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水没した首都圏の混沌の中で生きる人々。やまむらはじめ『境界戦線 マージナル・バトルライン』
この前の『サンデーGX』でやってた「銃撃ち漫画フェア」の時に、読みたくなって買い直してしまいました。

境界戦線マージナルバトルライン_やまむらはじめ

『境界戦線 マージナル・バトルライン』

(やまむらはじめ。小学館。サンデーコミックスGX。2004年。533円)
「原因不明の大津波と陥没で水没した首都・東京。仙台に臨時政府が置かれたものの、壊滅的な東京は放置され、武装した各勢力が対立する無法地帯となった。数年ののち、新政府はこの壊滅した旧首都の治安回復に乗りだすのだが・・・」

混乱する旧首都とそこにかかわる人々の話をオムニバス形式で語るやまむらはじめ氏の作品。
・封鎖線の向こう側から逃げてきた旧条約派の特務隊員とそれを追ってきた人物の話。
・自由になろうと決意した少年と車イスの少女の話。
・足を洗った伝説の女傭兵の話。
・特別警察のSWAT部隊の隊長と拾われた不思議な少女の話。
・知事となった母親と殺し屋となった娘の話。
硬軟とりまぜたこの5話にはじめと終わりの部分にプロローグとエピローグを書き下ろしてまとめてあります。

独特で絶妙な「間」を使うやまむらはじめ氏ですが、これでもその作り方は随所にみられます。特に4話目のは良かったです。
あと2話目の『With you』の若さというか必死さとかも好き。やまむらはじめ氏の漫画は、漫画的なスーパーマンが登場しない、人間らしい人間像というものについて良くかかれているように思います。誰か凄い人が登場して華麗にあっさり解決しちゃうような話ってのがほとんど無いのですよ。みんなして必死。「Invincible Lady」なんかちょっと逸脱しているようですが、普通の女的な情動ががあったりして、そーいうのもまた良しです。
『カムナガラ』の結末に納得してはいない人も多いかと思いますが、やはりこの人の作品は面白いですね。
ちなみに、この『境界戦線』はこれ1巻でまとまって終わらしてありますが、外伝みたいのが今度の『サンデーGX』に掲載されるようです。他にも外伝はあるみたいなので、もしかしたら、2巻目も出るのかもしれませんね。


しかし、混乱(壊滅)した首都というと、この前紹介した『バトルガール』やら『裸者と裸者』みたいな。封鎖されるのだと『バトルガール』に、武装勢力が抗争するという面では『裸者と裸者』に。こーゆーの燃えますね。
あと、水没ネタというと、チャイナさんや『ヨコハマ買い出し紀行』や『水惑星年代記』や小川一水のラノベとか思い出しますが、実際に地球の水位は年々上がってるようで、大津波や陥没はともかく、水没は漫画の話だけということではなくなりそうです。
昨日テレビでやってましたが、北極海の氷がガンガン溶けてるそうで、2040年もしくは2070年にはまったくなくなるとか。南極や各地の山頂の氷もどんどん溶けてるし、さらに地球温暖化による水温の上昇が海水の膨張も引き起こし、水位の上昇は止まりそうもないですね。
アメリカ大気研究センターのHPに、北極海の氷が1979年から今後どう溶けていくかの推移をモデルにしたムービーがあります。
http://www.ucar.edu/news/releases/2006/arctic.shtml

ヨーロッパの低地で沈む土地は多かろうと思いますが、どうするつもりなんでしょうね。お金かけて堤防高くしたりするのかな?


参照サイト
サンデーGX LONELY ROAD 境界戦線
http://websunday.net/gx/sakuhin/yamamura.html
『境界戦線』(マージナル・バトルライン)やまむらはじめ(人工事実)
http://artifact-jp.com/mt/archives/200403/mbline.html
NCAR(アメリカ大気研究センター)
http://www.ncar.ucar.edu/
東京大学気候システム研究センター
http://www.ccsr.u-tokyo.ac.jp/
『サンデーGX』公式
http://websunday.net/gx/

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生まれるはずのない「男」の「歌姫」。彼が歌う理由とは? あき『歌姫(UTAHIME)』
http://xwablog.exblog.jp/9422880/



この記事へのコメント
壊滅首都というと「ブラック・エンジェルズ」を忘れてはいないですか?あの大震災後の東京は、ある意味「北斗の拳」ワールドをも超えた超絶世界かと思います。もちろん、前半の必殺仕事人的世界の方が物語の完成度は格段に高いのでしょうが、関東壊滅後のブチ壊れ・大暴走展開も別の意味で素晴らしいのではないかと。

…しかし、僕はどうも狂ったマンガに嗜好が偏ってしまってダメですね。各ジャンル満遍なく渉猟される馬頭さんはすごいと思いますよ。僕も日本に帰ったらもっと幅広くマンガを読むつもりですので、その時はご助言よろしくお願いします。
Posted by 奥野 at 2006年12月18日 00:28

>ブラックエンジェルズ
あー、大事なの忘れてたー!
しかも、(かなりおかしな)武装勢力がいろいろ出てきたりもしてましたね。
『ブラックエンジェルズ』の前半パートと後半パートの作風の違いは、あのギャップについてこれなくなった人も多いでしょうが、自分は両方とも好きですね。まあ、どっちか、と言われれば土臭い前半の方が好きですが。

>幅広くマンガを読む
奥野さんが好きそうな、「これは!」というのがありますから、どんどんオススメしますよ~。
Posted by 管理人・馬頭 at 2006年12月18日 03:26
by xwablog | 2006-12-08 00:48 | 日記
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