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激動の古代日本に異国の男の野望と少年の渇望が衝突する。藤原カムイ&寺島優『雷火(らいか)』全15巻
昨日は凄い雷でしたね。あの雷はいままでに体験した中でもっとも凄いものでした。数秒単位でピカピカ光るわ、凄まじい音で繰り返し長時間鳴るわで、もうワクワクしまくりでした。実は熱が出て朦朧として寝てたんですが、雷のあまりの煩さに目覚めてしまいましたよ。
で、目が覚めてしまったので、何か読もうかな〜、と思ったのですが、この雷鳴はこれを読めという啓示だろうと、『雷火』を手に取ったわけですよ。

藤原カムイ&寺島優『雷火(らいか)』第1巻

『雷火(らいか)』第1巻
(加筆修正凍結版)
(藤原カムイ&寺島優。角川書店。角川コミックスA。2000年。700円)
「紀元三世紀。東方の島国・倭では、数十の国が集まった連合国家・邪馬台国が魏国の承認を得て覇権を握っていた。しかし、その邪馬台国も、女王・卑弥呼の死期が近づくとともに親魏派と倭国派に分かれ混沌とした状況に陥っていった。魏から派遣されてきた張政(ちょうせい)は、邪馬台国の権力を握るため、女王を暗殺し、巫女・壱与(いよ)を新しい女王として担ぎ上げようとする。また、倭国派の投馬国の王や卑弥呼の親衛隊長だったキジノヒコは、即位式で張政を殺そうと企てていた。熊鬼山に棲む仙人によって育てられた少年・ライカは山中で出会った少女・壱与に会うため、老師の元を去り、壱与の即位の儀のただ中へと乗り込むのだった・・・」

藤原カムイの代表作。原作は原作者として活躍する寺島優氏。古代日本・邪馬台国の衰亡の瞬間を舞台にした歴史伝奇大作。スコラから単行本が出たのが1989年なので(連載開始は1987年)、もう二十年も前の作品なんですね。今回、三度目の単行本化である角川書店から出た加筆修正凍結版、全15巻をまとめて買って読み直しました(スコラは1999年に倒産してしまいました。私が昔読んだのは一番はじめのDX版・全12巻)。
藤原カムイを知ったのはこれが初めてだったのですが、その圧倒的な画力・構成力に驚かされたものです。そして今回、再び読み直してやはりその面白さに驚くばかりです。
連載も10年かかったみたいですが、スコラ社は潰れてしまったりで、いろいろありました。連載してた「コミックバーガー」もソニーマガジン社に行ったり、幻冬舎に行ったり、「コミックバーズ」に名称変更したりしてます。
この話、邪馬台国の卑弥呼を魏の官吏である張政が暗殺し、邪馬台国の実権を握ろうとすることからいろいろ始まってくのですが、どこの国にも属していない漂流民の老師のもとで成長した少年・ライカが彼の野望と戦っていくことになります。卑弥呼と壱与の世代交代の時代の古代日本ネタを非常に上手く取り入れた傑作。神仙術の遣い手であるライカやその仲間、そして強敵・張政たちの、超絶技と超常力の壮絶アクションバトルが見物です。
私はライカ側では微妙に活躍できなかったウツキとかが好きで、張政側では(凍結版では)七巻から登場する、イキナメの仲間・公孫一族七人衆が好きでしたね。どいつもこいつもしぶといしぶとい。特にイキナメのしぶとさは凄いです。意外と狗奴国関係の人はあまりパっとしないのですよ。
はじめの方では、張政が「邪馬台国を魏の国に変わる大国にしてやる」とか大口叩いてるので、そりゃ言い過ぎだろ、とか思ってたら、最後の方になって邪馬台国に隠された凄い秘密が明らかになって、ついには張政が地の龍との融合を果たし、なんか途方もない超常バトルになってきます。確かにこりゃ、大口も叩けるわい。
いろいろな所で解説とかついてノリとしては古代史版カムイ伝とでもいいますか。原作者も忍者ものの影響について語ってますね。私としてはアクションとかもそうですが、歴史的要素が絡んでたりで、漫画として非常に楽しめました。

どうやらこの凍結版も在庫無しの重版未定のようですね。いつか文庫版とか出るのかな?

そういや、この前『ヤングガンガン』か何かで、南フランスへの旅行記漫画を描いてましたね。楽しそう。

参照サイト
KAMUI'S NOTE
http://www004.upp.so-net.ne.jp/studio2b/contents.html
葵屋
http://aoiya.sub.jp/index.php?%BB%FB%C5%E7%CD%A5
スコラ(wikipedia)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B9%E3%82%B3%E3%83%A9
角川書店 雷火
http://www.kadokawa.co.jp/comic/bk_detail.php?pcd=199999713384

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