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ドイツから東欧への人の流れの歴史を追う。シャルル・イグネ『ドイツ植民と東欧世界の形成』
土曜は仕事始めでさらに残業、今日は熱が出て寝て過ごした馬頭です。
年賀状が来てたのでそれの返事書いて、ゲームして漫画読んだ。アレ? 歴史本読むつもりが・・・

てか、年賀状見て、今年が平成20年だってことに気づいて驚いてます。もう20年なのか? はやいなー。

それはともかく。
そういやこれ紹介してなかった、と思って。

ドイツ植民と東欧世界の形成_グネ


『ドイツ植民と東欧世界の形成』

(シャルル・イグネ。訳/宮島直機。彩流社。1997年。8000円。460+95ページ)
・第一部 ドイツ植民の前史
第一章 地理的な条件の違い
第二章 ゲルマン人、スラブ人、アバール人(六世紀から八世紀まで)
第三章 カロリング朝時代におけるドイツ人の東欧進出
第四章 ドイツ内部の開墾
第五章 ザクセン朝の東欧政策とザリエル朝の東欧政策
第六章 西スラブ人とハンガリー人のキリスト教受容
第七章 オーデル川流域へのドイツ人の進出
第八章 十二世紀から十三世紀の大開墾時代
・第二部 ドイツ植民の地理学
第一章 ホルシュタイン地方とラオエンブルク地方
第二章 ザーレ川とエルベ川のあいだ(マイセン地方)
第三章 ブランデンブルク辺境伯領
第四章 バルト海沿岸地方
第五章 オーストリアと東アルプス地方
第六章 チェコ地方、モラワ地方、スデティ地方
第七章 シロンスク地方
第八章 ハンガリー王国とその周辺部
第九章 ウエルコポルスカ地方とマオポルスカ地方
第十章 リボニア地方
第十一章 プロイセン地方のドイツ騎士修道会
・第三部 ドイツ植民の社会学
第一章 開墾の担い手
第二章 農村の型と畑の形
第三章 新しい農業技術の到来
第四章 東欧における都市建設
第五章 東欧の都市の型
第六章 都市民、行政制度、社会制度
第七章 二つの文化の出会い
エピローグ
訳者あとがき
原注
索引

フランス人の歴史家が書いたドイツ人による東欧各地への植民活動の本。これほど情報量のあるものは他にないので、この本は同人誌作るときとかには欠かせない一冊となっています。
書いたシャルル・イグネ教授は、トゥールーズ生まれのフランス人で、第2次世界大戦がはじまるまでは高校の先生でした。第2次世界大戦時1940年に捕虜になって、ポーランドのシロンスク・グールニ地方に連れてかれて捕虜生活を送ってたことで、東欧への興味が膨らんで、これを書くにいたったそうです。彼は将校だったので、快適な捕虜生活だったみたいですが、当時のドイツでは捕虜の将校に対する友好キャンペーンを行っていたらしく、いろいろ便宜を受けれて、図書館から本も借りれたとのこと。それで歴史の勉強をはじめてしまい、これを書くにいたったそうです。前にも思いましたが、歴史家はその本人のエピソードだけでも面白いことがありますね。
ともかく、これはこの本にしか載ってない情報とかいろいろあって重宝してます。ありがたいことです。なんか翻訳に数年かかったとのことですから、大変だったんでしょうね。
各時代ごと、各地域ごとに分けてくれてたり、スラヴ人以外の民族についてもちゃんと書いてあったり、細かい情報が多くて嬉しいし、読みやすいです。あと意外と図版が多くて役立ちます。中世の東欧史やるならこれは欲しい一冊ですよ。

参照サイト
彩流社
http://www.sairyusha.com/
東欧史研究会
http://www.na.rim.or.jp/~aees/index.html

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