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テルモピュライの戦いは100万対300人のガチンコバトル。F・ミラー『300(スリーハンドレッド)』その2
この記事は
テルモピュライの戦いは100万対300人のガチンコバトル。F・ミラー『300(スリーハンドレッド)』その1
からの続きです。

もとは、映画公開された時の古い記事の一部です。

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(こっから続き)

他にもこのテルモピュライの戦いに関する本。



カラーイラスト世界の生活史25 ギリシア軍の歴史


『カラーイラスト世界の生活史25 ギリシア軍の歴史』
(ピーター・コノリー&L.E.ユンケル。東京書籍。1989年。1800円。)
このシリーズは大好き。けど、絶版。8種類だけ持ってます。






ちなみに、『ギリシア軍の歴史』に載ってるスパルタ兵はこんな感じ。とりあえずパンツとマントのみじゃない。
あと、どうやら映画のあの赤いマントは、実際にスパルタ軍でそういう軍装をするのが決まってたらしいです。いや、しかし、それにしたって、あの映画でスパルタの戦士はみんなしてプロレスラーみたいなパンツとマントのみって格好で戦ってますよ・・・。もう、無駄に肉体美さらしてさらしてムキムキです。実際には鎧と、あと脛当てもつけてたみたいです。これであの大きな楯をかざせば体のほとんどをカバーできます。



『世界の戦史2 ダリウスとアレクサンダー大王』


『世界の戦史2 ダリウスとアレクサンダー大王』
(人物往来社。1966年。490円)
ペルシャ帝国とギリシャの戦いをまとめてあります。この本の中で少しテルモピレーの戦いのことについて章が割かれています。



『炎の門 小説テルモピュライの戦い』


『炎の門 小説テルモピュライの戦い』
(スティーヴン・プレスフィールド。訳/三宅真理。文藝春秋。文春文庫。2000年。905円。印刷/凸版印刷。製本/加藤製本)
「紀元前480年、ギリシアへと迫るペルシア軍の大軍を前に、ギリシアを守らんがため、レオニダス王率いるたった300人のスパルタ軍がテルモピュライの隘路にて命を捨て立ちふさがる・・・」

これは『300』とは別の作品ですが、同じテルモピュライの戦いを題材にしてます。こっちの方はまともな話です。しかも凄い面白い。さらにこちらも映画化の可能性もあるそうです。


>レオニダス Leonidas
?〜前480年。スパルタの王。在位前488年〜前480年。前480年からのペルシア戦争で第1次防衛線のテルモピュレにギリシア連合軍を率いて布陣した。善戦したが、3日目に間道をたどったペルシア軍に挟撃されると、連合軍を撤退させ、スパルタの精鋭300人とともにとどまって玉砕した。
(『角川世界史辞典』P1025より抜粋。)


レオニダス王の名前を冠する有名なチョコレート屋がベルギーにありまして、日本にもいくつか支店を出しています。
レオニダス日本正規代理店
ここのチョコは非常に美味ですよ。


>クセルクセス1世 Xerxes
[ペ]クシャヤールシャ。ペルシア帝国の王(在位、前486/465)。ダレイオス1世の子。バビロニアやエジプトの反乱を鎮め、海陸の大軍を整えてギリシア遠征を企て(前480)、アルテミシオン(Artemision)の戦で敵海軍を敗り、テルモピュライ(Thermopylai)の戦でスパルタ王レオニダスを敗死させ、アッティカの地を荒掠したが、サラミス(Salamis)の海戦で大敗して急ぎ帰国、翌年マルドニオスの率いる陸軍はプラタイアイ(Plataiai)で敗北し、敗残の海軍はミュカレ(Mykale)で撃滅され、ギリシア軍の反撃に苦しんだ。晩年は宮中の腐敗、陰謀のため国勢次第に衰え、長子とともにその犠牲となった。王は性剛情で、アフラマズダ神の崇拝を強行しようとし、またアフリカを周航させたともいう。
(『岩波西洋人名辞典増補版』P420より抜粋。)

敵役の大ボスたるクセルクセス1世ですが、いやー、これは大変なことになってましたぉ(笑)
なぜか貴金属まみれの半裸坊主! これはエロい!(ぇ〜
もう、ペルシア軍全体に言えることなんですが、独特な背徳感漂う人ばかりで、SM風味の勘違いおしゃれホモみたいな素敵なセンスが冴えていました。あと異形の人間が多く出てきてて、モンスター軍団か? っていうトンデモ具合。中でも不死隊の兵士や巨体の男、そしてなにより両手刃物の処刑人とかがたまらんばい。
こりゃ、さすがにイラン大統領もお冠だわい。
クセルクセス役のロドリゴ・サントロ氏は、ブラジルの超有名俳優で、189センチの85キロだそうです。あの身長差はCGじゃなかったのか。

しかし、基本的にこの映画の構図はひどくエグイ。
まず、民主政の国家としてスパルタが登場しますが、本当にあったスパルタって国は、少数の戦闘集団が、暴力によって圧倒的多数の奴隷を従属させて維持された国だということ。「民主政」とか言っても、奴隷たちは「民」に入らなかったわけです。町のシーンとかで周りに登場する人たち、「仕事」をしている人たちは、とりあえず「民」じゃあないわけですよ。けど、スパルタ=民主主義の代表、みたいな主張を映画の中ではやってる。そもそも、奴隷がいる、ということすらいっさい語られない。もちろん、このスパルタは現代のアメリカを投影したものであり、アメリカの現代的な奴隷制度が言下に肯定されていて、ある意味怖くなってきました。
敵対する「強大な蛮族」ペルシアの描き方も凄くて、野蛮で非文明的なヤツラは、高貴で文明的な我々に劣るのだ、だからどんなに強大であっても正しい我々が勝利するのだという、アメリカ人の願望が現れていたかに見えます。
また、能力の無い人間は、「それなりの仕事」をしなさい。能力が無いんだから、我々のような素晴らしい仕事をする人間をサポートすることをして、その「下位」に甘んじなさい。そこがお前達に相応しい場所と地位だ。ということを言外に言っています。もちろん、ここで言うスパルタの民(戦士層)はアメリカであり、スパルタの服属民・奴隷は現在の半植民地化された貧困国や、服属同盟国と見なせるし、アメリカ国内においては、上流階級・金持ち層が戦士、労働者・貧困層が奴隷という感じでしょうか。
スパルタ側に共感する時に、受け取り手側が都合よく解釈できるように作られてて、とても詐欺臭い。
全体を通してアメリカンマチズム万歳的な作品となってます。そこらへんの醜悪さに気付くと、せせら笑うのは別として、あまり楽しめないかもしれません。
そういう場合は映像の楽しさ・戦いの爽快さに集中するのが良いでしょう。


参照サイト
300日本語公式
http://wwws.warnerbros.co.jp/300/
デジタル・クワルナフ
http://www.toride.com/%7Edigxwa/
アケメネス家の系図
http://www.toride.com/%7Edigxwa/digxwaFiles/genf/g_akemenesu.htm
レオニダス
http://www.e-leonidas.jp/


Posted by 管理人・馬頭 at 07:00 |Comments(9) |TrackBack(2) | 映画<歴史> , ヨーロッパ


この記事へのコメント

とかく前評判のいまいちな作品で、我が愛するイランからもクレームがついたとか(^-^;

突っ込み映画として笑い飛ばしにいけば良いのでしょうか?
それとも純アクション大作?
・・・って、ギリシャ史まるでしらんσ(^-^;がどこまで突っ込めるかは知りません
Posted by 武藤 臼 at 2007年06月12日 00:17

これは無理に歴史的突っ込みを使用なんて思ってみる映画じゃないような気がします。「シン・シティ」などと同様にフランク・ミラーによるハードボイルドとしてみるべき映画ですよ。とはいえ、ネット上で色々調べてみると、これも原作をかなり改変して王妃関連の場面を増やしてるとか、レオニダスのキャラクターも何か変わってしまってるとか、そう言う話は聞きますが。
Posted by ひで at 2007年06月12日 00:23

>イランからもクレームが
あのペルシア軍ではクレームもつけたくなるというものでしょう!
>突っ込み映画
ひでさんがおっしゃるように突っ込みはじめたらキリないですから、基本的にハードボイルドなアクション映画認識でいいかと。映像美や男汁過剰なかっこよさを楽しむことに徹したほうがいいでしょう。史劇としてはトンデモですが、映画としては面白いです。
>原作をかなり改変
原作だとゴルゴがほとんど活躍しないで、もっと筋は単純になってるとか。アメコミの本がこの前でましたが、欲しいけど3000円くらいするみたいで尻込み中。これも作画が凄いみたいですよ。
Posted by エノモタルク馬頭 at 2007年06月12日 04:08

筋骨隆々の作品らしいですね。「黄金のアポロ」という古いSF小説思い出してしまいました。
圧倒的な兵力差で奮戦というと・・・・ぼくですと長島一向一揆が滅ぼされた時のエピソードが浮かんできます。織田軍の包囲網を斬り破った連中は、きっと精鋭中の精鋭だったのでしょう・・・・
Posted by 鉛筆 at 2007年06月12日 22:55

>筋骨隆々
もう、スパルタ軍はみんなプロレスラーみたいです。
>圧倒的な兵力差
あとは楠正成とかもですね。
Posted by 管理人・馬頭 at 2007年06月13日 05:25

ちょーカッコいい!!何といってもあの肉体美がすごい!!
槍を投げるシーンなんて、そのまま彫刻になりそうなくらいきれい。
ペルシア側はなんか「北○の拳」を彷彿とさせますが、そこもまた私にとってはツボにはまりました。
Posted by ずんだ at 2007年06月18日 18:40

>北斗の拳
私もそれは強く感じました。特にクセルクセスの椅子が、凄く原哲夫椅子の感じを出してて・・・
Posted by 管理人・馬頭 at 2007年06月19日 01:48

晴天さんのところで、この映画について、排他的な集団としてのスパルタなどに鋭い指摘が。
ペルシア軍に参加しますよ
ttp://blog.livedoor.jp/koshek/archives/50992789.html
さすがです。
Posted by 管理人・馬頭 at 2007年06月21日 04:28

そういえば、会社の先輩が、これの続編作ってくんねーかな、とか言ってた。あのプラテーエーの戦いのやつとか。
でも、無いだろうな〜。
ま、それより『炎の門』だ!
Posted by 管理人・馬頭 at 2007年06月21日 04:33


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