デジタル・クワルナフ
  管理人・馬頭(xwablog)。トップページのアドレスはhttp://www.toride.com/~digxwa/
トップ
イランの文化・生活を知ろう! 上岡弘二ほか『暮らしがわかるアジア読本 イラン』
確か、前に紹介した『パキスタン通い妻』の中で、イスラム教徒は犬を嫌って、ペットにしない、という話があった時に、そういやペルシャでは犬は聖獸だったけど、現在では嫌われる存在になってる、という話をどっかで読んだな、と思いました。
で、『イラン人の心』(岡田恵美子)にその話載ってたのですが、それ以外にもイランもの読んでみた。

暮らしがわかるアジア読本 イラン

『暮らしがわかるアジア読本 イラン』

(上岡弘二。河出書房新社。1999年。2000円)

大変分かりやすい、イラン紹介コラム集みたいな本です。イラン人についての衣食住・生活全般から、社会問題、歴史、宗教、政治、言語、流行までなんでもありです。それぞれのネタを様々な人が、数ページ分の記事にしてあります。
少しでもイランに興味があれば、楽しめますし、さらに歴史とか現状が分かってるとさらに面白く読めますよ。
ちなみに著者は、上岡弘二氏の他に、羽田正、原隆一、鈴木優子、ナギザデ・モハマド、吉枝聡子、八尾師誠、山田稔、ラジャブザーデ・ハーシェム、杉浦和夫、谷正人、鈴木珠里、山本由美子、高橋和夫、大前信子、富田健次、鈴木均、中西久枝、南里浩子、川瀬豊子、佐々木あや乃、深見和子、山内和也、横山彰三、となってます。イラン人も2人書いていますね。上岡氏が一番書いてますが、次に吉枝聡子氏が多かったです。

この中、結構歴史に関しての記述もあって、なかかな楽しめました。しかし、そこらへんはそれとして、日常生活とかイラン事情を書いたものの方が、なんというか、書いた人たちの体験とそれに対する感想が強く含まれていて、面白いです。

羊を投資対象にしてる話とか。これには価格とかいろいろ書いてありますが、なんでも山羊より羊のほうがいろいろ取れて値段が高くなるそうです。
イランも全部が全部イラン人というわけじゃないので、少数民族がいますが、トルコ系の人たちのことが簡単に紹介されてたりしました。北西部にたくさんいるんですが、テヘランにも大量に移住してるらしいです。著名な人物も出ていて、中でもハタミ師も数代前に移住したトルコ系住民の子らしいです。
そういや、この本を書いた上岡氏はペルシア語の発音に関して、元のものとは違った感じで通って普及してしまったものが多数あることに不満らしく、そのことについても書いてました。さっきの「ハタミ師」も本当は「ハータミー師」が現地読みに近いらしいです。「ホメイニ師」も「ホメイニー師」だとか。あと、「ラムサール条約」のラムサールも「ラームサル条約」が正しいのですが、他にも語の前半で伸ばしてるものが、なぜか語の後半が伸ばされてしまう言葉が多いとか。都市名の「アーモル」「バーボル」もそうですし、あとイランではなくアフガンとかの「カーブル」や「ペシャーワル」も、なぜか「カブール」「ペシャワール」が一般的になってしまっていると書いています。・・・すみません、間違えてました。
あと、イランでも『おしん』が流行してるらしく、皆見てるそうですが、やはりそこはイスラム国。イスラム的に問題のある表現などの部分はまるまるカットしたりしてるそうです(似た話、パキスタンでもありましたね)。だけど、正確な情報が伝わらないので、一部想像が入り込んだりしちゃうので、(貞淑ならざる格好の)女給たちと付きあいがあることなどから、「おしんは実は売春婦だ」とかいう噂が流れたりするとか。・・・どんなNHKドラマじゃ!

これらの中でも、イランの外食産業の悲惨さを書いた記事「生きるために食べる」は、笑いました。イラン人はあまり外食産業においしさを求めていないようで、マズイことこの上ない食事を食わされるらしいです。「外食文化果つるところ」だとか。

「イランの外食産業は、人件費が安いにもかかわらず手間暇をかけるのを惜しむ。とにかくはやればよいの精神。」
「レストランの主人は、実際に供することのできる料理の数よりも、見た目のメニューの豪華さを気にする。そして、実際に供することのできる、数少ない料理の質には信じられないほどこだわりが少ない」
「本来右手の指で食事をするので、熱いものは食べられないために、イラン人は猫舌である。そのイラン人が作るので、スープはいつもなまぬるすぎ、適温であったことがない」
「まず、ほとんどの料理が羊肉であり、レストランはいつも羊肉の臭いがする。ただし、イラン人が羊肉食なのではない、外食がそうなのである」
(本文より引用)

とにかく痛烈に批判してます。よほどマズイものを食わせてもらったのでしょう。でも、一応最後にフォローはしてます。

「なおさらに、この観点からイラン外食文化の名誉のためにつけ加えておくならば、イラン外食料理は少なくともイギリス料理よりは優れている、とは、筆者たちの友人のイラン研究者の間で一致した見解である。食に関して保守的なところには、外食文化は発達しない、ということであろうか」

結局、褒めて無いという。

ちなみに、テレビ東京の人気番組『元祖!でぶや』の中に登場する外国人芸能人「マッスル」氏は、イラン人らしい。あ、あれ? あの人、ガンガンお酒飲んだり、豚肉喰ったりしてませんでしたっけか?


この本、全体的に雑学的な話も結構含まれてますが、それはそこ、異なった社会の話なので、とても興味深く読むことができます。まさにイラン社会を、大視点から小視点まで広くで知ることの出来る良本かと。ああ、なんかホントに旅行したくなってきました。
で、この前のペルシア文明展の時にもらった旅行代理店のパンフを見て見たのですが、うーむ、大体28万~33万くらいか。自分としては最低でもペルセポリス、パサルガダエ、スーサ、ヤズド、イスファハン、ソルタニエ、の6ヶ所はいかないといけないので、これ全部廻るツアー探さないと。パサルガダエがちょっときびしいかも。
あと、バム遺跡は見たいですね。地震で崩壊しちゃった後だったのが残念ですが。

参照サイト
イラン大使館
http://www.iranembassyjp.com/
栄光のイラン
http://www.ne.jp/asahi/eden/kanata/iran/index.html
イラントップページ
http://www.geocities.jp/kazuiran/

関連記事
7000年の歴史の重みが心地よい1級の品々。『ペルシャ文明展』上野・東京都美術館
http://xwablog.exblog.jp/10456226
ゾロアスター教の通史。青木健『ゾロアスター教史 古代アーリア・中世ペルシア・現代インド』
http://xwablog.exblog.jp/10251326
[PR]
by xwablog | 2006-10-26 06:36 | 書庫
<< 壊滅した東京でゾンビと銃撃戦。... ハンガリー動乱再び? 違う感じ... >>