デジタル・クワルナフ
  管理人・馬頭(xwablog)。トップページのアドレスはhttp://www.toride.com/~digxwa/
トップ
2007年 01月 01日 ( 1 )
哀れみと施しの交換経済。中世ドイツの乞食や詐欺師についての本『放浪者の書 博打うち 娼婦 ペテン師』
どうも~。部屋が全然片づかない馬頭です。
とりあえず、テレビとほとんどの漫画は処分することを決意。漫画は今のところ歴史系漫画と『ガンスリ』と『ゆびミル』と『宗像』と『はやて』あたりは残すつもり。

それはともかく。
2007年はじめての歴史書は、これ。

放浪者の書ハイナーベーンケ

『放浪者の書 博打うち 娼婦 ペテン師』

(ハイナー・ベーンケ&ロルフ・ヨハンスマイアー編。永野藤夫訳。平凡社。1989年。2300円)

15世紀あたりのドイツでの放浪者・乞食たちを取り扱った本。
ヨーロッパにおける貧しい者への施しは、キリスト教と結びついてその普及が進みました。

「法律より信仰によって、公の秩序より各市民の分別によって、貧民をふみつけてゆたかになった者の良心の痛みによって、守られていたのだ。これは、都市と浪費の歴史の裏面である。物乞いの歴史、みずから進んでなった、別の貧者の歴史---「キリストにおける」貧者の歴史である。」(P23)

ヨーロッパでの施しの歴史は古い。それはカロリング朝のカール大帝にまで遡ることができるとか。15世紀でさえ700年も前の話。カール大帝は弱者・貧者を「捨てられた民の特別人頭税」で特別に保護していました。しかし、時代は下り、15世紀にもなると、そうした保護策は残がいしか残っていません。さらに、当時の領主たちは経済的負担が大きくなり、それを住民たちに課したため、多くの貧民が流出することになります。そんな時代的背景の中、貧者と富者、そのそれぞれを批判する人々の証言などを元に、当時の貧者、乞食たちの姿を見せてくれます。
施すことで天国への道、救いを手に入れる人々と、それを見込んで物乞いをする人々。貧者には本当の貧者、経済的に破綻し、そうならざるえないがためにそうなった人々がいたものの、さらにそうして施しを出させてそれで生活しようとする詐欺師たちが多数いました。彼らは大げさな身振り手振り、芝居や口上で不幸振りをアピールし、人々からお金などを手に入れました。施す人々も自分自身の魂の救済のために、天国に入りやすくなるために、施しを行いました。こうした関係が、さらに貧者を維持したのでは。基本的には施しはその場しのぎでまったく解決にはならない行為で、富者と貧者の不健全な経済行為でしかないわけで、システムとしてそうした人々を救済・補助することが行われるようにならないと、どうにもならないかと。キリスト教的施しはまさに前時代的で現在ではより根本的な解決が求められべきかと思われますが、実のところ、現在でもこの施しは社会的救済システムの一部を担い、機能しています。これによって各種勢力が力を得るのですが、それは今後経済的な破綻・困窮・両極化が進むことでより顕著になるのでは。

「この連中は生まれつき役立たず、大食い、無精、卑劣、うそつき、いかさま博打うち、手品使い、神をけがす者、盗人、追い剥ぎ、人殺し。頑丈だが、神と世間の役には立たない」(P22)

15世紀当時、一部のモラリストたちには、物乞いをする貧者たちはこのように見られていたわけです。本物の貧者と偽物の貧者の区別はなかなか困難ですが、なんにせよ貧困は犯罪の温床というわけです。現代の日本でも貧困層が増えれば犯罪が増えるだろうと容易に想像できるのですが・・・。今後、日本が貧者と犯罪者をひとくくりにして扱うのかどうかが興味深い。

あ、本の感想を言うの忘れてた。
本はそれほど厚くなく、200ページほど。手軽だし、当時の社会生活の一端を見せてくれて楽しめます。
実はこの本、数年の間ずっと探してたのですが、この前神保町に行った時に発見しました。この日はさらにもっと前から探してた『アルメニア史』も手に入れてホクホクですよ。


関連記事
1600年に行われたパッペンハイマー裁判の詳細。ミヒャエル・クンツェ『火刑台への道』
http://xwablog.exblog.jp/10272518


この記事へのコメント
> ほとんどの漫画は処分することを決意

ほぁっ!?
それはもう古本屋さんを呼びつけるレベルの大変革じゃないですか。
なんというか 「オラもそろそろ本気だすか!」 ガシャンガシャン!
(胴着と靴を脱ぐ音)、というシーンが目に浮かびます。

今年の馬頭さんは本気だ!
((( ;゚Д゚)))ガクガクブルブル
Posted by 蒸しぱん at 2007年01月03日 22:42

>本気
いやいや、なんというかもう追いつめられただけ、というような感じですよ。
なんとかしないと~
Posted by 孫馬頭 at 2007年01月04日 01:59

明けましておめでとうございます。本年もよろしくお願いいたします。しかし、馬頭さんのところは暮れも正月もなく、相変わらずのフル操業ですね。

ほとんどの漫画は処分。さらっと書かれていますが、僕も我が目を疑いました。全ての財を捨てて修道院にでも入るつもりですか?
僕の思うに、馬頭さんの部屋はすでに、あれだけの量の書籍を置くことでバランスが取れてしまっているのではないかと。漫画がなくなったら、片舷だけから荷物を降ろした船のように転覆する恐れがありますよ。くれぐれもお気をつけ下さい。
Posted by 奥野 at 2007年01月06日 00:59

あけおめです~
フル自転車操業ですよ~

>バランスが取れて
帆船時代の戦艦は積載バランスを取るため、かならず左右両側に同数の大砲を置いたとか。

そういえば、鉄筋の部屋でもやっぱり荷重で傾いたりたわんだりはするとか聞いた憶えが・・・
き、気をつけます~(何に?)

それはともかく。
もしも身近に「漫画はすでに紙袋6袋分くらいは処分しましたが、今日はもう4冊買ってきた」とか言い出す人がいたとしたら、それは、どうしようもない人です。
Posted by 管理人・馬頭 at 2007年01月06日 17:37
[PR]
by xwablog | 2007-01-01 00:06 | 書庫