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ウクライナの聖なる秘宝を巡るサスペンス。イーヴリン・アンソニー『聖ウラジーミルの十字架』
今日は仕事でとんだ間抜け振りをさらした。四人くらいからそれぞれ5ポイントくらいの好感度を下げた。

それはともかく。
この前もらった本の中から、こんな本を読んでみた。

聖ウラジーミルの十字架_アンソニー

『聖ウラジーミルの十字架』

(イーヴリン・アンソニー。訳/食野雅子。新潮社。新潮文庫。1996年。)
「大戦後にイギリスへと移住していたウクライナ人で、反ソ組織のメンバーであるユーリー・ウォレンは、かつてある人物から大事なものを預かっていた。死期を悟ったウォレンは娘のルーシーにそれを託す。それこそはロシア革命の時に失われたと思われていた秘宝・ウラジーミルの十字架だった。ルーシーは父からジュネーブにいる反体制派の亡命ウクライナ人指導者ウォルコフ教授に十字架を渡すよう言われるのだった・・・」

ウクライナ人の象徴的な宝物として「聖ウラジーミルの十字架」なるものが登場する作品。
タイトルからしてかなり期待した作品でしたが、ちょっと、というか、かなり思っていたものと違うような作品でした。サスペンス? 政治陰謀劇というには物足りない。かなり淡々と話が進むし、盛り上がりどころが足りなかった感じです。若い主人公と中年男性のラブなシーンも入ったりしてます。
舞台はほとんどソ連以外。時代はゴルバチョフ時代です。
ロシア人によるソ連の体制のもとで抑圧され苦しめられているウクライナ人、というイメージで描かれています。よし、この十字架が独立ウクライナのシンボルになるんだ! みたいな。

「裸電球の下で包みを開き、そして歴代皇帝が即位するときに唱えたということばをつぶやく。「『聖ウラジーミルの十字架』を手にする者は、聖なるロシアを掌中に収めん」このことばは呪文のように、ロシア民族を千年にわたって縛ってきた。」

「1919年に赤軍がこれを見つけていたら、白衛軍の半分は降伏しただろうと言われている。レーニンはこの十字架の力を知っていた。スターリンもだ。」

「父が言った。「ロシアでもっとも聖なる遺物だ。ウクライナ人が千年以上にわたって崇めて来た。(中略)ウォルコフがこの十字架を持ってロシアに戻れば、ウクライナ人は立ち上がり、独立を宣言するだろう。そうすれば共産主義は崩壊する。」

まあ、本文からのこうした抜粋部分から大体の内容は察してください。

「ルーシーは、あの暗い穴に隠された、古い十字架のことを考えた。千年以上も昔、暴君ウラジーミル大公がキリスト教に改宗したとき大公から下賜されたと伝えられる十字架。以来、さまざまな伝説を生み、不思議な力があると信じられてきた。」

・・・暴君だそうです。

たぶん、探せばもっとこうした作品はあるはず。ちょっと今度からはもう少し気にしておこう。

このアンソニー氏という作家さんは、イギリスの女性作家で、歴史小説・推理小説・ミステリー小説などを何編か書いている人。『ダビナ・シリーズ』が有名だとか。この『聖ウラジーミルの十字架』は原題が『THE RELIC』で1991年に書かれたみたいです。


ちなみに、前、奥野さんからお借りしたDVDで、『クニャージ・ウラジーミル』というのがあって、これが非常に面白かったです。

クニャージ・ウラジーミル01DVD

『Князь Владимир(クニャージ・ウラジーミル)』
(ロシア映画。アニメ。78分。2006年。)

中世のロシア・ウクライナなどを領域としたキエフ公国の君主ウラジーミル1世を描いたアニメ映画作品。「Князь(クニャージ)」ってのは英語のKingと同源の言葉で、「公」とか訳されます。
ロシアのものなので、当然ロシア語。私が見た時は、前半部分は奥野さんの説明を聞きながらでしたし、後半は、一応一通りの初期のロシア史は知っているので、ロシア語分かんなくても大まかなことは分かりました。
非常に力の入った作品で、アニメとしても質が高かったです。ディズニー系に近い作風。
どうやら続編を前提に作ったものらしく、途中で終わります。まだキリスト教に改宗してない段階。でも、ちょっとだけビザンツ帝国のシーンがあって、のちに奥さんとなるアンナも登場したりします。すげえ。続編はまだ出てないとのこと。

ちなみに、ウラジーミル1世の改宗は988年。
ここらへんのことをチラリとネタにした漫画が、『勇午』のロシア編です。ロシア編は、『勇午』の話の中でもかなりいい部分でした。

参照サイト
新潮社
http://www.shinchosha.co.jp/bunko/
新潮文庫の100冊
http://100satsu.com/
『князь владимир(クニャージ・ウラジーミル)』公式サイト
http://www.knyazvladimir.ru/
ロシアの映画検索サイト?
http://www.film.ru/afisha/movie.asp?code=KNZVLAD
ウラジーミル1世(wikiロシア語版)
http://ru.wikipedia.org/wiki/Владимир_I_Святославич
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by xwablog | 2007-07-13 17:35 | 史劇
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