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内戦終結のための最後の戦い。未完の大作。打海文三『覇者と覇者 歓喜、慚愧、紙吹雪』
打海文三『覇者と覇者 歓喜、慚愧、紙吹雪』

『覇者と覇者 歓喜、慚愧、紙吹雪』

(打海文三。角川書店。2008年。1800円。483ページ)
「黒い旅団に致命傷を与えた常陸軍とその同盟勢力たちはつかの間の平安を手に入れていた。しかし、その戦闘によって首都圏から多量の難民が流出し、常陸軍の勢力範囲に流れこんできた。海人やファンたちが難民の対処に戸惑う中、奥州軍は自分たちの領地内にある難民キャンプを封鎖し、難民を追い出しはじめた。限界を越える難民たちは街の治安を悪化させ、さらには奥州軍との対立へと拡大し・・・」

2007年10月9日に亡くなった打海文三氏の遺作となってしまったこのシリーズ。最後の巻『覇者と覇者』がとうとう出ました。今まで『裸者と裸者』『愚者と愚者』のどちらもがはじめ海人メイン、あとは月田姉妹メインの上下巻で別れていたように、この巻も本来は上下巻で別れるはずだったのでしょう。けど、急死のため下巻の半分まで書いたところで終わってしまっています。まさに未完の大作。上巻下巻で副題が違うことになってたはずですが、今回これについた副題の「歓喜、慚愧、紙吹雪」はたぶん上巻用のものでしょう。内容的に。

もっとも危険だった黒い旅団を撃退し、最後は我らの祖国から首都圏をめぐって決戦に、ということになりますが、疲弊した両勢力は一時的に休むことになります。でも、そこで難民問題が発生。首都圏からの膨大な難民の流入と、奥州軍のキャンプ閉鎖と難民の追い出しで、危険な緊張状態となってしまいます。奥州軍との対立、北海道政府の平和・統一のための動き、そして支援を受け、諸勢力を糾合して決戦へと挑む常陸軍。海人は軍事司令官として様々な場面に対処していくことになります。
これが、前半まで。
後半は月田椿子とパンプキンガールズがメインで、我らの祖国を倒して、諸勢力が共同でつくった国民和解政府ができた後の話となります。戦争は戦闘が終わってからが大変なんですが、武装解除、就職斡旋、北海道軍の平和維持軍や軍閥との軋轢、などなど問題は山積み。さらに我らの祖国の残存勢力がテロをしかけてきたりして、という展開になります。残念ながら、最後がどうなるのかわからないまま終わってしまっています。
終わったところから判断しようとしても、ああなる可能性もあるし、こうなる可能性もあるし、で予想はしづらいのですが、できれば海人たちには幸せになってほしいですね。未来のビジョンを描けない危うさがあったとしても。
この巻では小さかった恵や隆たちも大きくなって帰国して、復興にかかわってきたりもしてくれます。ああ、なんか恵は危なっかしいなぁ。
あと、常陸軍の報道官の女の人の名前が最後まで出てこなかったのは残念。死体屋もね。


池上冬樹の解説がついてますが、それによると、やはりはじめは『死者と死者』が最終巻のタイトルだったらしい。あと、この本のシリーズ名って「応化戦争記三部作」なのか「応化クロニクル三部作」なのかどっちなんでしょうね。


参照サイト
パンプキンガールズは二度死ぬ(打海文三公式)
http://higasinaganuma.cocolog-nifty.com/blog/
愚者と愚者 角川書店公式
http://www.kadokawa.co.jp/sp/200609-03/
帝国少年
http://tksn.web.infoseek.co.jp/

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by xwablog | 2008-11-02 14:36 | 書庫
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