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内戦の混乱の中で生きる少年と少女たちの生きるための戦いについて。『裸者と裸者』上下巻、という記事
古い記事です。
そうか。読んでから、もう一年近くたつのか。ああ、同人誌作りたいなぁ。

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2006年11月05日
内戦の混乱の中で生きる少年と少女たちの生きるための戦いについて。『裸者と裸者』上下巻

「世界のそこが、すとんとぬけたみたいに、もうひどいことになっちゃって」

やっとのことで『愚者と愚者』を読み終わったので、ついでに『裸者と裸者』から紹介してみます。

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『裸者と裸者』上巻「孤児部隊の世界永久戦争」


『裸者と裸者』上巻「孤児部隊の世界永久戦争」



『裸者と裸者』下巻「邪悪な許しがたい異端の」


『裸者と裸者』下巻「邪悪な許しがたい異端の」


(打海文三。装丁画・影山徹。角川書店。2004年。各1500円)
「経済混乱とクーデターを経て内戦状態に陥った日本。海人・恵・隆。佐々木家の幼い三人の子供たちは父親が死亡、母親も行方不明になりながらも、小さな仕事をしてなんとか生き永らえていた。しかし、内乱8年目の応化九年、彼らの住む常陸市に武装集団がやってきて、海人を連れ去ってしまう。海人は武装勢力が使い捨てにする少年兵として戦うことを強要されるのだが・・・・」

内乱でひっちゃかめっちゃかになった日本が舞台。少年・海人が少年兵として必死になって生き、頭角を現していく姿、そして双子の月田姉妹が少女たちで構成されるマフィアを作っていく様子を描きます。
悲惨な戦争の現実の前でも、目を逸らさない子供たちの生き様は悲しくて健気でカッコよすぎです。

海人は1度武装勢力から逃げ出してますが、その後常陸市での徴兵年齢が16歳に引き下げられたので結局軍隊に入ることになって戦いますが、常陸軍の中で孤児部隊を率います。ドラッグを強奪、上官の殺害、仲間の奪回、マイノリティとの共闘、母親を拉致した人間への報復。軍隊の暴力の中で、孤児部隊という1番弱い立場の存在である自分と仲間たちのために、必死になる姿がたまりません。

「おまえが罪を犯すなら、わたしも罪を犯そう」(パンプキン・ガールズのテーゼ)

この本を知ったのは速水螺旋人さんの同人誌でだったんですが、双子の月田姉妹に魅かれて読んでみたら、これが最高に素晴らしかった。月田姉妹はやはり海人と同様に戦争孤児なんですが、ちょうど拉致された武装勢力から逃げてきた海人と出会います。その後、昏睡強盗とか輸送トラックの運転手とかしながら生活してましたが、輸送業から排除されたのをきっかけに仲間とともに女の子だけのマフィア・パンプキンガールズを立ち上げ、首都圏の一大勢力になってきます。『裸者と裸者』の上下巻の内、上巻は海人が常陸軍の中で頭角を現し、精鋭部隊である孤児部隊の隊長になるまでを描き、下巻は月田姉妹が「パンプキン・ガールズ」を立ち上げて勢力を拡大し、思想テロ集団「モーセ=2月運動」の代表で姉妹の父いとうのぶひろを暗殺するまでが描かれています。
1巻も凄いけど、月田姉妹が大活躍するという点を含め、2巻の方が好きです。自分的には月田姉妹の語りと恵の物言いはたまらんのですよ。いや、もちろん海人の朴訥な喋り方とかたどたどしいながらも頑固な態度とかも、何度も泣きそうになりましたが。

大型書店でも上下巻で揃えるのは難しいかもしれませんが、ネット上ではまだ手にはいるみたいなので、是非とオススメしておきます。

しかし、この本読んだ後、なんか自分的な形で同人誌作りたくなりましたね。勢力地図作ったりとか人名事典作ったりとか、まあいつも通りのやり方なんですが。勢力地図がコロコロ変わるので、応化9年からの歴史地図的なもの、軍事作戦の詳細についての地図とかでも面白いかもしれません。
まあ、今の段階では次の冬コミ用の同人誌を作るのが先ですが。

参照サイト
パノラマ世界塔(影山徹公式)
http://www.tetsu9s.net/
空飛ぶ速水螺旋人
http://park5.wakwak.com/%7Erasen/


Posted by 管理人・馬頭 at 22:26 |Comments(2) |TrackBack(0) | 本<小説> , 軍事

この記事へのコメント
昨日お邪魔した鉛筆です。この作品も面白そうですね。そうだ。佐藤亜紀の「戦争の法」はご存じですか?クールでなかなかいい感じでしたよ。70年代(多分)の北陸でゲリラ戦繰り広げる話なんですが、一筋縄ではいかなくて・・・・・
Posted by 鉛筆 at 2007年01月21日 12:34

またまたようこそ。
この『裸者と裸者』は続編の『愚者と愚者』も含めてオススメですよ。
『戦争の法』は知らないのですが、それも面白そうですね。チェックしてみます。
Posted by 管理人・馬頭 at 2007年01月21日 21:42


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で、このあと、『ハルビンカフェ』も読んだわけです。

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by xwablog | 2006-11-05 02:13 | 日記
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