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近世ドイツを生きる人びとの世界。P・ラーンシュタイン『バロックの生活 1640年~1740年の証言と報告』
ゴールデンウィークももう終わりに近づいてきてる感じがするのですが、何もできなかったなぁ。
明日のコミティアも行けそうにないです。

バロックの生活 1640年~1740年の証言と報告


『バロックの生活 1640年〜1740年の証言と報告』
(ペーター・ラーンシュタイン。訳/波田節夫。法政大学出版局。叢書・ウニベルシタス228。1988年。3900円。488ページ)
第一章 時代の輪郭
第二章 回顧
第三章 肉体と魂
第四章 お上と臣下
第五章 職業と経済
第六章 旅と冒険
第七章 戦争
訳注
訳者あとがき
人名索引
文献一覧

バロック時代のドイツの生活を紹介した本。著者は1913年シュツットガルト生まれのラーンシュタイン氏で、定年するまでは役人。法学博士でもあったので、停年後は法律家、文化史家、寄稿家として活躍とか。この『バロックの生活』は1974年に出した本で、ほかに書いた本もだいたい1970年代以降に書かれたものです。
「本書はバロック時代の人々の生活の跡をたどることをめざしている。調査する時期は三十年戦争の収支決算で始まり、1740年、ウィーンではマリア・テレジアが、ベルリンではフリードリヒ2世が即位した年に終る。地理的には当時のドイツ文化圏を扱うが、これは多かれ少なかれドイツ国民の神聖ローマ帝国の領土と合致していた。」
冒頭にこのように書いてある通り、当時のドイツ文化圏における人びとの生活に焦点を当て、同時代における様々な記録・証言・報告を引用しつつこの時代がどのような時代であったのか、そして何よりもその中で活き活きと生活する人間の姿を掘り起こしていきます。
もっとも、やっぱり昔の生活は苦しかったのか、悲惨な話も結構ありますが、今と変わらぬ部分もあったりして、非常に興味深いです。

ドイツについてがメインの本ですが、ドイツ以外の地域の証言なんかも取り上げたりしています。ロシアでいえば、ピョートル大帝について言及している部分がありますが、サンクト・ペテルブルクについてこうあります。
「ピョートルはヘラクレスの如き人物であった。そしてそういう人物として真にバロック的現象であった。彼が自分の意志を記念するために自分の都市ザンクト・ペータースブルクを建設したやり方もバロック的である。この首都は彼の意志に従って短期間のうちにネヴァ河の河口の沼地から生れた。この時代の特性を示すものとしての都市の建設については後でさらに詳述するが、このペータースブルクは模範例である。」(P134より抜粋。)
バロック都市としてサンクト・ペテルブルクが分類されるようですね。当時の都市建設ブームみたいのはヨーロッパ全体での流れとして見る必要があるんですが、じゃあ、それにどの都市が当てはまるのかというと、いまいちちゃんと知らないですね。P156に書いてあるのを見ると、カールスルーエ、マンハイム、ハイデルベルク、ルートヴィヒスブルク、ハーナウ、カッセル、ポツダム、といった場所のようです。

「死に方というものがあった。そんなものを習得しようとする人は今ではもはやほとんどいないであろう。しかし当時の人は貴賤を問わず、きちんとそれを心得ていたのである。」(P130)
なんか、日本にもこういう美学的なものがあったような。
そういや、この本の中に三十年戦争の時の将軍のひとり、マンスフェルトの死に様についてのことがちょっと書いてありました。

あと、今探しだせなかったけど、あまりに苛酷な生活のため、老婆のような姿になってしまった女性の話が載ってるのも、確かこの本だったかな?

ともかく、この手の「当時の証言」系の情報が満載の本が好きならこれは外せない一冊です。この前紹介した『鉄腕ゲッツ行状記 ある盗賊騎士の回想録』も似た系統ですが、あっちはまさに自伝。

ヨーハン・ディーツ親方自伝

ちなみに『大選帝侯軍医にして王室理髪師 ヨーハン・ディーツ親方自伝』(コンゼンツィウス著。白水社)という本がありますが、このヨハン・ディーツって人もこの時代の人で、その証言は『バロックの生活』の中でも何度も取り上げられています。



その他、ニュースなど。

グルジア無人偵察機2機を撃墜=アブハジア当局者(時事通信)
http://www.jiji.com/jc/c?g=int_30&k=2008050400192
これって、こんな「局地的」な戦いでも無人偵察機が使用される時代になったということなのか、それとも私自身のイメージするよりももっとこの紛争当事国の所有兵器のレベルが高いのか、どっちなんでしょうね。

シラーの頭蓋骨、どちらも偽物=DNA鑑定で判明−独(時事通信)
http://www.jiji.com/jc/c?g=int_30&k=2008050400017
中部ドイツ放送、ということはドキュメンタリー番組かなんか作るのかな。見たいなぁ。

持ち出した発掘物、実は10倍の4万点=米大所蔵のマチュピチュ遺跡品−ペルー(時事通信)
http://www.jiji.com/jc/zc?k=200804/2008041500107&rel=j&g=int

「ノルウェーのエコ」写真特集
http://eco.nikkei.co.jp/special/article.aspx?id=20080501q0000q0
nice boat...

意外な人が意外な順位!? 明治時代の「英雄番附」(エキサイトニュース)
http://www.excite.co.jp/News/bit/00091209572929.html
「「番附」は、東洋と西洋に分かれているが、横綱は東洋が豊臣秀吉、西洋がナポレオン一世、大関は東洋が成吉思汗(チンギスハーン)、西洋が歴山大王(アレキサンダー大王)、関脇は徳川家康、シーザー、小結は西郷隆盛、ペートル大帝(ピョートル大帝)といったところ。」
うーむ、ピョートル1世の扱いはどれくらいなんだろ。一枚欲しいな〜。

参照サイト
法政大学出版局
http://www.h-up.com/
白水社
http://www.hakusuisha.co.jp/
ディートリヒ・ブクステフーデ (Wikipedia)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%87%E3%82%A3%E3%83%BC%E3%83%88%E3%83%AA
%E3%83%92%E3%83%BB%E3%83%96%E3%82%AF%E3%82%B9%E3%83%86%E3%83%95%E3%83%BC%E3%83%87
科目名:ヨーロッパの生活と文化 平成15年度後期 ヨーロッパ庭園史(1)
http://sng.edhs.ynu.ac.jp/lab/iwakiri/2003-lecture.html

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斜行戦術によって勝利を掴んだプロイセン軍。MAA『フリードリヒ大王の歩兵 鉄の意志と不屈の陸軍』
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by xwablog | 2008-05-04 23:59 | 書庫
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