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中世ヨーロッパのお城の魅力を分かりやすく紹介する。『ヨーロッパものしり紀行 城と中世都市編』
どうも。どこぞの土地神さまのように口内炎になった馬頭です。けど、フライドチキン(レッド)は、まだ一日一個ペースで食べてますが。

それはともかく。
この本は1998年に『ヨーロッパの旅 城と城壁都市』として出された本の文庫化です。

ヨーロッパものしり紀行 城と中世都市編

『ヨーロッパものしり紀行 城と中世都市編』
(紅山雪夫。新潮社。新潮文庫。2005年。514円)
1 城の歴史をさかのぼれば
人間はいつから城を造りはじめたのか 古代オリエントの城壁都市 ギリシア・ローマ時代の城と城壁都市
2 中世の城を訪ねる
モット・ベイリーから石造の城に 何のために、どんな所に築城したのか ヨーロッパの城の特徴 中世の城はどのように発展していったか 中世の城での生活
3 中世の城壁都市を訪ねる
中世都市はどのようにして生まれたか 生きている中世都市ローテンブルクを歩く ヨーロッパ随一の城壁都市カルカソンヌ 地図と地名から読み取る中世都市の姿
4 優雅な城館や擬古城が生まれるまで
中世風の都市城壁や城塞は時代遅れに ロワール地方に見る優雅な城館の数々 19世紀のロマン主義が生んだ擬古城 城館ホテルに泊まる

これは、それほど期待していた本ではなかったのですが、ふと手に入れて、つらつらと読み始めたら、凄い面白かったです。
ヨーロッパのお城についての歴史や基本的な知識や、そして素晴らしい城たちを「紀行」の形を取り入れて紹介しています。
基本は英仏独ですが、イギリスではモット・ベイリーについて、ドイツではドイツ中世史をまじえてまさに城が城たることを必要とした時代の城について、そしてフランスでは城が住居や宮殿として利用されるようになった時代の城について、が多かったような気がします。
いろんな逸話を交えて語られるお城の話は、こういうのが好きな人にはたまらない楽しい話ばかりです。
写真も地図も豊富に入れてあるので、分かりやすく飽きさせません。

この本の中で興味深かった点などをあげてみましょう。

イギリスには多くのヒル・フォートと呼ばれる城塞の跡、土塁の跡が残ってます。これが残ってる(約3000)のは、イギリスでは牧草地として残されたからで、フランスなどでは何かに利用したりして破壊されてしまったとか。作るのが簡単な分、壊すのも簡単。こうした土塁はロシア旅行した時も市壁やクレムリンの跡とかたくさん見たので、なんとなくどういったものか分かる。ホント、写真だけじゃ分かり難いけど、非常に高いし急斜面だったりするのですよ。
イギリスではケルト人(ブリトン人)やらその前の住民やらがこうしたものを作ったわけですが、それが今も残るというのは凄いですよね。ちなみに第一次世界大戦の時に、西アジアで地図がなくて苦労したイギリス軍が、航空写真で地図を起こすことをやってる時に、古代遺跡らしいのをどんどん発見したのですが、この時の手法がイギリス本土でも行われ、こうしたモット・ベイリーの跡がみつかったそうです。
イギリスではメイドゥン・カースルというとこのが凄いデカイらしい。ウェスパシアヌスが将軍時代にここを陥落させました。
モットアンドベイリーでは、一番見本となりやすいのは、ウィンザー城らしい。この城は時代時代に増築され、どの時代の部分も見ることができる、発展型の城だとか。

南イタリア、ナポリ近くのパエストゥムというところには、ギリシャ人が植民市として作った街が、なんというかそのまま放棄された感じで残ってるそうです。
これが素晴らしい廃墟感を出してて面白そうです。
どうも、船をつくるために木を切りすぎて、川に土砂が流れて地形や環境が変わってしまい、マラリアが流行って徐々に衰退してったみたいです。だから、戦乱とかで荒廃したり、破壊されたわけでもなく、奇麗に残ったみたい。

ローマは城壁さえもが素晴らしいらしい。最古の城壁はセルウィウスの城壁っていうのですが、これはもうあんまり残ってないし、観光ガイドとかにも載ってないとのこと。これを参照すべし。あと、残ってる長い城壁や素晴らしい門、建物が城壁に組み込まれた部分なども紹介。城壁を早く作るため、すでにある大きな建造物をそのまま城壁に取り込んじゃうってのも面白い。ガイウス・ケスティウスのピラミッドというのがあるらしいですが、それも取り込まれてる。
ああ、『芸術新潮』の最新号がローマ中世の特集・・・ちょっと見たけど、よさげでした。

この本の中で、日本には石投げ紐とかが無かったと書いてありますが(P103)、武田の投石部隊とか、どう投げてたんだろ。
そういや、『宇宙皇子』の中で、石弓やらスリングやら、出て来てましたよね?

城の城門の上の部分に縦長のスリットがある場合、それは跳ね橋のための構造だったのだということ。ひっぱりあげるための梁が上がった時に収まる場所なのです。跳ね橋自体がなくなっても、壁にそれが残るわけです。
落とし格子のことでも面白いことが書いてありました。二重になってるのは、敵を閉じ込めるためじゃなく、ちゃんと敵を遮断するために一重じゃ危険だと思ったからじゃないかと。それに、熱い油を敵兵にかけたというのも、実際にはほとんど無かったんじゃないかと。張り出し歩廊とか、門とか、みんな木製なんだから、投石機とかで油がどうにかなったりしたら、大変だし、扱いが難しいだろうと。ピッチは火がつく温度が高いから多少は安全に使えたとも。

ヘンリー2世がフィリップ2世に攻められた時、マンの街の城に入って、街を利用されないように焼き払ったら、火の粉が飛んで来て城の方も焼けてしまった、という話は笑った。
あと、ガイヤール城とアヴィニヨンは、トイレの穴から城に侵入されて陥落したというのもいい話だ。

スペインのアルカサルは立地も外見も素晴らしいけど、キープ・ゲイトハウスはまた極上ですね。

この本読んで一番行きたくなったのは、ローテンブルクかな。フリードリヒ1世の育った街。その町並みや古い建物、城壁の中世都市らしい形とかたまりません。
あ、あと、カルカッソンヌの二重城壁のところも是非歩きたいなぁ。


参照サイト
紅山雪夫のHomePage(かなり微妙なページです)
http://www1.odn.ne.jp/beni/yukioj.html
ローエンブルク(wiki)非常に詳しい。
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by xwablog | 2007-08-11 02:19 | 書庫
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