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語り、問い掛け、見つけさせる。「物語」とはこうでありたい。『ARMS(アームズ)』全巻読み直し
2006/09/12
2001年の9月11日から5年ということで、なにか911に絡めて記事にしようと思ってましたが、時間足りなくて12日になっちゃいましたね。
はじめは『アメリカなんて大きらい!』(高梨みどり)とか『ピース・メーカー』(映画の)とか、あたりの感想を考えていましたが、ちょうどこの前全部読み直していたので、直接は関係なくても、描いてた時期とかが興味深いので、これ。


ARMS(アームズ01

『ARMS(アームズ)』第1巻

(皆川亮二&七月鏡一。小学館。1997年。486円)
「高校2年生の高槻涼は、奇妙な腕をした転校生・新宮隼人に殺されかける。さらに幼なじみのカツミが機械の腕を持つ男・クロウによって攫われてしまう。誘い出され、カツミに危機が迫った時、涼の右腕は突如として新宮のような腕へと変貌する。それは涼の腕に埋め込まれた『アームズ』と呼ばれる恐るべき兵器だったのだ・・・」

『週刊少年サンデー』で連載していた名作漫画。はじめの作品『スプリガン』はたかしげ宙氏と組んでの作品でしたが、今度は原案協力として七月鏡一氏とタッグを組んでいます。
連載当時、夢中になって読んでた気が。

ちなみに一度処分しちゃったのにまた今回買い直してしまいました。



ARMSアームズ全巻

そもそも、これ買い直したのは2006年の春ごろだったんですが、そのあとずっと放置状態で、とりあえず6月前後あたりにはやっと第1部まで読み終わり、その後また放置。で、この前やっと読み終わったというわけです。

なんか久々に読みましたが、やっぱり良いですな~
涼の腕に埋め込まれたアームズ「ジャバウォック」と呼ばれるナノマシンと、それを巡って争うエグリゴリとブルーメン。カツミを連れ去られ、エグリゴリのサイボーグや超人たちに襲われながらも、戦いの中で仲間を手に入れ、ともに戦っていく中、アームズの秘密が次々と明かされ、自分たちの運命に立ち向かっていきます。
涼やその仲間のアームズたちは、自分のアームズの強力すぎる力に翻弄されつつも、自分自身でもあるアームズとの対話(自問自答ともいえるか)によって、自分を再発見し、強く逞しくなっていきます。この成長過程がとてもワクワクさせてくれたものです。
あと、話の流れがとてもスピーディーで、次々と登場する超絶な能力の敵がまた魅力的なキャラクターばかりでたまりません。敵アームズたちはもちろんのこと、サイボーグたちや超能力者、強化人間、といったSFネタが山盛りで、全然飽きさせない。ほんと、よくこれだけ思いつくものです。

『ARMS』は物語の構造が、先程書いたように質問や対案を他人から提示され、自問自答形式で答えを出し、その過程で子供たちの成長を描くという、ある種の心理学的アプローチにも見えます。この物語自体が王道的少年漫画の構造を持ちながら、より深い古典的な「物語」、もしくは「神話」的なものを指向していたのでは。そうした意味では物語内に組み込まれた物語である『不思議の国のアリス』が、異世界への探索と謎かけ、という重要な定型を重層的に提供してくれていたように思えます。

さらに、物語全体を通して、「進化」という基本テーマをずっと貫いていたのは素晴らしいです。22巻もやってて、それがブレることがありませんでした。「我々はどこから来たのか 我々は何者か 我々はどこへ行くのか」という問い掛けは、ARMSとの会話、そして作られた存在である自分自身との向き合った時に、どうしても避けることができない問題として、常に考えさせられるわけですから、なんとも上手い作り方です。SFやファンタジーにおいて、超常の力がただ存在するだけでは、SFやファンタジーにした意味が無いわけであって、このような非日常的なアイテム(能力)の使い方こそがより望ましい。その点、この『ARMS』は100点をつけてもいいくらいの満足度です。
まだ読んでないのなら、是非。

で、話は戻りますが、なんでこれを911に合わせてもってきたかというと、第4部からニューヨークで戦うからです。謎の組織エグリゴリの本部がニューヨークにあって、涼たちはそこに乗り込むのですが、この時、ニューヨークにはまだ「ツインタワー」がありました。まだ連載では1999年だったわけですからね。
ちなみに『ARMS』は5部構成で、鐙沢村でカツミが死ぬまでが第1部「覚醒編」、藍空市での戦いが第2部「邂逅編」、アメリカに渡ってギャローズベルでの戦いが第3部「進化編」、ニューヨークでの戦いが「アリス編」、そして再び日本での戦いが第5部「帰還編」というわけです。(そういや、日本での舞台となる藍空市って、アメリカの有名な小説『87分署』シリーズに出てくる架空の街「アイソラ」のパロディってこの前はじめて知った)



ARMSアームズ第15巻86ページTT

というわけで、2000年になってた15巻の段階ではまだ普通に描いてます。
アリスの共振によってニューヨークが大地震に見舞われても、まだ立ってる。



ARMSアームズ第18巻156ページTT

でも、18巻で巨大化したジャバウォックが地球と共振したことによって、さらなる大地震が。
で、たぶんこの時にさすがのツインタワーも、壊れます。



ARMSアームズ第19巻126ページTT

19巻の戦いが終わった後のシーン。
ああ、でもツインタワーのタワー1は無事で、タワー2はこんな中途半端な崩れ方を!
あのリアル倒壊シーンを見た後だと、これはありえない崩れ方だと思ってしまいます。

それにしても、本当にすごいタイミングでこれ描いてます。19巻の発行は911後の2001年の11月15日なんですが、連載では、たぶんニューヨークでの戦いの部分が終わったのが8月頃というわけです。皆川亮二氏もまさか本当にツインタワーがぶっ倒れるとは思わなかったことでしょう。
ということを読んでて思ったので、とりあえず記事にしてみました。

ところで、皆川亮二氏といえば、アニメ運の無い作家さんとしても知られていますが、今、連載している『D-LIVE!!』の方はどうなんでしょう。結構単行本出てますが、リアルには買ってないので、盛り上がってるのかわかりませんが、もしアニメ化するというのであれば、今度こそ良質なものになってほしいものです。

アニメ化といえば、七月鏡一氏が脚本を書いている『8マンインフィニティ』がアニメ化するそうですね。漫画の方は当初思っていたよりも、かなり面白いので、アニメの方も是非良いものを作って欲しいですね。


参照サイト
works llylgamyn
http://www.otyanoma.net/~valensia/
BAR 雁の巣
http://www006.upp.so-net.ne.jp/Nanatsuki/

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ドラムマガジンで撃つのとかマスケット銃とかyoutubeの動画。あと、『Matchlock Musketeer』Warrior 43
http://xwablog.exblog.jp/10127813
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by xwablog | 2006-09-12 22:39 | 日記
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