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レーニンの遺体を保存せよ! イリヤ・ズバルスキー『レーニンをミイラにした男』
古い記事です。

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2007年05月12日
レーニンの遺体を保存せよ! イリヤ・ズバルスキー『レーニンをミイラにした男』。レーニンの遺体を取り巻く人々の諸相。

この前ウチにお客が泊まってた時に思ったのですが、やっぱり電子レンジあった方がいいな、と。まともな食材すら無いし、調理もできないので、ずっとオリジンかほっかほっか亭のどっちかのお弁当しか出せず、ちょっと参ったので。電子レンジさえあれば、コンビニ弁当も対応できるし、まともな調理も結構簡単かと。
平時もよく食事として出る、コンビニのカレーパンとかの類いや冷めたご飯をあっためることができますしね。なんとかして導入してみるかな・・・

それはともかく。
先月ですが、こんな本を読んでみました。コロリョフのドラマ『宇宙へ 冷戦と二人の天才』とはまたちょっと違うソ連の科学者の話。

レーニンをミイラにした男


『レーニンをミイラにした男』

(イリヤ・ズバルスキー&サミュエル・ハッチンソン。訳/赤根洋子。文藝春秋。春秋文庫。2000年。638円。印刷/凸版印刷。製本/加藤製本)
「1924年1月21日、ソ連の革命家レーニンが死去した。すでに生前から議論されていたように、レーニンの遺体は社会主義革命の象徴として永久保存されることが決定される。しかし、その遺体の保存方法が問題となる。冷凍保存なども検討されたが、最終的に薬剤保存することになった。その処理には解剖学教授ヴォロビヨフと共同作業者であった科学者ボリス・ズバルスキー、そしてその息子イリヤ・ズバルスキーたちがあたることになる。この驚くべきレーニンの遺体の永久保存の過程を、当時の生々しい社会の様子を交えて描く傑作ノンフィクション」


レーニンの遺体保存に関わったイリヤ・ズバルスキーという人とモスクワ在住のライター兼カメラマンのサミュエル・ハッチンソンが書いたレーニンの遺体についてのノンフィクション。
イリヤ・ズバルスキーという人は、父親ボリスがレーニンをミイラ化して保存することに関わった人物で、イリヤ自身もレーニン廟付属研究所で働き、レーニンの遺体保存に関わってきています。タイトルが『レーニンをミイラにした男』になってますが、レーニンをミイラにしたのはヴォロビヨフであって、イリヤやその父親ボリスではない。原題の方は『検体1号』とかそんな感じのタイトルなので、こうなったのは出版社側の意向かと。はじめはフランス語版が出て、その後ロシア語版英語版ドイツ語版などが出たようです。なぜか訳者はドイツ語翻訳の専門家でドイツ語版からの翻訳という変則的な翻訳本。
内容的にはレーニンの遺体保存についてが話の柱になっていますが、イリヤ・ズバルスキーの自伝といったようなものです。彼の誕生前からはじまり、彼がレーニン廟付属研究所を辞め、ソ連が崩壊した後の状況までを語っています。
レーニンをミイラにするための科学的技術的な話も面白いのですが、登場する著名人や、人間関係、当時の世情やいろいろな特異な状況、そしてイリヤ・ズバルスキーの家族について、などなど、まるでドラマのような話や興味深いことがたくさん載っています。
文体もなかなか良く、大変読み応えのある本になっています。

イリヤ・ズバルスキーはユダヤ系で、父ボリスはかなり富裕な家庭に育ちますが、この親子の人生も面白いです。

「委員会は、ウラジーミル・イリイッチの遺体を保存するためにあなたが必要と見なすあらゆる手段を講じるようあなたに要請します」

ウクライナ・ハリコフ大学の解剖学教授だったヴォロビヨフが受け取ったジェルジンスキーからの手紙にはそう書いてあったそうで、これはヴォロビヨフにとっては望んでないことでした。なにせレーニンの遺体の保存に関わっても、失敗したらエライ目に遭うのはわかってたから。
そういうわけで、イリヤの父親ボリスに半ば騙されてレーニンの遺体を保存する役目をおおせつかったヴォロビヨフは、それからずっとレーニンとつき合っていくことになります。そして、その共同作業者であるボリス・ズバルスキーはこの仕事に関わることで、ソ連社会の上層階級とつき合うことになります。
息子であるイリヤもこのレーニン廟付属研究所で働き、科学者としても成功を収めていくことになるのです。
第二次世界大戦中は、レーニンの遺体はシベリアまで移動させられます。チュメニという都市で疎開する時には彼らもついていって、戦争そのものには参加しません。しかし、ドイツ降伏の後には、ベルリンまで行って、さまざまな実験の材料や機材などを手に入れるよう命令されます。その時の苦労話やら酷い話やら、恋の話はなかなか凄いですよ。
さらに父親のとの確執や、社会のおかしさに悩む様が書かれていて、なんか、ここまで書いちゃっていいのかな、とか思わせるところも。(母親の不倫?らしきことについても書いてるし)

最後は、現在、ソ連崩壊後、資金繰りに苦慮したレーニン病付属研究所が、ロシア・マフィアの遺体をエンバーミングしている、という話や、レーニンの遺体をどうすべきか、とか語って終わっています。
そういえば、ソ連友好国の国家元首の遺体に処理をほどこす話もありました。これはとても面白かったです。ベトナム戦争中のホーチミンとか、アンゴラのネト大統領とか。

文庫で読みやすいし、ストーリーがあり、堅苦しくないのでオススメです。


ついでにニュースの話でも。

ミッキーマウス、抵抗呼び掛け?=ハマスが子供向けTV番組−パレスチナ
http://www.jiji.com/jc/c?g=int_30&k=2007051001166
「ロイター通信などによると、パレスチナ自治政府を主導するイスラム原理主義組織ハマスのテレビ局が4月、ミッキーマウスに酷似したキャラクターがイスラエルへの抵抗を呼び掛ける子供向け番組を繰り返し放送した。」(時事通信より抜粋。)

ミッキーとハマスか・・・。むしろ『トムとジェリー』なら、自爆ネタみたいのあったような気もするから、あっちの方がよかったかもな。


ガンダム、永遠の輝き
http://www.jiji.com/jc/p?id=20070510181427-5225717
「 報道陣に公開された時価約三千万円相当のプラチナ製「機動戦士ガンダム」。」

初代でした。


文民の「外国語部隊」を試験導入、千人と 米国防総省
http://www.cnn.co.jp/usa/CNN200705100025.html
「米国防総省は9日、内外での人道支援、戦争、危機管理、災害対策などに対応するため文民約1000人の「外国語部隊」を創設する、と発表した。3年間は試験的に実施、成果が確認出来れば、正式発足させるとしている。」(CNNより抜粋。)

なんだ、はじめ見た時、兵士が足りなくて外人部隊でも作るのかと思って期待したのに。


参照サイト
ウラジーミル・レーニン(wikiロシア)
http://ru.wikipedia.org/wiki/Ленин%2C_Владимир_Ильич
レーニン廟の話(極東ブログ)
http://finalvent.cocolog-nifty.com/fareastblog/2005/10/post_9e15.html
羊堂本舗 脳ざらし紀行(2005-03)
http://sheepman.sakura.ne.jp/diary/?date=200503


Posted by 管理人・馬頭 at 00:29 |Comments(2) |TrackBack(0) | ロシア・CIS , 本<歴史>

この記事へのコメント

コンバンワです。世界史全般に興味があり、貴HPを見ました。世界史全般以外にも、宗教史、芸術史、文化史に興味があります。
今は、仏教史〜キリスト教史に興味ありです。文献関係も探してます。他のHPとか結構うろうろするかもしれないので、どこかであったら声でも掛けてやって下さい。
はなしは変わりますが、インダス関連の古代宗教関係の文献でお勧めってのがあったら教えていただけると幸いです。(なければキリスト教関連でもいいです)
でわ〜。
〜By 加.一.醸 提.人・カイチ.ジョウ テイ.ト〜
Posted by 加.一.醸 提.人 at 2007年05月12日 02:26
>加.一.醸 さん
こんにちは。

>インダス関連の古代宗教関係の文献でお勧めってのがあったら
範囲外です〜。
Posted by 管理人・馬頭 at 2007年05月13日 03:01

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なぜか、インダス文明関連のことをウチに聞かれた。どう考えても範囲外。なんでウチのサイトに?

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