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トルケルの追撃を逃れるため、ブリテン島西部ウェールズへ。幸村誠『ヴィンランド・サガ』第4巻の記事
これは古い記事です。

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2007年02月25日
トルケルの追撃を逃れるため、ブリテン島西部ウェールズへ。幸村誠『ヴィンランド・サガ』第4巻

本日は、このようなトークライブがあったのです。鬼ノ仁+月野定規+竹村雪秀という超豪華ゲスト。すげー。
私はといえば、今日も当然ながらバイトというわけで、行きたかったのですが行けませんでした。どんなんだったんだろう。

それはともかく。
昨日買ったヴァイキングものといえばコレ。クヌートと絡めての話が、ウェールズ入りでさらにでかくなってきましたよ。


『ヴィンランドサガ(Vinlandsaga)』第4巻


『ヴィンランドサガ(Vinlandsaga)』第4巻

(幸村誠。講談社。アフタヌーンKC。2007年。562円。印刷/図書印刷)
「トルケルの部隊と彼に襲撃されているクヌートたちの部隊を、森に火をつけて混乱させ、トルフィンを使ってまんまとクヌートたちだけを助けることに成功するアシェラッド。トルケルのさらなる追撃を逃れるため、ウェールズへと渡り、モルガンクーグ王国の援助を受けることなる。イングランド王とも敵対するウェールズの諸王国だが、ノルマン人を歓迎しているわけでもない。しかし、アシェラッドにはこの土地において強い繋がりがあり・・・」

『アフタヌーン』移籍後、順調に話を進めている『ヴィンランド・サガ』ですが、トルケルに追われるクヌートから、彼を救いだすのですが、トルケルの部隊を混乱させるために、クヌートの部下の兵士たちさえも巻き込む形で火付けをします。混乱の中で一人クヌートを奪いとるためにトルフィンが出されます。
トルフィンは無事クヌートのもとまでたどりつくことができましたが、ちょうどそこにトルケルも登場。絶対絶命かと思われたとき、彼はトルフィンの両親のことを聞いてきます。どうやら彼もトールズを知る人のひとりのようです。トルケル曰く、「世界で唯一人のオレより強い男」。
火事もひどくなり、なんとか見逃してもらえたトルフィンはクヌートをアシェラッドのところへつれていきます。
こうしてクヌートを手中にすることができたアシェラッド。何やら大きな権力を手に入れるための手のひとつとして考えているようです。
そんな彼がトルケルからの逃げ道として選んだのが、ブリテン島の西部にある山がちの荒地・ウェールズです。ケルト系住民が住み、独自の言語が話される土地。その最南部に位置するモルガンクーグ王国の将軍グラティアヌスの協力を得るアシェラッド。何やら古きブリタニアの英雄・アルトリウス公の末裔だというのだが、そのこととノルド(ノルマン人)の混血である立場を利用としているようです。
この戦いでクヌートを担ぎ上げることに成功すれば、ウェールズやイングランドどころかより巨大な力を手に入れることも可能になりそうですが・・・
話がデカくなってきてますね〜。まさかアーサー王ネタも絡めてくるとは。

>ウェールズ
ブリテン島の西部。政治的には、1536年にイギリス(イングランド)に併合されたが、ケルト人の居住地としてその後もケルト文化を強く残し、今もウェールズ語の保存に熱心である。宗教的にも、早くキリスト教化されたとはいえ、ドルイド教などの影響が強く残り、イギリス国教会がなかなか浸透できなかった。中世にはイングランドとの境界付近に辺境領主が跋扈し、イギリス側の支配が貫徹しにくかったので大きな政治課題となった。1301年にエドワード1世が皇太子をプリンス・オヴ・ウェールズと称して、同地の支配者を懐柔しようとして以来、今日までイギリス皇太子はこの名称で呼ばれている。
(『角川世界史辞典』P116より抜粋。)

ちなみに当時のウェールズは諸王国が林立していて、特にこの時は紛争で混乱した状態だったようです。かつてローマ帝国によって支配されていたこともありましたが、5世紀はじめくらいにローマン・ブリテンの時代が終わり、ブリテン島に混乱した時代がやってきます。スコット人やブリトン人やピクト人の移動、大陸からはサクソン人の襲来などがあり、勢力図が入れ替わります。このころできたウェールズの諸王国の中には、『ヴィンランドサガ』で出てくるモルガングーク(モルガヌグ、もしくはグラモルガン)もあります。
こうして6世紀頃からアングロ=サクソンの進出激しいイングランド東部に様々な王国が立ち、7〜9世紀に七王国時代というのがやってきますが、ウェールズもやはり諸王国が立ち並ぶ状態でした。その中でもウェールズ南東部はさらに分裂していて、肥沃な土地で人口も多かったのですが、まとまった勢力が台頭することなく、グラモルガン(モルガングーク)、グウェント、ブラヘイニオグといった小王国の集まる地域でした。
9世紀の終わりくらいからヴァイキングの襲来が激しくなり、ウェールズの諸王国はイングランドの王に支援を求めたり、服属することになりますが、9世紀の中頃、北ウェールズを支配するグウィネッズの王ロドリ大王がウェールズの大部分を、10世紀半ばにはロドリの孫ハウェルが全ウェールズを支配します。しかし、その後の内紛で混乱が続き、11世紀の40年代になってやっと収まることになります。
『ヴィンランドサガ』はこの巻では1013年の話なので、一時期成し遂げられた統一が崩れ、混乱が続いていた時代だったわけです。

さて、物語の中では冬に入ってしまい、行軍できなくなったアシェラッド率いる100人ほどの集団は、中部イングランドのとある村を襲撃し、そこで越冬するつもり。今が1013年末だから、翌年には・・・。少しだけ今後の展開を予測しつつ、話の続きが楽しみです〜

ちなみに巻末に『週刊少年マガジン』で『もうしませんから。』を連載している西本英雄氏が四コマ漫画を二本入れてます。また幸村氏が描いた「ユルヴァちゃん」が入るかと思ってたんですが、どうも幸村氏は四コマ漫画は大の苦手らしく、なかなか描けないようです。この件については『もうしませんから』の方にそれについての漫画が載っているはず。

ところで、ウェールズの古名を「カンブリア」といいますが、地質学などで使われる「カンブリア紀」(5億4000年前から5億年前くらいの時代)という言葉は、このウェールズにその地層が分布することから名前がつきました。ウェールズに南北に走る山脈もカンブリア山脈といいます。
で、今日入ったにニュースで、イギリスのカンブリア州で列車事故があったとありますが、この「カンブリア州」はこのウェールズの中にある州ではなく、イングランド北西部(イングランドの一番北の西側)にある州のこと。こちらもケルト系カンブリア人の居住地であったことからついた名前です。

高速列車が脱線、1人死亡 線路に障害物の情報 英国
http://www.cnn.co.jp/world/CNN200702240010.html
「英イングランド北西端のカンブリア州の救急当局によると、同州で23日夜、ロンドン発グラスゴー行きの高速列車が脱線、車両が線路脇の土手から滑落するなどして、1人が死亡、77人が負傷した。時速約150キロで走行中の脱線だった。」
(CNNニュース、2月24日記事より抜粋。)


参照サイト
ヴィンランドサガ特別予告編サイト(少し重い)
http://kodansha.cplaza.ne.jp/e-manga/common/whatnew/vinland/
漫力
http://www.garden-label.com/manriki/
アフタヌーン(e-1day)
http://www.e-1day.jp/afternoon/magazine/
ぱんちゅ万歳(鬼ノ仁)
http://www.asahi-net.or.jp/%7Etr6h-kjur/
退屈帝国(月野定規)
http://ttn2.org/
ART ALCHEMY(竹村雪秀)
http://homepage2.nifty.com/sessyu/

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Posted by 管理人・馬頭 at 02:03 |Comments(9) |TrackBack(0) | 漫画<歴史> , 歴史 , ニュース


この記事へのコメント

>クヌート
ついに大王まで出てきましたか・・・。
惜しい・・・あと一つか二つ世代後なら、エドワードやエドモンドとも接近してくるのに(笑)
あの二人なら、アルフレッド大王の末裔ということで、いろいろ面白くなるんだけど・・・ヤロスラフやイシュトヴァーンも絡むし。(話がでかくなりすぎでしょうが)
しかしヴァリヤーグもの・・・面白くなってきましたね。
こりゃブックオフに並ぶのを待ってる場合じゃないか?!
Posted by 大鴉 at 2007年02月25日 11:21

しまった、出てたのか(^^;
感想読むの途中で止めて
買いにいってきます(^^;
Posted by 武藤 臼 at 2007年02月25日 12:41

>待ってる場合じゃないか
そうです! 是非読んでください〜
武藤さんもさっそく〜。
トルファンはたぶん、クヌートとの絡みで行くとしたら、この後、イングランドからデンマークへ、そして再びイングランドへ、という感じで行くかもしれません。それまでにアシェラッドとの関係を清算してしまえば、次の展開になるかもしれませんが、そうなったらどこ行くんでしょうね。まさか、ほんとにグリーンランド経由で北米とか?
なんとなくアイルランドの予感もしますが、順当にアイスランドという可能性が高そう。ユルヴァがどうなってるかな〜。あのイヤな隣村のやつとかまた出そうです。
Posted by 管理人・馬頭 at 2007年02月25日 13:47

今後が楽しみですよね。
そういえば、私以前バイキングの北米到達行を題材にした小説読んだことがあるんですよ。これが古い・・・・だいぶ昔に書かれた作品だったんですよね。なかなか面白かったんですが読んだあと少々疑問に思いました。この小説が書かれた当時”コロンブス以前の到達者”の話はすでに公認されていたのかな?と。私はなんとなく、ごく最近史実と認められたのだと思ってました。つい最近までただの御伽噺だったんだろうと。
今では子供向け歴史漫画にも載ってますけど。
Posted by 鉛筆 at 2007年02月25日 21:13

買ってきました
こいう展開ですか(^^;
アシェラッドそーくるのかという感じですが
トルフィンのその後
・・・そもそもどこまで行くのか
クヌートにとことん付き合えば20年はイングランドですかねえ
ナウシカの最終回のごとく、その後語り的にヴィンランドに渡った
・・・なんてのはどうです?
やぼとはいえ、思わず系図をひっくり返してみたくなりますが、
我が家にはウェールズ関係は、ロドリ大王絡みのものしかありません。
しかし、ウェールズのことは全く知らんとです。
なんか調べてみたい・・・けどとりあえず止めときます(^^;
Posted by 武藤 臼 at 2007年02月25日 21:29

>北米到達の話
研究史については詳しくしりませんが、これは北欧の『サガ』やら『エッダ』やらにおいて既に知られていた話ですし、18世紀以降にヨーロッパで歴史研究が盛んになった段階なら、広く知られていてもおかしくないかと。
>そーくるのか
こう絡めてくるとは予想の範囲外でしたよね〜。
20年はいられないでしょうから、たぶん1016年くらいまでにはアシェラッドも死ぬんじゃないかとか想像してます。もしくはウェールズでアシェラッドが高い地位について、対ノルド戦をするとかも面白いかも。
トルフィンは「どこそこへ行きました」という後引きで締め、よりも一応その土地にまでは行ってほしいですね。やっぱりあの前に出てきた奴隷の女の子と何か行動をともにして、「どこか」に行くんじゃないでしょうか。となると、またデンマーク方面までいく場面はありそう?
>系図をひっくり返し
私も、ウェールズ関係の歴史とか調べれば、今後の展開とか少し読めるのかもしれませんが、もったいないのでまだ放置。こーゆー歴史漫画って、前情報入れるかどうかは微妙ですよね。
『ヒストリエ』のもなるべく詳しくは調べないでおこうかと思ってます。
Posted by 管理人・馬頭 at 2007年02月26日 02:41

(蒸しパンさんのコメントがありました)
Posted by 蒸しぱん at 2007年02月27日 00:05

>ヴィンランド坂
それは後語り的とかじゃなく、打ち切りですヨ。
>北米到達小説
もしかして、サトクリフですか?
Posted by 管理人・馬頭 at 2007年02月27日 01:21

蒸しぱん様
たしか「テクニカラー・タイムマシン」という題名でした。コメディ色が濃かったです。
Posted by 鉛筆 at 2007年02月27日 22:10

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