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かつての弟を恋する少女が、テロ活動に協力する。高丘しずる『エパタイ・ユカラ 愚者の闇』
これは古い記事です。

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かつての弟を恋する少女が、テロ活動に協力する。高丘しずる『エパタイ・ユカラ 愚者の闇(おろかもののやみ)』

ここ1週間以上の間、映画『300』の影響で、うちのブログの記事にきてくれる人が毎日40人とか50人とかいます。素晴らしきかな、テルモピュライ効果!

それはともかく。
『エパタイユカラ』の続編です。副題が「恋」から「闇」という形になったようですね。

エパタイユカラ愚者の闇_高丘しずる

『エパタイ・ユカラ 愚者の闇(おろかもののやみ)』

(高丘しずる。イラスト/輝竜司。エンターブレイン。ビーズログ文庫。2007年。650円。印刷/凸版印刷。デザイン/虹川貴子 POLISH)
「西倭国をテロの恐怖に陥れたカムイセタの過激派たち。そのリーダーであり、カムイセタを組織した革命家の千歩光寿(せんぽこうじゅ)によって育てられた明(あきら)は、上流階層の娘たちが通う学校に行っている姉の古閑黎良(こがれら)に、要人たちのスケジュールを聞き出すように迫る。過去の負い目がある黎良はそれに逆らえず情報集めをはじめるのだった。しかし、それによって多くの人が死に、何よりも自分の身近にいる人々が傷つくのを見て苦しむのだが・・・」

天変地異と戦災によって荒廃し、東西に分断された23世紀の日本を舞台に、愛するが故にテロ行為に協力することになってしまった少女の物語、の第2巻。
前巻が幼くして離ればなれとなってしまった弟・明との再開でしたが、この巻では黎良は明に協力してテロのための情報収集を行い、テロを成功に導きます。しかし、最も身近にいる寄宿舎の生徒たちの父が死に、なにより友人でもある慧蘭(けいらん)の父親までもが死んでしまいます。やがて自分のやってしまったことに耐えられなくなってしまった黎良ですが、すでに時おそく、全ての破綻が近づいてきていたのです・・・。
なんというか、急転直下というか、2巻にしてこの展開は、という形になってきて吃驚しました。こうなると、次の巻からはこれまでとはまったく違った話になっていきそうですね。楽しみです。

しかし、この小説の中に出てくるテロ活動やら諜報活動の内容が、1960~80年代的な風味に仕立てられてて、いまいち未来ものという感じがしません。いや、全体的に未来もの、という部分が東西に分断された日本とか天変地異後とかそこらへんくらいしかないですね。SF的ギミックも無いし。もしかしたら、描いてないけど、世界的な人間社会の衰退が背景にあるのかも。

作者の高丘氏が折り込み表紙のプロフのところで、これのコンセプトは「乙女ゲー」だ、と言ってますね。もしかしたら、今後、射越朗(ホロケゥ)みたいなのもいっぱい出てきたりとか? あと、萩国架(はぎくにか)も再登場するのかな。

この作品の作文の構造が、メインの話の各章の前後に未来におけるインタビューのシーンを持ってきていたりするのですが、各章ごとの前後にそれが挟まっているので、やはりテンポが少し混乱する気がします。


参照サイト
[高丘しずる] エパタイ・ユカラ 愚者の恋(booklines.net)
http://www.booklines.net/archives/4757730667.php
B's-LOG文庫
http://www.enterbrain.co.jp/bslog/bslog_bunko/
アイヌ民族博物館
http://www.ainu-museum.or.jp/
ainu.info
http://www.ainu.info/
ユカラネット
http://www.yukar.net/
MercuriusLAB(輝竜司)
http://www.mercuriuslab.com/

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by xwablog | 2007-06-18 19:40 | 日記
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