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KGBの諜報員たちが海外でどのように過ごしたのかを語る。『KGBの世界都市ガイド』
20070301

最近、ここのプロバイダは「メンテナンス中」になることが多いですね。その場合は更新してもらえれば、つながる可能性があります。

それはともかく。
スパイによる海外生活レポートです。

KGBの世界都市ガイド

『KGBの世界都市ガイド』

(訳/小川政邦。晶文社。2001年。2840円。)

かつて冷戦時代において、ソ連の諜報機関であるKGB(ソビエト連邦閣僚会議付属国家保安委員会)の諜報員(スパイ)たちが、世界各地でどのような生活をしていたのか、ということを諜報員本人が書いた本。一人の人じゃなく、各国ごとで別の人が記事を書いています。そのため、書き方とか文体とか作風とかが、みんな違います。
ロンドン、ベルリン、ワシントン、バンコク、パリ、カイロ、ニューヨーク、東京、リオ・デ・ジャネイロ、ローマが取り上げられていますが、東京とローマが面白かったです。あとエジプトとバンコクもよい。逆にロンドンが一番読みにくい。
東京はニコライ・ペトロヴィチ・コーシキンという人が来てました。

「この記号を正しく美しく書くということは・・・本当に、何か芸術家の素質が必要なのであります! 象形文字を一つ一つしっかり覚えるためには、ときには一つの字を百回も書かなければならなかった。」

モスクワの法律大学を出たこのコーシキンさんは、日本について何もしらなかったようで、特に言葉でははじめ苦労したみたいです。しかし、日本語を象形文字とか言われるとなんか違和感が・・・
あと、発音に関しては日本人がエル音をうまく出せないことを書いてますね。
「日本に行くことがあれば、驚くようなあるちょっとしたことがあるのは事実だ。つまり、日本語にはわれわれのいくつかの音が全然ないということである。日本人は、ロシア語の単語の中でわれわれには当たり前の『ℓ』音がとても発音しにくいので、その音を『r』に替えて発音する」

60年代の日本にやってきたコーシキンさん。いろいろ戸惑うことも多かったようで、まずしょっぱなに東京の交通混雑にやられ、その次は人と会うときに派手なネクタイを同僚に注意され困惑し、挨拶の仕方に驚くという感じです。

「わたしはそのとき、正直ののところ、いささかうろたえた。日本人の習慣や衣服のことはたくさん読んだり聞いたりしてきたが、彼らが明るい色のネクタイを好まないことは初めて知った。」

この他にもいろいろありますが、スパイ活動についても書いてあります。東京である大手新聞社の編集長が協力者だったとか、交番がそこら中にあって監視しててやりにくいとか、親族の病気のことで苦悩する反米的な日本人から情報を受け取るいきさつやその後分かった話とか。
あと、中には間抜けな話もあって、ある人物が偉そうだったから親しくなって協力者に仕立て上げようと思ったら、ただの寿司屋の店長だったそうです。

こんな感じの外国体験記の一種ですが、それがKGB職員だったということでさらに面白くなっています。
この本は元は1996年にロシアで書かれたもので、大人気となって各国で翻訳されました。どうやら、ソ連崩壊後には、元諜報員たちがこうした体験記や伝記といったものを本にして出すのが流行ったらしいです。
これは一部癖のある文章もありますが、日本の記事だけでも読みがいのある楽しい本です。

表紙の立体造形はたたらなおき氏の作。

あと、ついでに書いておくと、現在、KGBは無くなり、FSB(ロシア連邦保安局)やロシア対外情報局(SVR)などになりました。

参照サイト
晶文社ワンダーランド
http://www.shobunsha.co.jp/
たたらなおきART WORKS
http://www7.ocn.ne.jp/~tatara/

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by xwablog | 2007-03-01 01:19 | 書庫
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