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殺し屋の少女が辺境の星で出会ったのは? 長谷敏司『フリーダの世界 天になき星々の群れ』
『円環少女(サークリットガール)』の長谷敏司氏が『戦略拠点23098 楽園』の次に書いた秀逸なSF作品『フリーダの世界 天になき星々の群れ』を、半年がかりで探して読みました。重版されてないらしく、店頭にはないし、在庫も無いみたいなので、古本屋をこまめに回ってやっとみつけたのです。前に1度読んでましたが、『円環少女』読んだ後に読みたくなったので、再び買うことに。

フリーダの世界 天になき星々の群れ_長谷敏司

『フリーダの世界 天になき星々の群れ』

(長谷敏司。角川書店。スニーカー文庫。2002年。514円)
「生まれ故郷の星が紛争という過酷な状況の中で工作員となった少女・フリーダは、新しい仕事のために辺境の星レジャイナの首都エグバードに降り立った。彼女の目的は暗殺だったが、到着するまでその対象すら知らされていなかった。しかし、空港で連絡員を待っていた彼女のところにやってきたのは、無垢な少女アリスだった。アリスはルームメイトとしてフリーダを迎えに来ていたのだが・・・。」

イラストは『楽園』と同じくCHOCO氏。『楽園』とは世界観が繋がってます。時代が多少ずれてますが。

巨大な星間企業『ルサージュ』の幹部の一人がレジャイナの記念式典にやってくる時、その騒動の中でレジャイナの重要人物を暗殺する。それがフリーダに与えられた命令。しかし、いく人かの思惑が絡んでフリーダの暗殺は失敗してしまいます。そして、急襲してきた海賊たちから逃れるため、星間航行船のある場所まで続く地下道に避難する人々。そんな中でレジャイナの人々の対立とそれに巻き込まれるフリーダやアリスたち。

キャラ立てや、話の構成が単純でいながらよく表現されていて、目的とテーマが明確なのでとても分かりやすいです。魅力的なキャラクターたちが活躍してますが、フリーダとアリス、そしてアリスと人々とのやり取りが、それぞれよく演じられていて無駄のなさを感じました。設定はSFですが、学園ものであり、しっかりとした話でテーマの語りがおろそかにされないでいながら、実は萌え要素すら押さえているという出来の良さ。
起承転結のよどみの無さと次ぎへの期待感の高さ、そしてフリーダとアリスという二人の少女のそれぞれ違った生き方・考え方が印象的な一冊でした。

あと、実はフリーダが眼鏡っ娘だったことにいまさらながら気付きました。眼鏡っ娘とかいいつつ、ただ眼鏡してるだけのは多い昨今にあって、ちゃんと話にうまく使われているというのもポイント高いですよ。

ちなみに、去年、読みたくなってから半年、いや、八か月くらいですが、ずっと探してたということは書きましたが、実は、古本屋でやっとのことで『フリーダ』を見つけた数日後、自分の住んでるところから1番近い古本屋に、安く売ってるのを発見してしまいました。・・・・・・。重版してくれたら買い直します。

ついでに。
P203の後ろから2行目。「レジャイナの国家」となってるのは、たぶん「国歌」の誤植です。

参照サイト
DE BREVITATE VITAE(長谷敏司公式)
http://www7.plala.or.jp/para_shift/
チョコレートショップ・フロート(CHOCO公式)
http://chocolateshop.m78.com/

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