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17世紀以降のロシアの王朝の歴史を書いた本。下津清太郎『ロマノフ家』。あと『ピョートル前夜のロシア』も
394周年記念!(全然区切ってねーよ。)17世紀以降のロシアの王朝の歴史を書いた本。下津清太郎『ロマノフ家』。あと『ピョートル前夜のロシア』も。

はーい。今日2月21日は、1613年にミハイル・ロマノフが戴冠して、ロマノフ朝が開闢した日ですよ~。
そういうわけで、紹介する本もこんなものとなりました。

ヨーロッパ王家の歴史3 ロマノフ家_下津清太郎

『ヨーロッパ王家の歴史3 ロマノフ家』

(下津清太郎。近藤出版社。1985年。3800円)
まえがき
序章・ロマノフ家以前のモスクワ
第1章・モスクワ時代のロマノフ家
第2章・黒海進出とバルト海制圧
第3章・ナポレオン帝国と祖国戦争
第4章・ウィーン体制と神聖同盟
第5章・ロマノフ帝国の暖海政策
第6章・ロマノフ家のユーラシア帝国
第7章・ロマノフ帝国の西欧接近外交
第8章・汎ゲルマン主義と汎スラヴ主義
第9章・ロマノフ帝国と日本
第10章・ロシア革命とロマノフ王朝の顛覆
終章・ロマノフ帝権の功罪
ロマノフ家の系図
参考文献
あとがき

『世界帝王系図集』の編集もやってた下津清太郎氏の書いたシリーズの中の一冊。
すでに『ハプスブルク家』(オーストリア)、『ハノーヴァー家』(イギリス)、『ホーヘンツォレルン家』(プロイセン)は持ってたのですが、肝心のロシアの『ロマノフ家』は持ってませんでした。・・・それはなんといっても、自分の趣味の範囲がほとんど載ってなかったということと、値段が結構するからというのが理由だったのですが。
で、この前、運良くこれを1000円で手に入れることに成功。絶版本ですから当然古本屋で。普通は3000円後半~5000円くらいなので、あの古本屋、値段付け間違えたんじゃないかとか余計な心配を。
まあ、第1章のとこまで読めれば充分、というか、すでに読んではいたのですが、せっかくなので購入。
1613年からロシアの皇帝(ツァーリ)を輩出してきたロマノフ家の歴史を書いた本です。図版多し、系図有り、なので、ちょっと古めですが通しでロマノフ家のことを知りたい人は読んでおくべきものかと。
ただ、残念なことに私が知りたいような情報はほとんど載ってないのですよね。ロマノフ家のはじまりのことも、フィラレートがいきなり登場しちゃうし。

17世紀初頭、ロシアは混乱した時代だったのですが、ミハイル・ロマノフという人物が皇帝となり、ロマノフ朝を開きます。
彼の父親はフョードル・ニキーチチ・ロマノフといって、修道僧となっていたのでフィラレートと名乗っていました。
このフィラレートの父親は、ニキータ・ロマノヴィチ・ユーリエフ=ザハーリンという人物で、彼はイヴァン4世(イヴァン雷帝)の皇妃アナスタシヤの異母弟でした。このように、前王朝であるリューリク朝に近い関係であったためにロマノフ家は皇帝になることができたようです。
で、このニキータとアナスタシヤの父親がロマン・ユーリエヴィチ・ザハーリンという名前だったので、「ロマンの一族(家系)」的な感じで「ロマノフ」という家名になったらしいです。もとは「ザハーリン」という一族の人たちだったのですが、当時のロシアは姓の使い方が独特だったので、このように祖先の名前や綽名などから新しい姓が出来たりします。

というような1番はじめの部分からして書いてないので、ちょっと不満な一冊です。ロマノフ家はモスクワ出身という感じで書かれていますが、どういう意味なんだろう。『ピョートル前夜のロシア』でも、「ロマノフ家は古いモスクワ貴族の家系だが・・・」(P33)と書かれてますね。郊外や地方に土地を持つタイプの都市貴族? それとも側近として務める側近タイプ?
うーん、(自分的には)大事なところなんですが、そこらへんまでは突っ込んでほしかったなぁ。

とりあえず、ロマノフ朝の通史として読むのは良いかと思われます。



ついでに私の守備範囲であるところの初期ロマノフ朝の時代を扱った面白い本として、これも紹介。

ピョートル前夜のロシア_松木栄三

『ピョートル前夜のロシア 亡命ロシア外交官コトシーヒンの手記』

(グリゴリー・コトシーヒン。松木栄三/編。彩流社。2003年。4800円)
編訳者まえがき
凡例
原著の目次
翻訳ならびに訳注
解説1 原著と作者について
解説2 使節官署について
編訳者あとがき
文献一覧
索引

ロマノフ朝初期にロシアの外交官として活躍し、その後スウェーデンに亡命したコトシーヒンという人物が書いた当時のロシアの事情を説明するための本を翻訳したものです。本当は原著の目次を書いてみたほうが内容がよくわかって面白いんだろうけど、長いのでパス。
原著の翻訳も非常に面白く興味深いのですが、それについた大量の訳注がボリューム万点で読みごたえあります。
コトシーヒンは外国人(スウェーデン人)にロシアの事情を解らせるためにこれを書いたので、ロシア人なら常識的な知識であって記録にも残ってないようなことも、説明するために書いてあって、当時の様子が解ってきて楽しいです。
ここらへんのロシア史に興味あるなら一読すべきオススメ本。

ところで、これを書いたコトシーヒンさんは、喧嘩っ早いというかなんというか、色々問題ある人だったようで、最後は喧嘩して人を刺し殺してしまい、絞首刑にされました。

はっ! そうだ! 2013年の400周年記念の時にロシア旅行に行けるように、今からお金貯めとかないと!!(長期計画だな、ぉぃ)

参照サイト
彩流社
http://www.sairyusha.com/
デジタル・クワルナフ 旅行のページ
http://www.toride.com/~digxwa/digxwaFiles/tabif/tabi_f.htm

関連記事
ロマノフ朝・帝政ロシアの皇帝26人を一挙紹介。デヴィッド・ウォーンズ『ロシア皇帝歴代誌』
http://xwablog.exblog.jp/10205725
サドロリ幼女カーチャと少女剣士リジーが登場。吉野弘幸&佐藤健悦『聖痕のクェイサー』第2巻。
http://xwablog.exblog.jp/8121864


この記事へのコメント

すいません、かなり強引な結びつきでトラバってしまいました。
「ロマノフ王朝の最期」には、
「ロマノフ家は13世紀に始まった貴族である。リトアニア出身のグランダ・カンビラは、洗礼を受けてイワンを名乗り、ロシアにやってきた…。」
とロマノフ朝の簡単な説明もあって、随分親切な映画だなぁ、ソ連時代には学校であんまり触れなくてみんな知らなかったからかな? と思ったのですが、Amazonの評をちらっと見たら、これでも一般の人には理解不能のようで…。相当マイナーなんですかね…。
Posted by 雪豹 at 2007年02月21日 12:48

>グランダ・カンビラ
ああ、そこらへんの話もありましたね~。
『ロマノフ王朝の最期』は断片的にしか見てないのですが、少し冗長だった気が。
でも、とりあえず一般の人には多少情報が足りない感じの映画ではありましたね。ひととおりの流れと事件をしっておかないと。
Posted by 管理人・馬頭 at 2007年02月22日 06:29

荒削りだとは思ったけど、冗長とは思わなかったなぁ…。
むしろ、人名が筆記体で出てきたので、それを読むのに必至で、
(筆記体は読めない体質なので…爆)
「わぁ、そんなに早く流れないで~。」
という感じで。
それに、ロシア人の場合、
「ラスプーチンさん」というときでも、
「グリゴーリィ=エフィーモヴィチ」とかいってるので、
姓だけでなく名前も父称も覚えなきゃならないじゃないっすか。

…DVDは本当に助かります(笑)。
(というか、帝政ロシアの事をさっぱりわかってないって点が問題という気もしますが…。)
Posted by 雪豹 at 2007年02月23日 22:34

>2月21日は、1613年にミハイル・ロマノフが戴冠

はあ・・・玉座に両手を押さえつけられて「やだやだ!皇帝なんかやりたくない!」と叫ぶ少年皇帝を、無理矢理みんなで囲んで「ウラー!」ってやられた日ですね。(笑)
まあ、どうせ外国にいる父上様の遠隔コントロール状態ですが・・・。

こんな王朝創始の事例が、他にあったかなぁ・・・。
Posted by 大鴉 at 2007年02月24日 00:21

>呼び名
日本だと意訳して姓の方で翻訳しちゃいますからね~。ロシア人たちの呼び方の意味とかどうせ通じないからそうせざる得ないのかもしれませんが。

>無理矢理みんなで
普通、無理矢理やられるのは、屈辱的なことをやられるものですが、このミハイルくんは稀に見る栄誉なことを~
Posted by 管理人・馬頭 at 2007年02月24日 02:46

ロシア語の筆記体、読めるようにならねばなるまいと思っている今日この頃・・・
Posted by 蒸しぱん at 2007年02月24日 10:39

私はロシア語のキーボードの位置を覚えないと・・・。
Posted by 管理人・馬頭 at 2007年02月24日 22:44
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