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2007年 01月 30日 ( 1 )
既存のアレクサンドロス像の追従では無いアレクサンドロス紹介。森谷公俊『興亡の世界史 第1巻』
昨日は仕事のせいもあり寝不足状態。なので、本当だったら土曜の夜に読み終わるはずだった『興亡の世界史01』を今日読みました。なにせお金無いからロクな外出もできないとかいう状況だし。
で、いろいろ考えながら読んだのでえらく時間かかりましたが、さっき読み終わりました。

興亡の世界史01_アレクサンドロスの征服と神話

『興亡の世界史 第1巻 アレクサンドロスの征服と神話』

(森谷公俊。講談社。2007年。382ページ。2300円)
第1章 大王像の変遷
第2章 マケドニア王国と東地中海世界
第3章 アレクサンドロスの登場
第4章 大王とギリシア人
第5章 オリエント世界の伝統の中で
第6章 遠征軍の人と組織
第7章 大帝国の行方
第8章 アレクサンドロスの人間像
第9章 後継将軍たちの挑戦
終章 アレクサンドロス帝国の遺産

現在、帝京大学の助教授で古代ギリシア・マケドニア史が専門の森谷公俊(もりたにきみとし)先生が、講談社がはじめたシリーズ『興亡の世界史』に書いた一冊。
不世出の英雄・アレクサンドロス大王(アレキサンダー大王)の征服事業を中心に、その国家の興亡を書いていて、アレクサンドロス自身の活躍とかを書こうというのではなく、政策・制度などからアレクサンドロスが見えてくるという感じの本。前4~3世紀のギリシア・マケドニア・オリエント史といった方がいいか。
語り口がやわらかく、とても読みやすかったですし、新しい研究の状況とかも反映されてて、非常に良い本かと思われます。
今まで一般的だった、制度や政策についての「定説」(西洋偏重的な考え方)とは違う説を見せてくれて面白かったです。
いくつもあるアレクサンドロスの伝記が、どの時代にどのような考えのもとで書かれたのか、そのイメージがどのように使われたのか、という点がとても興味深かったです。大王の「偉業」が時代ごとの世論的要求に合わせて変更されていく、というのは、まさに現在でもあてはまるようなことですね。だから、NHKの『文明の道』を少し紹介してましたが、あれについても、どういう意図で作られた番組か、というのを少し語って欲しかった。
ちなみに『オスプレイ・メンアットアームズ・シリーズ』の中の一冊、『古代ギリシアとペルシア戦争』が、これがまた。

MAA_古代ギリシアとペルシア戦争

『オスプレイ・メンアットアームズ・シリーズ 古代ギリシアとペルシア戦争 500BC-323BC 東地中海の攻防』

(ジャック・キャシン=スコット。柊詩織/訳。新紀元社。2001年。1000円)

これの中で語られている「ギリシアVSペルシア」の世界観が、まったくもって旧来の「文明国VS蛮族」という視点でのものであり、さらに原著が書かれた1977年という時代的背景からか、東西冷戦の「民主的世界(善)VS非民主的世界(悪)」という構図までも当てはめてあって、なかなか興味深い。
長い間強烈に植え付けられたイメージは、そうやすやすとは拭い去ることは出来ないのです。特にこうした古い本の翻訳ものとかだと。それを拭い去るには的確な指摘と露出が上回る必要がありそうですね。今回の『アレクサンドロスの征服と神話』は、そうしたイメージを切り崩すのにはとても良い本だと感じました。


今まで出てた『興亡の世界史』シリーズの他の巻は、いまいち評判がよくなかったのでどうなるかと危惧してましたが、これは当たりです。

添付されてた小冊子に「誇り高き英雄アレクサンドロスの実像を探る」という小説や映画の紹介がありましたが、そこに『ヒストリエ』も入ってました(笑)。でも安彦先生の『文明の道 アレクサンドロス』は入ってなかった。あれ、同じ記事内で『NHKスペシャル 文明の道 第1・2集』(DVD)は、「森谷公俊氏のおすすめ」ってなってるのに。

さて、『興亡の世界史』シリーズの他の巻では、『第02巻
スキタイと匈奴 遊牧の文明』『第10巻
オスマン帝国500年の平和』『第14巻
ロシア・ロマノフ王朝の大地』あたりが欲しいところ。毎月一冊刊行の予定みたいですが、次は『第5巻 シルクロードと唐帝国』みたいです。

あと、『ヒストリエ』の4巻はいつ出るんでしょうね~。


参照サイト
デジタル・クワルナフ
http://www.toride.com/%7Edigxwa/
アケメネス家の系図
http://www.toride.com/%7Edigxwa/digxwaFiles/genf/g_akemenesu.htm

関連記事
壮大すぎるアレクサンドロス大王のドラマに感動。安彦良和『文明の道 アレクサンドロス』
http://xwablog.exblog.jp/10538405/



この記事へのコメント

アレクサンドロスについてはこれとメチエの奴を呼んでおけばほとんどカバーできるんじゃないかという気がします(メチエで3大会戦について詳細な検討をしています)。

「文明の満ち」については、アレクサンドロスを文明の融合者としてみる立場にある、と言うことでいいんじゃないかという気がします。あれについては色々思うところ・言いたいこともありますが、アレクサンドロスについて知ってもらうにはいい番組だったんじゃないかなと思っています。
Posted by ひで at 2007年01月30日 00:02

こんばんわ

一日遅れで感想をアップしたのでTBしました。
で結局どうよ・・・みたいな取り留めもない文になってしまいましたが(^^;

よく書かれてはいるんですよね。空回りしてるほど・・・


今は武士の家計簿読んでます。
いや、こっっっれは面白いっすよ(笑
こいうのいいですねえ。
今週中には感想書けるんじゃないかと思います。
Posted by 武藤 臼 at 2007年01月30日 00:15

>メチエ
最近はロシア関連ばかり追いかけてたので、これも見逃してたので、これを気に買ってみます。メチエの方のは戦いについて詳しいというなら楽しみです。

>文明の道
あれは番組としては面白かったですよね~。いい画像もいっぱいあったし。
ただ、ここ最近のNHKの方針として、民族共存とかそんな感じのイメージが前に出てたことについて、森谷先生なりの解説をしてもらいたかったな~とはちょっと思いました。あとできれば、森谷先生自身のスタンスを見せてほしかったです。

>トラバ
トラバ返し、しました~。

>空回り
一部、「そこまで言い切っちゃっていいの?」と思う部分もありましたが、読み物として非常に面白かったので良し、かと。

>武士の家計簿
いいですよね~。
なんか、猪山家にすごく親しみを感じます。
Posted by 管理人・馬頭 at 2007年01月30日 01:25
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by xwablog | 2007-01-30 00:47 | 書庫