、のちにリチャード2世を廃位してヘンリー4世になります。これがプランタジネット家の断絶、ランカスター朝のはじまりとなります。
世界観が前作の『ガーター騎士団』を引き継いでるので、王族たちはあまり悪く描かれません。どうも、ランカスター伯ジョンはもっと癖のある人物だったようですね。
シェイクスピアも英国の三人の王を描くシリーズの一作目で『リチャード2世』という作品を書いてるそうです。(これのシリーズを他の二人が『ヘンリー4世』と『ヘンリー5世』なので、研究者たちは『イリアッド』ならぬ『ヘンリアッド』と呼んでるとか)

この作品、第一巻となっていますが、これしか出ていません(一話ごとで話が区切れてるので中途半端ではないのですが)。苦悩する少年王を描く話としてなかなか良かったのですが残念です。これは掲載雑誌『歴史ロマンDX』の休刊が影響しているのでしょうか?
そういや、この本あたりから蒲生総氏の画力が格段に上がった感じがします。ぜひとももっと描いてほしかったですね。てか、『天上の恋』とかが復活したなら、こっちもどうでしょう?
ちなみにこの単行本には『リチャード二世』の話が2本と、「騎士と剣と円卓と」と「サー・ガウェインと醜いお姫様」というアーサー王関連の短編も描いています。

蒲生総氏は『ガーター騎士団』や『リチャード二世』の他にも、英国史ものを描いてますが、他の英国ものじゃない単行本の巻末とかに含まれてたはず。「フランスの雌狼」ことマーガレット・オブ・アンジューの話とか。

ついでに。
リチャード2世の妃で、良い王妃として知られたアンですが、彼女はカール4世の娘で、皇帝ジギスムントの同母姉でもありますね。「アン・オブ・ボヘミア」と呼ばれています。結婚して数年くらいで死んじゃう人。彼女が来るにあたって、リチャード2世は異母兄の皇帝ヴェンツェルに2万フロリン払ったとか。
作中でリチャード2世の同年代のよき理解者として登場する、のちのヘンリー4世ことハリーですが、彼は、1390年から1392年にかけて、なんとドイツ騎士団のリトアニア遠征に参加しています。この時の遠征で病気になって、それがのちのちに原因となって死亡します。
どっちも意外なところで意外な人に東欧関連の話が。

参照サイト
ASUKA 月刊あすか
http://www.kadokawa.co.jp/mag/asuka/
リチャード2世(wikipedia)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%AA%E3%83%81%E3%83%A3%E3%83%BC%E3%83%892%E4%B8%96_(%E3%82%A4%E3%83%B3%E3%82%B0%E3%83%A9%E3%83%B3%E3%83%89%E7%8E%8B)

関連記事
騎士道のかっこよさをエドワード黒太子視点で描く。蒲生総『ガーター騎士団 Splendour of KING』全3巻
http://xwablog.exblog.jp/10041406/
ついに完結! カスティリア王ドン・ペドロの栄光と結末。青池保子『アルカサル----王城-----』第13巻
http://xwablog.exblog.jp/7448608
中世を舞台に諸国が覇権を争う!ヨーロッパ最高皇帝を目指せ!『Knights of Honor(ナイツオブオナー』
http://xwablog.exblog.jp/7516575
物語性のある魅力的なイラストで知られた歴史&FT系イラストの大作家アンガス・マックブライド氏が死去
http://xwablog.exblog.jp/9158568
[PR]
by xwablog | 2008-12-15 23:17 | 史劇
騎士道のかっこよさをエドワード黒太子視点で描く。蒲生総『ガーター騎士団 Splendour of KING』全3巻
ちわす。馬頭です。
先日、『龍骨』の補足本『紅琥珀』を手に入れるために必要だということで、『HOBBY JAPAN』2009年1月号を買ったんですが、なんか説明読んでみたら、別に買う必要なかった。応募券とかあるのかと思ってましたよ。
しかし、久々に見る『ホビージャパン』は、相変わらずわけわからん形のモビルスーツが勢揃い。まあ、これ買っといてそれを言うのは間違いなんですが。それにしても、昔と比べてカラーページが増えた? もっと記事・コラムが多かった気がします。

それはともかく。

ガーター騎士団 Splendour of KING01_蒲生総

『ガーター騎士団 Splendour of KING』第1巻

(蒲生総。角川書店。あすかコミックス。1995年。390円。192ページ)
「14世紀のイングランド。騎士道に傾倒する国王エドワード3世を歯がゆく思っていた息子のエドワード黒太子は、父王とともにフランス遠征へと向かう。そして各地を転戦し、さまざまな場面で父王は騎士道にこだわり続ける。その度に呆れる黒太子だったが・・・」

英国大好き!の漫画家・蒲生総氏によるエドワード黒太子とエドワード3世をメインに描く中世イギリス史漫画! 時代は百年戦争まっただ中です!
角川書店が1990年代に出した『歴史ロマンDX』に掲載されたもので、全部で3巻となっています。
物語はタイトルが示すようにガーター騎士団の創設から、黒太子の死までを、騎士(道)とは何か、ということに重点を置いて描いていきます。
私は当時、これが目的で『歴史ロマンDX』買ってました。

1巻ではクレシーの戦いと騎士団創設の話、エドワード2世が廃されエドワード3世が即位する経緯、カスティーリャの無敵艦隊との海戦の話が収録されています。あと読み切り作品「Wallis ウォリス・至上の恋 永遠の愛」も収録。これは第二次世界大戦の頃、エドワード8世と結婚したウォリス・シンプソンの話。


ガーター騎士団 Splendour of KING02_蒲生総

『ガーター騎士団 Splendour of KING』第2巻

(蒲生総。角川書店。あすかコミックス。1996年。400円。176ページ)

2巻ではポワティエの戦いとナヘラの戦いのあたり。エドワード2世は妻フィリッパを失ってから駄目になってしまって、黒太子もそれが原因で気まずくなってフランスにあるイングランド領に行くことになります。スペイン戦で黒太子がすっかり体を壊してしまいます。



ガーター騎士団 Splendour of KING03_蒲生総

『ガーター騎士団 Splendour of KING』第3巻

(蒲生総。角川書店。あすかコミックス。1997年。410円。192ページ)

3巻ではエドワードたち一家の関係が描かれる話と、エドワード黒太子の側近ウォーリック伯トマス視点の話、そしていろいろな事が悪い方に向かう中での黒太子の苦悩と父王エドワード3世との関係、そして病死までが描かれます。

エドワード黒太子が物語を通じてずっと長髪の美青年、騎士道を体現した理想的な騎士・王子として描かれます。もちろん、悪い部分も描きますが、そこらへんも物語に組み込んでかっこよくまとめています。エドワード3世も同様で、やはり立派な騎士として描かれ、一度は駄目になってしまったても最後にはいいところみせてます。
話も面白いし、キャラクターたちも魅力的に描かれていて、これを読めばこの時代の英国史が好きになること間違い無しです。非常にオススメです。是非。

ちなみに、これの続編といて『リチャード2世』という作品があります。黒太子の息子リチャード2世が主人公です。これもまた入手したので次あたりに記事にしますね。

参照サイト
月刊あすか(ASUKA)
http://www.kadokawa.co.jp/mag/asuka/
エドワード黒太子(wikipedia)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A8%E3%83%89%E3%83%AF%E3%83%BC%E3%83%89%E9%BB%92%E5%A4%AA%E5%AD%90
エドワード3世(wikipedia)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A8%E3%83%89%E3%83%AF%E3%83%BC%E3%83%893%E4%B8%96_(%E3%82%A4%E3%83%B3%E3%82%B0%E3%83%A9%E3%83%B3%E3%83%89%E7%8E%8B)
百年戦争(wikipedia)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%99%BE%E5%B9%B4%E6%88%A6%E4%BA%89

関連記事
中世ドイツで城主となった少年の奮闘。残念ながら未完。冨士宏『城物語』。あと『fellows!』vol.2
http://xwablog.exblog.jp/10030812/
ついに完結! カスティリア王ドン・ペドロの栄光と結末。青池保子『アルカサル----王城-----』第13巻
http://xwablog.exblog.jp/7448608
石川雅之の新作「純潔のマリア」が連載開始。中世フランスが舞台。 『good!アフタヌーン』が創刊。
http://xwablog.exblog.jp/9838239
Koei『BLADESTORM(ブレイドストーム) 百年戦争』が本日発売。これは、プレステ買おうか迷うじゃないか。
http://xwablog.exblog.jp/7372841
[PR]
by xwablog | 2008-12-14 00:19 | 史劇
中世ドイツで城主となった少年の奮闘。残念ながら未完。冨士宏『城物語』。あと『fellows!』vol.2
web拍手レス
>おお!?ヴイゴ・モーテンセン主演ですか。ぜひ見たいですがこの辺境では・・・・・大阪まで脚をのばしましょうかね。
関東でも有楽町まで行かないと観れないみたいなんですよ。あんまり評判にもなってないみたいだし残念。
とりあえず、今日は行けなかったですが、月末までには見たいですね。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

ども。馬頭です。最近は映画見る暇もないです。漫画は読むけどな!
ところで、今日から『アラトリステ』という17世紀のスペインの傭兵を主人公にした小説の映画化作品が上映されているそうです。主演は馳夫さんことヴィゴ・モーテンセン。これ、本当は見に行くつもりでしたが、土曜は仕事だし、日曜はやんなきゃいけないことがあって行けません。なんか早くしないと、上映終わっちゃうんじゃないかと。最近、映画って上映がすぐ終わっちゃいますからね。

それはともかく。

城物語 Die Burgen Geschichte_冨士宏

『城物語 Die Burgen Geschichte』

(冨士宏。マッグガーデン。ブレイドコミックス。2006年。933円。222ページ)
「1250年代のドイツ。シュバルツバルトにある小領モルゲンベルク城を拝領した少年領主ミハイル・フォン・シュミートは、少し前まで鍛冶屋の息子として育ってきたのだが、貴族のフォン・シュミットの庶子だったため、騎士として叙され、父からこの城を任されたのだった。かつて平民の子だった頃に憧れた騎士になれたミハイルだったが、辺境の小城の現実に面食らうことばかりで・・・」

ナムコの『ワルキューレの冒険』の公式漫画『The Birth of Walkure ワルキューレの降誕』とかを描いた冨士宏氏が、『月刊コミックゲーメスト』で連載した中世ドイツを舞台にしたオリジナル作品。
作者が冒頭で「他でははっきり描かれる事のなかった本来の城と騎士の物語」と言っているように、リアルな中世の騎士の生活と戦いを描く内容になっています。
平民から突如騎士にされて城をまかされた利発な少年ミハイル。薄情な父から与えられたのは辺境の小城モルゲンベルク城で、部下は少なく、三人の騎士が城の実権を握り、城の金庫は空な上、隣接するアーヴェントベルク城とは小競り合いの真っ最中という問題だらけの領地だったのです。
しかし、生来の賢さとがんばり、「騎士になりたい」という夢がかなったことを励みにして、苦闘しながら騎士として、この城の領主として成長していくことになります。
残念ながら、この話は途中で終わってしまっていて、作者もそれがよほど残念だったのか、これはパイロット版みたいなもので、だれか続き描かせてほしい、みたいな感じのことを話の前後に作者自身が登場して語っています。
実際、なかなか面白く、このまま終わらせてしまうのは惜しい感じです。実際的な中世世界の描写・解説とかも、歴史好きの私としては好感が持てる作品です。

ところで、『fellows!(フェローズ!)』のvol.2が出ましたね。

Fellowsフェローズ2008年12月号vol.2

『fellows!(フェローズ!)』2008年12月号(vol.2)

(エンターブレイン。2008年。680円)
碧風羽、長澤真、入江亜季「乱と灰色の世界」、森薫「乙嫁語り」、八十八良「早春賦」、室井大資「ブラステッド」、笠井スイ「月夜のとらつぐみ」、なかま亜咲「健全ロボ ダイミダラー」、佐々木一浩「電人ボルタ」、新居美智代「グッドアフタヌーン・ティータイム」、鈴木健也「蝋燭姫」、福島久美子「水晶石の森」、佐野絵里子「為朝二十八騎」、長野香子「ノラ猫の恋」、しおやてるこ「たまりば」、薮内貴広「In Wonderland」、原鮎美「Dr.ヤモリの改心」、冨明仁「彼女と彼」、小暮さきこ「ネコベヤ」、まさひこ「グルタ島日記」、近藤聡乃「うさぎのヨシオ」、貴子潤一郎&ともぞ「探偵真木」、松山紗耶「こどもタクシー」「国境ブランコ」、川島三代子「4番目の人」、二宮香乃「蜘蛛谷」、空木哲生「スナップガール」、丸山薫「ストレニュアス・ライフ」、「ロック・ホークと深夜の情事」

これの次号予告によると、vol.1で「ラピッドファイア」を描いた久慈光久氏が、14世紀の南ドイツを舞台にした漫画を連載するようです。イタリアとドイツを結ぶアルプスの峠、ザンクト=ゴットハルトの関所・難攻不落の砦ヴォルフスムントが舞台だという話です。超楽しみ。
なんか、最近、中世ヨーロッパものの漫画多くないですか?

あと、この号の森薫氏の「乙嫁語り」の話は、建材の彫刻を彫る木彫り職人が登場しますが、なんかこれ思い出しました。

V・ヴェレシチャーギン_ドアの絵1 V・ヴェレシチャーギン_ドアの絵2


V・ヴェレシチャーギンの絵で、中央アジアでの彫刻のあるドアの絵ですね。トレチャコフ美術館だかにあったはず。

漫画の中に出て来た中央アジア的な中庭や回廊のある家に住んでみたいですね。もちろん、室内は織物だらけで!


参照サイト
コミックゲーメスト(wikipedia)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B3%E3%83%9F%E3%83%83%
E3%82%AF%E3%82%B2%E3%83%BC%E3%83%A1%E3%82%B9%E3%83%88
冨士宏(wikipedia)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%86%A8%E5%A3%AB%E5%AE%8F
ヴァシーリー・ヴェレシチャーギン
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%B4%E3%82%A1%E3%82%B7%E3%83%BC%E3%83%AA
%E3%83%BC%E3%83%BB%E3%83%B4%E3%82%A7%E3%83%AC%E3%82%B7%E3%83%81%E3%83%A3%E3%83%BC%E3%82%AE%E3%83%B3
Vasily Vereshchagin(Olga's Gallery)
http://www.abcgallery.com/V/vereshchagin/vereshchagin.html
ヴェレシチャーギン(収蔵庫 ロシア美術資料館)
http://www.art-russian.org/ve_album.html
フェローズ
http://www.enterbrain.co.jp/jp/p_pickup/2008/fellows/index.html

関連記事
ドイツ中世都市の現地の観光案内書『ヴュルツブルク さまざまな角度から』。美麗写真や興味深い記述あり。
http://xwablog.exblog.jp/7387074
中世ヨーロッパのお城の魅力を分かりやすく紹介する。『ヨーロッパものしり紀行 城と中世都市編』
http://xwablog.exblog.jp/7276176
墨家の男が城を守りにやってきた。ジェイコブ・チャン監督『墨攻』映画版。残念ながらのガッカリ映画
http://xwablog.exblog.jp/9677486/
森薫氏が描く19世紀のカフカスが舞台の新作登場。『fellows!(フェローズ!)』2008年10月号(創刊号)
http://xwablog.exblog.jp/9671068/
お城・要塞の本で、洋書を持ってた。『FORTRESS』。ブックフェアで買ってきたよ。
http://xwablog.exblog.jp/7286047
[PR]
by xwablog | 2008-12-13 23:20 | 史劇
『狼と香辛料』(支倉凍砂/著)の世界を紹介する充実のガイドブック。『狼と香辛料ノ全テ』
ども。どうにかこうにか生きている馬頭です。
最近思うのですが、嫌なことは後回し後回しにしてきたツケがそろそろ回ってきそうな予感。

それはともかく。

『狼と香辛料ノ全テ』

『狼と香辛料ノ全テ』

(電撃文庫編集部。アスキー・メディアワークス。支倉凍砂、文倉十、小梅けいと。2008年。1400円。176ページ)

Story(小説各話の解説。旅の記録)
World(世界観解説)
Mediamix(メディアミックス関連の情報。漫画化、アニメ化など。)
Special!(支倉凍砂インタビュー、文倉十インタビュー、挿絵のラフなど)
Column(名言集など)
特別書き下ろし短編、「狼と星色の遠吠え」も収録。
『狼と香辛料』索引用語集
などなど。

巨大な狼神の変化した少女・ホロと若い商人のロレンスが活躍するファンタジー小説『狼と香辛料』のガイドブック。
いわゆる関連商品であるムックで、ライトノベルのガイドブックという形式のものなんですが、思ったよりかなり充実しています。中の記事やデザインもなかなか凝ってて、いいものじゃないかと。
作品に出て来た中世ヨーロッパ的ないろいろな要素を解説してたりするのも好感が持てます。
巻末に短編小説が載ってます。10ページ程度のホロとロレンスの関係を描いたものです。

驚いたのは、ファヴィエ著『金と香辛料 中世における実業家の誕生』の翻訳者であり、成蹊大学の教授で経済史学者である内田日出海氏が特別寄稿として、「『金と香辛料』 〜『狼と香辛料』に寄せて〜」という『金と香辛料』の内容を簡単に説明するという文章を載っけてること。1ページの短いものですが、まさかこんな人にコラム書いてもらうとは・・・
ちなみにこの『金と香辛料』はすでに入手困難な本ですが、今、amazonですげー値段付いてますね。2万? うー、早く再版するか文庫化とかしてください。

ところで、『狼と香辛料』のアニメ第二期が決定したそうですね。
あとブルーレイでも第一期が出たとか。

参照サイト
電撃文庫&電撃文庫MAGAZINE
http://dengekibunko.dengeki.com/
「狼と香辛料」ほろろん祭りIIの開催が決定!公式ガイドブックも今日発売!
http://dengekibunko.dengeki.com/news.php?2008/12/10/2f654f91a8b810f5062ae66b8ca1f2e1
支倉凍砂 すぱイしー ているず
http://ameblo.jp/hasekura2/
ハイノハナ(文倉十)
http://haino.mods.jp/
小梅けいとの原典皆既
http://www7.plala.or.jp/koumekeito/
狼と香辛料 アニメ公式
http://www.spicy-wolf.com/
内田日出海プロフィール 成蹊大学経済学部
http://www.seikei.ac.jp/university/keizai/teachers/uchida_h.html

関連記事
かわいい狼神ホロと若い行商人ロレンスの二人旅。支倉凍砂『狼と香辛料』第1巻の感想その1
http://xwablog.exblog.jp/7265975
狼の骨を探すためやってきた町は利権まみれで対立し・・・。支倉凍砂『狼と香辛料VIII』対立の町〈上〉
http://xwablog.exblog.jp/8569740
東京国際ブックフェアと『ドイツ中世後期経済史研究序論』の関係性について、という記事
http://xwablog.exblog.jp/7720567

追記
狼と香辛料III漫画版

『狼と香辛料』III

(小梅けいと&支倉凍砂。アスキー・メディアワークス。2009年。570円)


漫画版の3巻です。
単行本1巻のところはエンディングに。2巻へ突入しますね。
[PR]
by xwablog | 2008-12-11 00:01 | 書庫
ビザンツ帝国の経済的相互関係をまとめた報告。渡辺金一訳『ビザンツ帝国の都市と農村 4~12世紀』
今日、セブンイレブンに行ったら、「ボリュームカップ105 杏仁豆腐味」っていうアイスが売ってました。
「杏仁豆腐なのかアイスなのかきっちりしろ」と言いたくなるのを我慢して食べてみましたが、確かに杏仁豆腐の味でした。でも、アイス。
このまま行くと、いつか杏仁豆腐味のゼリーとか出るやもしれん(それは杏仁豆腐だ

それはともかく。

ビザンツ帝国の都市と農村 4~12世紀

『ビザンツ帝国の都市と農村 4〜12世紀』

(ピグレフスカヤ、リプシッツ、シュジュモフ、カジュダン。訳/渡辺金一。創文社。創文社歴史学叢書。1968年。824円。103ページ+22)
1 4〜6世紀のビザンツの都市と農村(ピグレフスカヤ)
2 6〜9世紀前半のビザンツの都市と農村(リプシッツ)
3 9〜10世紀のビザンツの農村と都市(シュジュモフ)
4 11〜12世紀のビザンツの都市と農村(カジュダン)
結語
訳者あとがき
索引

東ローマ帝国=ビザンツ帝国の都市と農村の経済的な関係の研究を、1961年9月10日から16日に行われた第12回国際ビザンツ学会議(会場は当時はユーゴのオフリダ)での社会経済史部門の報告したものをまとめたものです。訳者ははじめてこの大会に参加したという日本のビザンツ学の先駆者の一人、渡辺金一氏(『コンスタンティノープル千年』とかの著者)。
ソヴィエト系ビザンチニストたちの報告なので、その政治思想と密接に関係した報告となり、マルクス主義者らしく「社会構成(フォルマツィーヤ)」という概念でまとめられているそうです。奴隷制から封建制へ、みたいな内容。西側の研究者からは反論もあったりと、当時の東西冷戦の縮図がここに。ソ連や共産系の国だと、こういった「党の方針」に沿った研究しかできないというような話はよく聞きますが、西側諸国にはそういうのってなかったんでしょうかね?

参照サイト
創文社
http://www.sobunsha.co.jp/
日本ビザンツ学会
http://homepage.mac.com/nikephoros/
東ローマ帝国(wikipedia)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%9D%B1%E3%83%AD%E3%83%BC%E3%83%9E%E5%B8%9D%E5%9B%BD

関連記事
陸海の要衝を抑え繁栄し長命を誇ったローマ帝国の継承国家。井上浩一『生き残った帝国ビザンティン』
http://xwablog.exblog.jp/9505395
中世のバルカン半島に広まったキリスト教の宗派を解説。ディミータル・アンゲロフ『異端の宗派ボゴミール』
http://xwablog.exblog.jp/7545773
ところで、訳者あとがきの中で書かれていたアンゲロフって、このアンゲロフでいいんですよね?
長い間、中世ブルガリア史における最大の情報源でした。恒文社『ブルガリア 風土と歴史』
http://xwablog.exblog.jp/8006536
[PR]
by xwablog | 2008-12-05 00:11 | 書庫
白樺に綴られた人々の営み。V.L.ヤーニン『白樺の手紙を送りました ロシア中世都市の歴史と日常生活』
白樺の手紙を送りました ロシア中世都市の歴史と日常生活_ヤーニン

『白樺の手紙を送りました ロシア中世都市の歴史と日常生活』

(ヴァレンチン・ラヴレンチエヴィチ・ヤーニン。訳/松木栄三&三浦清美。山川出版社。2001年。2800円。311ページ)
日本語版への序
まえがき
第I部 ネレフスキー発掘のドラマ 1951-1962、1969
第II部 市場側にて
第III部 トロイツキー発掘のドラマ
あとがき
訳者あとがき
白樺文書の刊行文献一覧
図版出典一覧

ロシア北部の古都ノブゴロドで発掘された白樺の皮を加工したメモにまつわるドラマとその内容から導き出された歴史的事件などを書いた本。中世ロシア史に関する本の中では傑作といっていいでしょう。原書の初版は1965年にだされたわけですが、これは1998年に出た第三版の日本語訳だそうです。

当時は紙などなかった時代ですが、ロシアでは羊皮紙でもなく、もっと安価で普及していた「白樺の皮」という素材が紙として使用されていました。白樺の皮は、木の幹からバリバリと綺麗に剥がれるので、それを加工して紙として使うわけです。これらは、大事な記録などというよりも、日用品として、日常的に使われました。そのため、今日、冷たい地中から発掘された保存状態の良いこれら「白樺文書」は、人々の生活を浮き彫りにするような情報がたっぷり詰まっていたのです。
ノヴゴロドではじめて発掘された時の様子や、それらの白樺文書からわかったことなどを書いたこの本は、ロシア史を知らなくてもたいへん面白く読めるのでは。
中でも、中世に生きた一人の少年・オンフィムが書き残した文章と絵は最高に楽しい気持ちにさせてくれますよ!(残念ながら、私が旅行に行った時にはこれはちょうど見れなかったのです〜)

参照サイト
山川出版社
http://www.yamakawa.co.jp/
白樺文書
http://www.toride.com/~digxwa/digxwaFiles/dicf/dic_12sif/d_sirakabamonjo.htm
用語事典 デジタル・クワルナフ
http://www.toride.com/~digxwa/digxwaFiles/dicf/dic_f.htm
ロシア旅行(2004年)九日目 ノヴゴロド デジタル・クワルナフ 旅行のページ
http://www.toride.com/~digxwa/digxwaFiles/tabif/tabi_rus09.htm

関連記事
昔、放送大学でロシア史の授業やってたんですよ。阿部玄治『ヨーロッパ論1 ロシア史とその周辺』
http://xwablog.exblog.jp/9906218
中世ロシアを舞台にしたファンタジー小説。富永浩史『死天使は冬至に踊る ルスキエ・ビチャージ』
http://xwablog.exblog.jp/9498805
ビザンツ皇帝に仕えたヴァイキングたちを紹介する。ラーション『ヴァリャーギ ビザンツの北欧人親衛隊』
http://xwablog.exblog.jp/9171952
ノヴゴロド市(Novgorod。大ノヴゴロド。ヴェリキー・ノヴゴロド。)_クワルナフ用語辞典
http://xwablog.exblog.jp/7203002
[PR]
by xwablog | 2008-12-03 02:08 | 書庫
帝権についての貴重な情報がたくさん。ハンス・K・シュルツェ『西欧中世史事典II 皇帝と帝国』
こんばんわ。最近、テレビのある生活を忘れてきた馬頭です。
ほんと、昔はあれだけ見てたのに、今は無くても全然平気。てか、いりません。どうせ娯楽番組は低俗で、報道は偏向、映画はハリウッド映画しかやんないですしね(ちょっと負け惜しみが入ってます)。

それはともかく。

西欧中世史事典II_シュルツェ

『西欧中世史事典II 皇帝と帝国』

(ハンス・クルト・シュルツェ。ミネルヴァ書房。MINERVA西洋史ライブラリー69。訳/五十嵐修、浅野啓子、小倉欣一、佐久間弘展。2005年。3500円。256ページ+39)
1 帝国
(1 概念規定、2 歴史的背景、3 帝国の領土、4 帝国と国民、5 救済史的帝国理念、6 帝国の象徴)
2 皇帝権
(1 概念規定、2 歴史的背景、3 皇帝権の国制史的・理念史的現象形態)
訳者あとがき
王朝系図
地図
史料一覧
略語表
文献および史料の補遺
地名索引
事項索引
人名索引

シュルツェが1997年に書いた『GRUNDSTRUKTUREN DER VERFASSUNG IM MITTELALTER Band 3 : Kaiser und Reich』の日本語訳です。
これの1は持ってましたが、2はずっと買うのためらってました。けど、半年くらい前(だったかな?)に買いました。書影の画像に珍しくカバーがかかってるのは、中古本でカバーがセロテープでとめてあったため。
前の『西欧中世史事典 国制と社会組織』は国の制度と社会組織についてでしたが、今回は神聖ローマ帝国の皇帝の権力と帝国という形態についての本。まだちょっとしか読んでませんが、ビザンツ帝国との関連での帝権の話とか面白かったです。あと、初期の中世ドイツ史についてのことが多く嬉しいです。

参照サイト
ミネルヴァ書房
http://www.minervashobo.co.jp/

関連記事
聖職者を任命する権利を巡って起こる多様かつ大規模な争い。オーギュスタン・フリシュ『叙任権闘争』
http://xwablog.exblog.jp/7271455
中世ドイツ国家の制度と組織を解説。ハンス・K・シュルツェ『西欧中世史事典 国制と社会組織』
http://xwablog.exblog.jp/7798331
二律背反の聖なる都が占領される。アンドレ・シャステル『ローマ劫掠 1527年、聖都の悲劇』
http://xwablog.exblog.jp/8121368
[PR]
by xwablog | 2008-11-27 02:05 | 書庫
昔、放送大学でロシア史の授業やってたんですよ。阿部玄治『ヨーロッパ論1 ロシア史とその周辺』
どもども。
今、部屋の中が本だらけで、本を置く場所が無くて困ってたのですが、スキャナの上に本をのっけてたら、とうとうスキャナが壊れてしまいました。ホントに。さすがに20も30も本のっけたらいけなかったみたいです。皆さん気をつけましょう。数年愛用してたスキャナをこんなことで無くしたくなければ。

それはともかく。

ロシア史とその周辺

『ヨーロッパ論1 ロシア史とその周辺』
(阿部玄治。日本放送出版協会。放送大学教材55107-1-9111。1991年。1650円。153ページ)
まえがき
1-東ヨーロッパとロシア
2-2つの祖国戦争-その1
3-2つの祖国戦争-その2
4-デカブリスト
5-第1次大戦とロマーノフ朝の終焉
6-2月革命
7-10月革命とボリシェヴィキー
8-過ぎし歳月の物語 『原初年代記』
9-ノルマン説と反ノルマン説-その1
10-ノルマン説と反ノルマン説-その2
11-ノルマン説と反ノルマン説-その3
12-ノルマン侵入の東と西-その1 西ヨーロッパ
13-ノルマン侵入の東と西-その2 ロシア
14-東方遊牧民とロシア-その1
15-東方遊牧民とロシア-その2 モンゴルとロシア
付記
索引

前に「ヴェルダン年代記」に関する論文が見つからないとか書きましたが、未だ見つかっていません。代わりに、この『ロシア史とその周辺』の中に少し記事があったのを思い出しました。
ちなみに「ヴェルダン年代記」よりこの本みたいに「ベルタン年代記」の方が読みとしてはあってそうな。あと、付記で書かれてますが、この本ではアクセントの部分を長音で表現してるそうです。だからロマノフがロマーノフとかに。
放送大学の教材だってことからもわかるように、放送大学で「ヨーロッパ論1」というのをやったときに、ロシア史をまとめて教えてた番組があったのですよね。私も、随分昔にこれを見たことがあって、チャンネル回した時、ちょうどドニエプル川の「浅瀬」の話だったわけです。これにがっぷり食いついた私ですが、こういう本が出てるとは長い間知らなかったです。で、ある時、中古でこれを手に入れました。なんか、もう一度番組見たくなってきました。

知りたかった記事は10章「ノルマン説と反ノルマン説 その2」のところにあります。
839年、フランク帝国のルードヴィヒ敬虔王のもとにビザンツ帝国の使者がやってきますが、その一行の中に、「ロース」と呼ばれる人々がいて、そのことが当時書かれた『ベルタン年代記』に書かれています。フランクの人たちが彼らを調べてみると、どうやらスウェーデン人らしいということがわかります。

この本は、他にも面白い記事がたっぷりですので、手に入れにくいかもしれませんがおすすめ。


参照サイト
放送大学
http://www.u-air.ac.jp/
阿部玄治 書籍リスト(紀伊國屋
https://bookweb.kinokuniya.co.jp/guest/cgi-bin/wshoseaohb.cgi?W-FAUTH=%88%A2%95%94%8C%BA%8E%A1
++++++++++++++++++++++++++++++++&HITCNT=020&RECNO=1&AREA=02&LANG=E
Annales Bertiniani ベルタン年代記(wikipedia)英語
http://en.wikipedia.org/wiki/Annales_Bertiniani
Бертинские анналы ベルタン年代記(wikipedia)ロシア語
http://ru.wikipedia.org/wiki/%D0%91%D0%B5%D1%80%D1%82%D0%B8%D0%BD%D1%81%D0%BA%D0%B8%D0%B5_
%D0%B0%D0%BD%D0%BD%D0%B0%D0%BB%D1%8B
Bertin ベルタン(wikipedia)
http://en.wikipedia.org/wiki/Bertin

関連記事
中世ロシアを舞台にしたファンタジー小説。富永浩史『死天使は冬至に踊る ルスキエ・ビチャージ』
http://xwablog.exblog.jp/9498805
トルケルの追撃によって追いつめられ・・・。幸村誠『VINLAND SAGA(ヴィンランド・サガ)』第5巻
http://xwablog.exblog.jp/7621046
夏コミおつかれさまでした。新刊は無事出ましたよ。あと、寄稿もしてたのです。
http://xwablog.exblog.jp/9319387
ビザンツ皇帝に仕えたヴァイキングたちを紹介する。ラーション『ヴァリャーギ ビザンツの北欧人親衛隊』
http://xwablog.exblog.jp/9171952
[PR]
by xwablog | 2008-11-19 21:43 | 書庫
ポーランド建国の物語を映画化した作品。ミハウ・ジェブロフスキー主演『レジェンド 伝説の勇者』
昨日は体調悪くて、ちょっと寝ようと思って寝たら、9時間も寝てしまいました。だから昨日はできなかったのですが、今日やっと観ることができました。この映画を。

『THE レジェンド 伝説の勇者』2003年

『THE レジェンド 伝説の勇者』

(ポーランド映画。監督/イェジー・ホフマン。出演/ミハウ・ジェブロフスキー、マリナ・アレクサンドロヴァほか。2003年。日本未公開。103分。ジェネオンエンタテインメント。)
「9世紀のポーランド、諸部族をまとめる国王に代理としてなったポピエルは、王位を譲るはずの甥たちを陰謀で追いやり、奴隷との間に作った自分の息子を王位に即けようとする。ポピエルの卑劣なやり方についていけず、その下から出て行った有力者ピアストンは、追手に襲われ殺されかけてしまう。絶体絶命のその時、ピアストンは狩人の青年ジモヴィットによって助けられるのだった・・・」

ポーランド建国伝説の映画化作品がレンタルビデオ屋にあったので借りてみました。てか、この映画が日本で出たことに吃驚です。
9世紀のポーランドを舞台に、ポーランド最初の王朝、ピャスト朝の始祖ピャストの息子ジモヴィット(シェモヴィト)が主人公となっていて、悪い国王ポピエル(ポピェル)を倒すまでが描かれます。

前王が死に、その息子たち二人が幼いため、彼らが成長するまで国王になっていた前王の弟ポピエル。しかし、奴隷女に唆され、彼女との間に作った息子を王位に即けようと、甥たちを陥れ、王位を手に入れます。しかし、有力者のピアストンはこれに反発し、王の要塞から出て行ってしまいます。そこでポピエルは追手を放ち、殺そうとするのですが、襲撃場所の近くにいた青年ジモヴィットによって助けられます。ジモヴィットは森に住むピアスト(ピャスト)の息子で、かつてバイキングの船団に参加していたものの、帰国し、狩人として生活していました。土地の有力者ヴィーシュの娘に恋したジモヴィットは、彼女のために戦いに参加していくことになります。

ピャスト家はポーランド中部ヴィエルコ・ポルスカのポラニェ族の豪族の出ですが、この話ではポーランド建国の伝説をもとにして作ってます。まあ、その伝説ともまたちょっと違う設定ですが。
伝説では農夫ピャストがポピエル王の追い払った客人を歓待し、息子が祝福を受けてシェモヴィトという名前を貰い、その後、ポピェル王が追放され、皆から推されたシェモヴィトが王位に即きます。「ピャスト」の名の由来を「ピァストン(後見人・養育者)」に求める説もあるそうですが、映画ではピアストとピアストンは別々の人物となってますね。

映画では、諸部族は代表者が話し合う「裁きの会議」を開き、身内を殺した王の所行を非難してましたが、意見がバラバラな部族なんで戦いには負けてしまいます。ポピエル王もバイキングの援軍を頼み、結局、戦闘シーンのメインはこのバイキングたちとピアストンが率いた連合軍の戦いになります。あとでザクソン族も呼ぼうとしますが、こっちは使者が捕まったので出てきませんでした。
ポピエル王は要塞に籠ってましたが、ピアストンは策略によってこの要塞を焼いてしまいます。この時使った手段について、「ロシアの王女が使った手だ」とか言ってまして、ああ、オリガのあれか、と。

魔女のおばあさんが出て来たり、ジモヴィットが恋する娘(なぜか名前が出てこなかった?)が異教の神殿に身を捧げる予定だったり、「クパーラの夜」という豊穣を祝う異教のお祭りがあったり(半裸の男女が踊ったりします)、と異教時代のポーランドを表現する設定があったりして、なかなか珍しいものがみれました。

原題は「Stara basn. Kiedy slonce bylo bogiem」。「スターラ・バシン」だから、古い童話? この場合は「昔話」とか「伝説」、っていう意味かな?

映画の場面はこれの公式サイト内の画像ページとか、下のyoutubeの映像を見てみてください。

Stara Basn & Nightwish - Sleeping Sun (Movie Music Video)



映画の中で主人公のジモヴィットをやってるミハウ・ジェブロフスキーって俳優さんは、あの「戦場のピアニスト」で、ドイツ軍のユーレク大尉をやってた人ですね。この人は他にも、「パン・タデウシュ物語」にも出てました(これは凄い良かった)。あと、「コンクエスタドール」というファンタジー映画(日本未公開)や、なんと、「1612」という「動乱」を描いたらしい映画にも出演(詳細は不明)。「パンタデウシュ」と「コンクエスタドール」はDVDが出てます。
とりあえず、「レジェンド」のDVDは買ってみようかと思います。

あと、「モスクワ・ゼロ」という映画のDVDが出てました。これはモスクワの地下に人類学者が入るというやつで、ヴァルキルマーとか、ヴァンサンカッセルとかが出演しているという。
それと、もうそろそろイギリスのロシアマフィアの話「イースタンプロミス」のDVDも出ますね。

その他、ニュースなど。

旧ソビエト連邦の変わった建物あれこれ(GIGAZINE)
http://gigazine.net/index.php?/news/comments/20061018_soviet_building/
ソ連のヘンテコ建造物は他にもありますが、これのは特に凄いですね。

ロシア、黒海にロシアの国の形をした人工島を建設予定(GIGAZINE)
http://gigazine.net/index.php?/news/comments/20080131_russia_island/
ええぇぇぇ? そんな馬鹿な。
こんな人工島作るの世界中で流行ったらヤダなぁ。


youtubeの中に気になる映像があったのでついでに。

Slavonic and Viking Warriors



「スラヴ人とヴァイキングの戦士」?
なんかのイベントでしょうか? 最後にメンアットアームズの「中世ロシアの軍隊」のイラストが出て来たのはご愛嬌。
どうも、Grave landというサイトでやってる「Wolin~」とか言うのと関連があるようですが、詳細不明。



参照サイト
stara basn(公式・ポーランド語)
http://www.starabasn.pl/
Michal Zebrowski(IMDb)
http://www.imdb.com/name/nm0954076/
Stara basn. Kiedy slonce bylo bogiem(IMDb)
http://www.imdb.com/title/tt0380726/
パン・タデウシュ物語(allcinema)
http://www.allcinema.net/prog/show_c.php?num_c=162618
コンクエスタドール(allcinema)
http://www.allcinema.net/prog/show_c.php?num_c=240216
Graveland
http://www.thepaganfront.com/graveland/

関連記事
ポーランド史の本といったらほぼコレ! ステファン・キェニェーヴィチ/編『ポーランド史』第1巻
http://xwablog.exblog.jp/9860880
更新記録66の2・ポーランド王国史、という記事
http://xwablog.exblog.jp/8853146
ロシア製ファンタジー映画『ВОЛОКДАВ』の日本語版。『ウルフハウンド 天空の門と魔法の鍵』
http://xwablog.exblog.jp/8619548
[PR]
by xwablog | 2008-11-14 01:45 | 史劇